日蝕 23 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

 

助手席にミニョがいる。

俺はそれを確認するように、時折チラチラと横目で見ながらハンドルを握った。

走り出してから気づいたことだが、もしかしたらミニョは俺以外のメンバーが全員合宿所を出たことを知らないのかも知れない。


じゃなきゃ泊めてくださいなんて言わないよな・・・


そう思って、今は俺1人しかいないことを伝えたが、ミニョは知ってますと答えた。


「シヌと何かあったのか?」


チラリと横顔を見るが、車内が暗いせいで表情が読めない。


「アパート、遠くて・・・明日の朝、すぐに店長の様子、見に行きたいし・・・合宿所からなら、近いかなって・・・」


それっきり窓の外を眺め続けるミニョ。

俺は少し、いや、かなり困惑していた。


ミニョは一体何を考えてるんだ?いくら家が遠いからとはいえ・・・合宿所の方が病院に近いからとはいえ・・・普通、男が1人で住んでる家に泊めてくれと言うか?

しかも俺はこの間、好きだと告げたのに・・・

やっぱり、その後それらしいことは何も言わず店に通ってたから、あきらめたと思ったんだろうか。昔の仲間として、ただ一晩広い家の一部屋を借りたいと、そういうことなんだろうか。

それにしても、いくらなんでも・・・

それとも・・・・・・・・・OK・・・とか?

実はシヌとは別れていて、俺とヨリを戻したいと思っているとか・・・・・・

いや、だったらさっき迎えに来てもらうかと聞いた時、もう別れたと言うはずだ。仕事が忙しいからと、シヌを気遣う様子から、別れたとは思えない。

判らない・・・

俺にはミニョの考えてることが、さっぱり判らない・・・・・・




 


どんなに考え事をしながらの運転でも、さすがに合宿所までの道で迷うことはなく、ほどなくして車は目的地に着いた。車から降りると、ミニョは懐かしむように建物を見上げた。


「ミナムが使ってた部屋でいいか?」


少しの間とはいえミニョ自身も使ってた部屋。当然のようにそこを勧めたが、考えてみればミナムの部屋は俺の部屋の向かい側。

いくらミニョが泊めてくれと言っても、さすがにそれは嫌がるか。

リビングのソファーお借りしますとか、シヌが使ってた部屋がいいと言い出すかもと思ったが、ミニョの返事は「はい」という短いものだった。

ますますミニョの考えてることが判らない。

俺を誘ってるのか?とも考えたが、仕種や様子からとてもそんな風には見えない。よっぽど俺のことを安全な男と思ってるんだろうか。それとも、メンバーの恋人に手を出すようなことはしないと、信じてるんだろうか。


これからどうやってミニョの心を取り戻そうかと考えていた矢先の出来事に、俺の心は動揺しまくりで、階段を上るスリッパの音よりも自分の心臓の鼓動の方が大きく聞こえる。

2人で一緒に2階へ上がり、そして。


「おやすみなさい」


「あ、ああ・・・」


俺たちはそれぞれの部屋へ入っていった。






       

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