You're My Only Shinin' Star (271) ヘイの動揺 4 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

ヘイがドアの向こうへと消えていくミナムの背中を見送ってから二週間。

つき合いだしてから今まで、喧嘩のようなことは山ほどあった。いつもならたいてい二、三日でどちらからともなく仲直りするのに・・・。こんなに長い間口をきかなかったのは初めてのことだった。


ミナムからのプロポーズ。

はじめは冗談だと思った。

未来の話なんてせいぜい今度のオフにどこに出かけようか、くらいのことしかしたことなかったし、だいたい偶然飛んできたブーケを差し出されてみんなの前で「結婚しよっか」なんて、冗談としか思えない。

ミナムの本気に気づいたのはまだ最近のことで・・・


今まで目の前の仕事と、日々の生活のことしか考えたことがなかったヘイは戸惑った。


ミナムのことは好きだけど、結婚となると自分一人の問題ではなく簡単には返事ができない。それに相手がミナムだからこそいい加減な返事はしたくなかった。

でも「セフレ?」なんて言葉がミナムの口から出たことが哀しくて悔しくて・・・だからついあんなことを口走ってしまった。だけどそれは本心じゃない。そんなのミナムだって判ってると思ったのに・・・


毎日かかってきた電話もメールも、あの日以来ヘイの携帯を鳴らしてはいない。

廊下ですれ違っても同じ番組に出演しても、まるで知らない人のようにスルーされてしまう。いや、いっそ初対面の方が、はじめましてとあいさつをするぶんいいほう。

声をかけてもまた無視されたら・・・そう思うと自分から話しかけることができなくなっていく。


傷つくのが怖くて近寄ることができず、それを認めたくなくて平気なフリをして時間ばかりが経っていった。






テレビ局の一階にあるカフェ。番組の収録を終えたヘイはマネージャーと共に席に着いた。


「ヘイさん、あそこにいるのミナムさんじゃないですか?」


ヘイ達の座った奥の席から大きな観葉植物越しに見えたのは、ミナムの姿。


「一緒にいるの誰ですかね、知らない顔だけど・・・」


店に入って来てミナムと座った女はマネージャーが言うようにヘイも知らない顔。

ヘイと違ってフレンドリーなミナムは声をかけられることも多く、ヘイの知らない人ともよく話をしているのを見かける。それ自体はいつものことで、特に気にすることでもなかったが。


「あれ?ミナムさん、こっちに気づいたみたいだけど・・・」


こんな時、いつものミナムなら席を立ってヘイの方へ来るのに、今日はそのまま視線を逸らし、知らん顔をしている。


「はぁ~・・・今回の喧嘩、長いですね。何があったか知りませんが、早く謝った方がいいんじゃないですか。」


「ほっといてよ。」


いつものような喧嘩ならそれもできたかも知れない。でも今回の喧嘩は今までとはちょっと違う。そもそも喧嘩といえるのかどうか・・・

ミナムが女の方を見ながら笑っている。それだけでムカつく自分に腹が立つ。

こんなにも好きで、自分以外に笑顔を見せて欲しくないと思っているならどうして本当のことを話さなかったのだろう。

両親に反対されている・・・と。

素直に話せば、よくある話だとミナムは笑い飛ばしたかも知れない。でも、ミナムとつき合っていること自体渋い顔をする両親。反対されている理由が、ミナムが養護施設で育ったからだなんて言えなくて・・・


「あ、ミナムさん行っちゃいますよ、いいんですか?」


ミナムの動きをヘイの目が追う。振り向いたミナムと目が合いそうになり、慌てて視線を逸らした。


このままでいいわけない。

でも・・・

何て声をかけたらいいのか判らない。

どうしたらいいのか、判らない。

素直になれない自分がもどかしくて、嫌になる・・・






忙しい日々は余計なことを考えなくて済むからちょうどいい。でもそうやって問題を避けている間にも少しずつ変化はおきていた。

それはヘイが映画のロケで韓国を離れていた間にどんどん大きくなっていき。


ある日突然、思いもよらない形となってヘイの前に現れた。




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