You're My Only Shinin' Star (249) 海辺の町で 2 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

少しだけ開けた窓の前に立つと、そこから入り込んでくる冷たい風がミニョの髪をなびかせた。

海に面した大きな窓から見る闇には、まん丸の月が浮かんでいて、冴えた光は波打つ水面を銀色に照らしている。

頬を撫でる潮風は、時折弄ぶように長い髪でミニョの視界を遮り、その度にミニョは踊る髪を手で押さえていた。


「もう、じっとしてて。」


窓を閉めれば済むことなのだが、潮風を感じていたいミニョは、暴れる髪に文句を言う。やがて手で押さえることを諦めると、ざっと髪を結い上げ、ヘアピンで留めた。

テギョンがバスルームから出てきたのは丁度その頃。

暖房のきいている筈の部屋が妙に寒いことに気づくと、辺りをキョロキョロと見回し、窓辺に立っている人影を見つけた。


「何してるんだ、そんな暗いところで。」


テギョンは訝しげな顔をすると、目を凝らした。

テギョンの立っている場所は、ほんのりとオレンジがかった優しい灯りがともっているが、人影のいる場所は暗く、大きな窓から射し込む蒼白い光がミニョのシルエットを形作っていた。


「月を見ていたんです。今日は満月なんですね。」


振り向いたミニョは、シャワーを終えたばかりのテギョンがぶるりと身体を震わせているのを見て、ぴったりと窓を閉めた。

潮の匂いはしなくても、目の前に広がる景色は少しも変わらず、闇の中で静かな光を放つ月の美しさは充分に楽しむことができる。


「今、明るくしますね。」


その月がより一層綺麗に見えるようにと灯りを消していたが、この暗さではテギョンには不便だろうと、ミニョは電気のスイッチに手を伸ばした。


「いや、このままでいい。」


暗がりは苦手だが、真っ暗闇という訳ではない。月の光のおかげで、ゆっくりと歩くぶんにはそれほど支障がないくらいの明るさはある。

テギョンは目を凝らしながら窓辺へ足を進めた。

テギョンの視界の中で、おぼろげにミニョの影を形作っていたものが、はっきりとミニョの後ろ姿へと変わっていく。ミニョの隣に並び手を掴むと、その冷たさにテギョンは驚いた。


「冷えてるじゃないか。」


「ちょっとしか開けてなかったんですけどね、結構風が強くて。」


潮風を感じたくて、テギョンがシャワーを浴びている間、ずっと窓を開けていたと話すミニョ。

ちょっと、というのが時間ではなく、窓の隙間の大きさだということが判ると、テギョンは冷たい身体を後ろから包み込むように抱きしめた。


「風邪をひくぞ。」


「大丈夫です。今、オッパにあっためてもらってますから。」


テギョンに言われるまではそれほど寒いと思っていなかったミニョも、テギョンの腕の中でその温かさを感じると、あらためて自分の身体が冷えていたことに気づく。

穏やかな温もりに身を委ね、ほっと息をついたミニョは、ガラス越しに見える銀色の輝きを再びうっとりと眺めた。


「綺麗ですね・・・」


「ああ・・・綺麗だ・・・」


ため息まじりの言葉は同じでも、それぞれの視線は全く別のものに注がれていた。ミニョは海の上に浮かぶ月に。テギョンは目の前のミニョに。

普段は髪をおろしていることが多い為隠されているうなじが、今は髪を結い上げることによって、テギョンの目の前に晒されている。

蒼白い光を浴び、艶めかしくも見えるその姿に、誘ってるのか?とテギョンの口の端に笑みが浮かんだ。


「ちょっ・・・んっ・・・オッパ・・・」


テギョンが熱い息を吹きかけ首筋に唇を這わせると、ミニョの身体が小さく震えた。リップ音を響かせ、時折舌先で舐めあげれば、甘い吐息が零れだす。

唇を奪いながら服の裾から忍ばせたテギョンの手が、ミニョの無防備な膨らみを包んだ。ひんやりとする柔らかな感触が手の中に広がる。


「ココも冷えてる・・・俺にあっためてもらうんだったよな。」


クスリと笑ったテギョンは半ば押し倒すようにミニョの身体をベッドへと横たえた。衣服を脱がせ、自らも身に纏っていたものを脱ぎ捨てると、眼前のしなやかな肢体を見下ろした。

大きな窓ガラスから射し込む月の光は、ミニョの身体を蒼白く浮かび上がらせている。

カーテンを閉めて欲しいというミニョの願いをあっさりとはねのけたテギョンは、胸を隠そうとするミニョの手をシーツへと縫い付け、ツンと上を向く膨らみの先端を口に含んだ。


「ん、あぁっ・・・」


窓の外は一面に広がる海。誰かに見られる心配はないのだが、それでもカーテンが開けられていることが恥ずかしくてたまらないミニョ。

羞恥心はミニョの肌をより一層敏感にし、指先で、唇で触れられた場所から、じんわりと全身へ広がっていく波に呼吸が乱れていく。

いつの間にかミニョの身体はしっとりと汗ばむほど熱くなり、吐息もテギョンを見つめる瞳も、熱を帯びていた。

逃げ場のない快感がミニョの中で蓄積され、自分ではどうすることもできないもどかしさに、ミニョの腕が静かに伸びた。しなやかな手がテギョンの首に回される。


「オッパ・・・」


熱い吐息とともにミニョの腕に力が入り、テギョンは引き寄せられるまま、唇を重ねた。

結婚して以来、幾度も甘い夜を過ごしたが、こんな風にミニョがキスを求めてくるのは初めて。

テギョンは少し驚きつつも、求められることが嬉しくて、貪るように熱い舌を絡ませる。
たぎる想いをミニョの中へ沈めれば、白い胸元で、月の光を浴びた小さな星がキラリと輝くのが見えた。




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