Sと呼ばないで | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

えーっと・・・番外編です。


久々の更新がコレ?
「好きになってもいいですか?」の後がコレ?

と自分でも思うんですが・・・


「まあ、これが私よね~」と開き直ってます(;^_^A



先に謝っておこう!

こんなお話でごめんなさ~いm(_ _ )m



☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



「ちょっとフニ、この間の件、どうなってるの?」


「へ?何だっけ?」


「何だっけ?じゃないでしょ!あんたの尻拭いするのはご免だからね!」


強い語気に俺は楽譜から顔を上げ、声の主に目を遣った。
そこには眉を吊り上げ、氷のような視線を向けるワン・コーディと、その視線の先、蛇に睨まれたカエルのように固まり、ゴクリと唾を飲み込むマ室長。


はぁ~・・・ったく、毎度毎度、よく飽きもせず同じことができるものだと、俺はため息をついた。
ま、どんなヘマをやらかしたか知らないが、俺に迷惑がかからなければそれでいい。
そう思ってるのは俺だけじゃない。その証拠に周りにいる連中も皆、呆れ顔をしつつ、嘲笑にも似た笑みを浮かべている。


「おーい、ワン、待ってくれよ~」


カツカツと小気味のいいヒールの音を響かせて去って行くワン・コーディと、ずり下がった眼鏡を指で押し上げながらバタバタと追いかけるマ室長の姿も、よく見かける光景だった。

二人がこの場からいなくなったおかげで少しは静かになった。
俺はやれやれと、また楽譜に目を戻す。しかし今度は別の奴がしゃべり出した。


「あの二人、なんだかんだ言ってうまくいってるんだから、不思議だよねー」


「マ室長がMだから、うまくいってんだろ。」


ジェルミが感心したように呟くと、ミナムはマ室長が消えた方を見ながら、フンと鼻で笑った。
この二人の遣り取り、話の内容は俺にとってはどうでもいいことだが、なぜ俺のすぐ傍で話し出すんだ?静かにしろ、俺は仕事中だ。


「やっぱそうだよね、マ室長って、Mだよね。」


何がそんなに楽しいんだか判らないが、ジェルミの声はずいぶんと弾んで聞こえる。


「決まってんだろ、あんなに判りやすい男もそういないと思うけど。ね、シヌヒョン。」


おい、ミナム、なぜそこでわざわざシヌに話を振る。
これ以上俺の近くで話をするなと思いながら隣を見ると、シヌは読んでいた雑誌から顔を上げることなく、「そうだな」と答え、コーヒーに手を伸ばした。
それはシヌにとってもどうでもいい話のようで、それ以上シヌが何か言うことはなかったが、そんなシヌの態度を気にするでもなく、ジェルミとミナムは話を続ける。


「判りやすいって言えば、テギョンヒョンもだよね。」


「テギョンヒョンの場合はMじゃなくて、Sだけどな。」


そう言ってクスクス笑いながら俺の方をチラリと見る二人は、その後も俺のことをSだと連呼する。

マ室長がMで俺がS・・・

仕事の邪魔をされるだけでもイラつくのに、その上、聞き捨てならない言葉に俺は眉をピクリと動かした。


「俺が、S、だと?」


ギロリと二人を睨みつけてやった。


「あれ?自覚ない?」


「ミニョだって知ってるでしょ。」


「いや、ミニョはたぶんそういうの、判らないと思うぞ.。」


「ええー、じゃあ教えてあげた方がいいかなぁ。」


いつもなら俺の睨みで静かになるジェルミも、今日は全く怯んだ様子を見せない。
楽しそうに話をする二人を見て、俺の怒りは増していく。
だがここで声を大にして「俺はSじゃない!」と言うのも何だか大人げない。それにムキになっているだけだと思われそうだ。
俺は一度大きく息を吸って、気持ちを落ち着けた。

きっとこの二人は何か誤解をしているに違いない。


だいたいどうして俺をSだと思うんだ?お前達は一体俺の何を知っているというんだ。確かに仕事だけの繋がりじゃない、何年も合宿所で一緒に生活もしていた。ジェルミとはA.N.JELL結成以来、俺が結婚するまでずっとだ。だからといって、おれのすべてを知っている訳じゃないだろう。俺はたとえ仲間でも、他人にすべてをさらけ出したことなどないんだから。


「おい、自覚がないとか、そういう問題じゃない。俺はSじゃない、それはミニョが一番よく知ってる筈だ。」


本当の俺を知っているのは、ミニョだけ・・・



そうだ、俺のモノはSmallでもなければShortでもない!!



男としてのプライドを傷つけられ、声を荒らげてしまいそうになるのをぐっと堪え、静かに諭すようにそう言ってやった。
しかしそんな俺のいつもと違った控え目な態度に、図に乗ったジェルミは悪びれた様子もなく、ずけずけと言葉を続けた。


「ああ、そっか、ゴメンゴメン、ドが抜けてた。テギョンヒョンはただのSじゃなくて、ドSだったね。」


ど?・・・ドえす・・・

時々耳にする言葉だな。


「その”ド”というのは、すごいとか、とてもという意味か?」


「そうそう。」


笑いながらサラリと答えるジェルミ。
ちょっと待て・・・マ室長のモノはMサイズで俺のはSサイズで、しかも、すごく小さくて短いというのか!?

俺は自分の頬がけいれんするのをハッキリと感じた。しかし湧き起こる怒りを抑えようと、ぐっと拳を握った。
俺の怒りのオーラに気づいたのか、さっきからミナムは黙ったまま。そしてじりじりと、俺から遠ざかっている。
いい判断だ、今までの俺なら俺を侮辱したお前達を容赦なく怒鳴りつけていただろう。
しかし俺は結婚して精神的にも成長した。一皮むけて、更に大きくなった俺はジェルミの言葉など、ただの戯れ言として片付けてやろう。
そしてきちんと、俺の真の姿を教えてやればいい。

俺は怒りの心を落ち着ける為、ゆっくりと息を吸った。


「俺は、Sじゃない。俺のは・・・Lだ。」


LongでLargeな俺は、細かい説明など一切せず、静かにそう言い切ると胸を張った。
ここで”ド”をつけなかったのは俺の謙虚さの表れだな。


し~んと静まり返った部屋に、シヌがコーヒーを噴き出し、ゴホゴホと咳込む音だけが響く。
どうしたシヌ、大丈夫か、気をつけろよ。
ジェルミに対しての怒りを身の内に抑え込みながらも、シヌを気遣う余裕さえある俺。
ミナムは感嘆の声すら今の俺には気に障ると思ったのか、目にうっすらと涙を浮かべながら、声が漏れないように手で口を押さえている。


実際に目の前で見せてやれないのが残念だが・・・いや、もともと真の俺の姿はミニョ以外に見せるつもりは毛頭ないが。
まあ、この俺の堂々と自身に満ち溢れた態度から、いかに俺のことを誤解していたか、ポカンとだらしなく口を開けたまま突っ立っているジェルミにもよく判っただろう。


俺は楽譜を手にしたまま立ち上がると、フッと口元に笑みを浮かべ、部屋を出た。



三人の、痛いくらいの視線を背中に受けながら・・・




。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆




失礼しましたーε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ




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