You're My Only Shinin' Star (230) 思い出づくり | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

「オッパ・・・」


肌を伝う汗。

赤く上気した頬。

浅く荒い息。


ハァハァと整わない息の下、俯くミニョは上目遣いでテギョンを呼ぶ。


「どうした、もう限界か?」


ミニョとは違って少し呼吸が乱れただけのテギョンは余裕の表情で口の片端を上げた。


「お前から誘っておきながら、だらしないな。」


「だって、オッパ・・・急に、いじわる・・・するから・・・」


「意地悪?普通だろ。まあ確かにちょっと揺さぶりすぎたかも知れないが。・・・仕方ない、少し休憩するか。」


やれやれと小さく笑うとテギョンはベンチに腰を下ろし、額の汗を丁寧にタオルで拭いた。




『夏の思い出、つくりましょう』




そう言ったミニョは翌日、テギョンをここへ連れてきた。

以前シヌやジェルミと一緒にバドミントンをした公園。

あの時と同じ様に周りはお年寄りばかりで、テギョンもミニョも周囲を気にすることなく思いっ切り二人の時間を楽しんでいた。

途中までは・・・


「昔、お兄ちゃんやソンジェ君ともバドミントンしたんですよ。」


にっこり笑うミニョのそのひと言で、それまでミニョが楽に取れる場所へ軽く打っていたテギョンが急に前後左右に揺さぶりをかけだした。それも全然届かない場所ではなく、ちょっと走れば十分に間に合う場所へ。

結果、ミニョはシャトルを追いかけ前へ後ろへ、右へ左へ走り続ける。

まだ朝早い時間とはいえ、夏の暑い陽射しにあっという間に汗が噴き出した。

ハァハァと荒い息を吐き、ゴクゴクとペットボトルの水を飲むミニョの隣でテギョンも水を飲む。


「夏の思い出なんて言うから何かと思ったが・・・どうしてバドミントンなんだ?」


「オッパと一緒に思いっ切り身体を動かしたかったんです。その方が思い出に残るっていうか、遊んだ~って気がしませんか?お兄ちゃんのフリをしてた頃ちょっとだけやったのを思い出してここへ。サイクリングも考えたんですけど・・・オッパと一緒に道に迷いそうで。」


それはそれで楽しいかなとも思う。

ついてこい!といわんばかりに前を走るテギョンの背中を追いかけ、次第に首が傾いていくのを見ながらこっそりと笑みを浮かべて。


「何!?大体そんな心配より、ミニョは自転車乗れるのか?」


「もちろんです。私、バイクにも乗れますから。」


「ああ、そういえば前にマ室長が言ってたな、ふらふらとずいぶん危なっかしい運転らしいが。」


「あれは・・・変な車が、後をついてくるから・・・」


小さくなっていく語尾にテギョンはクッと喉の奥で笑った。


「最初は、夏だから海がいいかなって思ったんですけど、水着買いに行く時間がなくて・・・」


「海か・・・ん?ちょっと待て。」


夏の砂浜にパラソルを立て、波と戯れるミニョを眺める・・・

確かにそれもいいなと思ったテギョンの眉間にしわが寄った。

夏の海には当然人が大勢いる。ミニョと二人でいるところを見られても全く構わないが、ミニョの水着姿を他の男共に見せるのは大いに構う。


「海は・・・夏より冬の方がいいぞ、星がきれいに見える。」


さり気なく冬を勧めるテギョン。

冬の暗い海。波の音を聞きながら砂浜で二人寄り添って星を眺める。


「それもいいですね。では月の見える夜にしましょう。」


「そうだな、俺には月しか見えないし、月だけ見えればいい。」


テギョンはミニョの手を包み込むように握った後、指を絡めるように繋いだ。


「楽しいか?」


「はい、とっても。」


「俺もだ、でも・・・俺といる時に他の男の話はしなくていい。」


キョトンと首を傾げるミニョ。


「さっき言っただろ、バドミントンしてる時。」


ほんの少しだけ顔をしかめるテギョンに、ああ、そういえば・・・とミニョはクスリと笑う。

本当にオッパは焼きもち焼きですね~・・・と口に出しては言わないが、ミニョが何を考えているのかその表情から察すると、テギョンは尖らせた口を左右に動かした。




「あ、いたっ!ミニョ~、ヒョ~ン!」


ベンチで座る二人に手を振りながら駆け寄って来るジェルミが見えた。


「二人だけでずる~い、俺も入れてよ、一緒にやろ?」


「なっ、ジェルミ、お前何でここに。」


ジェルミは笑顔でブンブンとラケットを振り回している。


「さっきオッパがお水買いに行ってる間に電話があったんです。何してるの?って聞かれたんで、ここでバドミントンしてるって・・・」


いけませんでしたか?という表情で小首を傾げるミニョにテギョンは小さくため息をついた。


「シヌヒョンも一緒だよ。ミナムも誘ったんだけど、パ~スって。」


大きく肩を回しながらやって来たシヌは、「さあ、やるか」とミニョに微笑む。


「誰とペア組むんだ?」


「前と一緒でいいよ。シヌヒョンはテギョンヒョンと、俺はミニョと。」


「ちょっと待て、勝手に話を進めるな。何で俺がシヌとなんだ、だいたいまだ一緒にやるとは言ってないぞ。」


「人数多い方が楽しいじゃないか。じゃあ俺はミニョと組むか。」


「どうして俺がジェルミとなんだ。俺は当然ミニョとだろう。」


「え~、それじゃつまんないじゃん。」


「オッパ、私は誰とでも構いませんよ。そうだ、じゃんけんで決めませんか?一番勝った人がペアの相手を選ぶんです。残った二人でペアを組んで・・・」


「よーし、いいだろう。じゃーんけーん・・・」


最初のじゃんけんで一人負けたミニョを除き、残りの男三人のじゃんけんは、なかなか勝負がつかなかった。




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