すみませ~ん
『なま物系』の番外編です。
私の中で腐ってしまう前に書きました。
今なら勢いでアップできる・・・
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ある穏やかな日の午後。
ダンスのレッスンを終えたジェルミは床にペタンと座り込み、顔から滴り落ちる汗をタオルで拭きながら練習生たちと雑談をしていた。
「マ室長って時々とんでもないこと考えるんだよね。」
「聞きました、抱き枕のことですよね。」
試作品の抱き枕のことは事務所の中でもあっという間に広まっていた。
「そうそう、テギョンヒョンの裏がシヌヒョンってのは笑ったね。あの時のテギョンヒョンの顔、可笑しくって。」
ピキーン!と固まったテギョンの顔を思い出し、ぶぶぶっと口に拳を当て笑うジェルミ。
「俺はそれよりもアン社長のネーミングに笑いましたね。」
「テギョン君1号!」
「俺も笑った~、何か南極1号みたいで。」
床に輪になって座る男達は互いの顔を見てクスクスと笑い出す。
「南極1号か・・・」
「噂でしか聞いたことないんだよな。」
「一度見てみたいな。」
「使ってみたいの間違いなんじゃね~の?」
男達のトークはテギョン君1号の話からすっかり南極1号の話になっている。
「南極1号がどうかしたんですか?」
ニヤニヤと笑いながら話に夢中になっていた男達は、声をかけられるまですぐ近くに人が来たことに気づかず、キョトンと首を傾げるミニョを見て慌てて口をつぐんだ。
「ミ、ミ、ミニョ!いつからそこに!?あーっと、テギョンヒョンなら朝からいないよ!」
「知ってます。オッパ出掛ける時に楽譜持っていくの忘れたみたいで、帰りは遅くなるからアン社長に届けて欲しいって、さっき電話が。」
慌てて話を逸らすジェルミにミニョは手に持っていた封筒を見せた。
「で、さっきの話なんですけど・・・」
「え?あー、いやー、気にしないで!」
「南極1号って、そんなに有名なんですか?」
「へ?ミニョ、知ってるの?」
「ええ、まあ一応・・・」
まさかミニョがダッ〇ワイフのことを知っているとは思わなかったジェルミと練習生達は目を丸くしてミニョを見る。そして・・・
「オッパが好きなんです、南極1号。」
ミニョの衝撃の言葉に一瞬全員が石のように固まった。
し~んと静まり返ったレッスン室。
次の瞬間、顔を見合わせた男達の驚きの声が響き渡る。
「えーっ!嘘だろーっ!?」
「テギョンさんが好きって!?」
「南極1号をっ!?」
「ていうか、使ったことあるのかっ!?」
「ミニョさんがいるのにっ!?」
大騒ぎの練習生達。
「ミニョ、その話本当なの!?」
「はい、この間オッパが買ってきたんです。すごく気に入ってるみたいで、名前とか売ってるお店とか色々教えてくれて・・・」
店!?
ファン・テギョン御用達アダルトショップ!?
更に大騒ぎになった男達だが、ハタとあることに気がついた。
もしもこんなことが外部に漏れたら・・・
『ファン・テギョン 南極1号にハメ・・・ハマる!?』
「・・・終わりだ・・・」
誰かがぼそっと呟いた。
ゴシップ誌に何を書かれるか判らないと、全員目くばせをして手で口を塞ぐ。
「2号とか3号もあるみたいなんですけど、でもどうして南極なんでしょうね。南極で作ってる訳でもないのに。」
「さ、さあー、知らないなー、そういうのってシヌヒョンが詳しいと思うよ。うん、シヌヒョンに聞いてみて。」
ミニョの素朴な疑問に答えられる筈もなく、このまま話を続けられる訳もなく。裏返った声でジェルミはシヌヒョン向こうにいたから、とミニョの背中を押し、部屋から追い出した。
レッスン室を出た後、廊下を歩いていたミニョは自販機の前で何やら飲んでいるシヌを見つけ、丁度いいと先程の疑問をシヌへ投げかける。
ミニョの言葉にむせてゴホゴホと咳込むシヌは、背中をさすってくれるミニョを手で制し、呼吸を整えた。
「テギョンが好きだって!?」
「はい、私も大好きです、美味しいですよね。でも皆さん名前まで知ってるなんて、やっぱり有名なんですね。私なんか最近オッパに教えてもらうまで全然知りませんでした。」
ミニョも好き?美味しい?
シヌの頭の中は知識として知っているアレと、明るく答えるミニョの言葉がどうしても結びつかず、混乱している。
「ミニョ、一体何の話を・・・」
「え?キュウリですけど。」
「は?」
「キュウリ。日本産の南極1号っていう名前のキュウリです。でもどうして南極ってつくのか謎で・・・ジェルミにシヌさんなら詳しいんじゃないかって言われて。」
テギョンの好きな南極1号=キュウリ
・・・なるほど・・・
やっと納得のいったシヌはクスクスと笑い出した。
「ゴメン、俺にも判らない、ホント、どうして南極なんだろうね。」
しかも1号って・・・
小さく噴き出し、笑い続けるシヌを不思議そうに見つめるミニョ。
「ミニョ、何か他の用事があったんじゃないの?」
「あ、そうでした。これ、アン社長に渡しに行くところでした。」
ミニョは手に持っていた封筒に目を遣ると、ペコリと頭を下げシヌの前から去って行く。
「ん?ミニョ、今の話他のヤツにもしたんだよな。ちゃんとキュウリのことだって言ったのか?」
小さくなっていくミニョの背中を見送りながらシヌは小首を傾げる。
「・・・ま、いっか。」
俺のことじゃないし・・・と、特に気にすることもなく、シヌは空になった紙コップをゴミ箱へと投げ入れた。
その後、事務所内でテギョンに関する妙な噂が流れ・・・たかどうかは判らない。
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この間の番外編でいただいたコメントから思いついたお話♪
キュウリです。
ただのキュウリのお話です。
本当に何故このネーミングなんでしょうね~(〃∇〃)
なかなか頭から離れないので、さっさと文章にして頭の中から追い出しました。
じゃないと気になって本編が進んでいかないの~(T_T)
呆れる?
こんな話ですみませ~んm(__)m
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