夢で逢えたら | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

番外編です。

えーっと、とりあえず、どうぞ・・・


     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆


A.N.JELLのマネージャーとして毎日東奔西走するマ・フニ。

誰にも知られていないが、実は彼はA.N.JELLグッズ企画開発部長という肩書を持っている。

ファンに喜んでもらえる物を!と、マネージャーの仕事をしながら時々商品開発に意欲を燃やすが、なかなか発売までこぎつけることが出来ず、いたずらに試作品ばかりを増やしていた。


「アン社長、試作品として出来上がった物を持ってきました!」


会議室のドアを勢いよく開け、何やら大きな物を抱えて中に入って来たマ室長は得意満面で運んできた荷物をドサリとテーブルの上に置いた。


「おおっ!アレが出来たのか。よし、早速メンバーの反応を見てみよう。」


「実はアン社長を驚かそうと思ってこっそりと別の試作品も作ったんです。いい出来ですよ~、後でそっちも見て下さい。」


マ室長は大きなバッグを指差すがアン社長は生返事をすると目の前の試作品の出来栄えに満足そうに頷き、A.N.JELLのもとへと急いだ。


「ストーップ!ソーリー、練習中悪いがちょーっとこれを見てくれ。」


練習を中断させられたA.N.JELLのメンバーは何事かとアン社長に注目する。

『ジャーン』と擬音付きでマ室長が見せたのは大きな大きな抱き枕。

しかもテギョンの全身の写真がプリントされているテギョン枕。


「な、何だ、ソレは・・・」


テギョンが口元をひくひくと痙攣させ、首を傾げながら枕になった自分を指差す。


「それにしてもでかいな・・・」


シヌはテギョンのプリントよりもその大きさに感心しているようだ。


「これはただの 『アイドルの写真がプリントされただけの抱き枕』 じゃないぞ、ちゃんと睡眠学的見地から計算された最高の抱き心地のカーブと程よい柔らかさ、最もリラックスできるという肌触りを追求した究極の抱き枕 『テギョン君プロトタイプ』 なんだ!ちなみに正式に商品化が決まれば 『テギョン君1号』 という名前にする予定だ。」


アン社長はテギョンを・・・じゃなかった、テギョン枕をギューッと抱きしめる。


「うっ・・・」


テギョンの身体は一瞬にして全身トリハダ状態。


「どうだ、これは売れると思わないか?皆が賛成してくれればすぐにでも量産するぞ。」


テギョンの身体に・・・もとい、テギョン枕にスリスリと頬ずりするアン社長を見てテギョンは身震いする。


「テギョンと一緒に夜を過ごし、朝起きた時もすぐ隣にいるなんてファンは大喜びだぞ。きっと夢の中でもテギョンに逢えるだろうな。」


テギョンを抱きしめ・・・いやテギョン枕を抱きしめ恍惚の表情のアン社長。


「でもそれいくらなんでも大き過ぎませんか?」


「少しでもリアル感を出す為に等身大にこだわったんだ。150cmのテギョンなんて嫌だろ?」


なるほど、とシヌは頷く。


「いやー、ミニョさんも喜ぶんじゃないか?テギョン君1号。ギューッと抱きしめたりして・・・」


マ室長のひと言に硬直していたテギョンの身体がピクリと反応した。


「ミニョが・・・」


テギョンの頬が少しずつ緩みだす。

もちろん本物の自分を抱きしめてもらいたいのは山々だが、なにぶん忙しい身ではいつも傍にいてやることは出来ない。帰りが遅い日もあれば、地方で泊まることもある。

そんな時これがあれば・・・


『オッパがいないのはす――――っごく寂しいですけど、私、これを本物のオッパだと思って我慢します。オッパ~』


ムギューッと愛おしそうにテギョン枕を抱きしめるミニョも可愛いかもしれない・・・と、顔がニヤつくテギョン。


「でもそれってさあ、結局大きさと形と肌触りだけなんだろ?もっと他にも何か特長とかないの?声が出るとかさあ。」


「ミナム、いいとこに気づいたな。コストを抑えたから声は出ないが、俺は考えに考えた末、枕の裏側に注目した。」


得意気に胸を張るマ室長。


「枕の裏側って、単に反対側ってこと?別の服着たテギョンヒョンが写ってるとか?」


「テギョンの後ろ姿・・・じゃあ普通か。」


「判った!何も着てない裸バージョン!あ、一応パンツはビキニの際どいヤツで。」


ジェルミ、シヌ、ミナムがそれぞれ思いついたことを口にするがどれも正解ではないらしく、マ室長はフッフッフッと笑うとテギョン枕をくるりと裏返した。

そこには・・・


「反対側は等身大のシヌだ!題して 『夢で逢えたら・・・一挙両得リバーシブル枕!』 あらびっくり、夜寝た時はテギョンと一緒だったのに朝起きたらシヌがいるなんて・・・私って罪な女ね。」


上目遣いで小さな目を瞬かせ、女言葉でしゃべるマ室長。


「これはお得感があっていいだろ。 『テギョン君1号』 は実は 『シヌ君1号』 なんだ。ちなみに身長の関係でジェルミの反対側はミナムになっているのを作る予定だ。」


「あ、テギョンヒョン固まっちゃってる。」


「当たり前だろ、テギョンの抱き枕であると同時に俺の抱き枕でもあるんだから。」


「帰って来たテギョンヒョンの目に映ったのがシヌヒョン枕を抱きしめてるミニョだったら、心臓止まっちゃうよ~」


ハハハと笑う三人とは対照的に、テギョンは怒りで握った拳をワナワナと震わせる。


「却下だ、却下っ!!」


テギョンは抱き枕を奪い取ると、そのままボスッと床へ投げつけた。


「おいおいテギョン、俺の方を下にして投げつけるなよ。」


クスクスと笑いながら枕を拾い上げ、埃を払うシヌをテギョンはギロリと睨む。


「この枕、ベッドに入れておいたらテギョンヒョンとシヌヒョンが同じベッドで寝てるってことにならない?」


今度はぶぶっと噴き出すミナムをキッと睨みつけると、テギョンは不愉快極まりないといった顔で部屋から出て行ってしまった。


「なかなかいいアイデアだと思ったんだけどなぁ・・・じゃあこれなんかどうだ?こっちのは顔がないから皆のを作った時、見分けをつけるのが大変なんだが・・・」


怒って出て行ったテギョンは放っておき、次は、と大きなバッグからマ長が取り出したのはどう見ても人の腕と脚。

二の腕から手の指先までの腕と、太腿から足の指先までの脚は一瞬にしてその場を凍りつかせた。


「姉妹品、こっちが『腕枕』で、こっちが『膝枕』。どっちもシリコンゴムを使った極めて本物の皮膚に近い感触で、間接もちゃんと曲がるし爪や血管もある。メンバー四人の腕型と脚型から作った精巧な物で・・・」


まるで身体から切断された四肢のようにゴロンと横たわる腕と脚に、アン社長もメンバー三人もかなり引き気味でマ室長を見る。


「うっ・・・何かそれ、気持ち悪い・・・」


「マ室長、怖いよ~、夢に出てきそうだよ~」


「今晩うなされそうだ・・・マ室長、今回の枕の話、全てなかったことにしよう・・・」


あまりにもリアルすぎる腕と脚にショックを受けた皆の顔が引きつる。


「マ室長、それ処分する時気をつけた方がいいよ。死体損壊・遺棄とか警察沙汰にならないようにね。」


シヌの言葉に一同大きく頷く。




こうして今回も世に出回らないマ室長考案の妙な試作品が増えたのだった・・・




。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆




前回と前々回の記事にいただいたコメントから妄想が広がったお話です。


『テギョン枕』 『等身大抱き枕』 使わせてもらいましたm(__)m





後日談。



1.テギョンがこっそりとマ室長に頼んで、ミニョの写真でミニョ枕を作ってもらった。


「オッパ、本物の私がいるのに何でそんなもの抱きしめてるんですか?いいです、オッパは抱き枕と一緒に寝て下さい、私は一人で寝ます。」


拗ねたミニョはテギョンと寝るのを嫌がった。





2.完成したミニョ枕の裏側は手違いでシヌ枕になっていた。


「その抱き枕、私はカムフラージュで本当はシヌさんを抱きしめてたんですね。」


ショックを受けたミニョはテギョンと寝るのを嫌がった。




3.『腕枕』と『膝枕』の処分に困ったマ室長はそれがテギョンの型から作ったもの

  だと思い出し、ミニョへプレゼントした。


「キャーッ!オッパの腕、あの変な腕とそっくり!いやーっ!!」


怖がったミニョはテギョンと寝るのを嫌がった。





あれ?何故かどれもテギョンが可哀想なパターンばかり(笑)




妙な妄想は続きます~



テギョンが結婚前なら、ミニョ枕を使って秘かに〇〇〇の練習したりとか。

実はミニョは寝相が悪くていつもテギョン枕をベッドの下に蹴落としているとか。

ワンコーディがマ室長の枕を作ってもらってサンドバッグ代わりにしてるとか。

『腕枕』 をロッカーに隠しておいたマ室長。いつの間にか開いた扉から腕が出ていてスタッフを戦慄させたとか。



はぁ~・・・きりがないのでこの辺で。


後は皆さんご自由に妄想して楽しんで下さい。




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