You're My Only Shinin' Star (210) 心は傍に 3 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

いつの間にかミニョはテギョンの歌声を聴きながらうとうととしてしまったらしい。

ポケットの中で震えている携帯に気づくと慌ててベッドから身体を起こしヘッドフォンを外して電話に出た。


『どうした、何度も電話したのに・・・何かあったのか?』


いつもならすぐに出るのに今日はなかなか電話に出ないミニョを心配しているのかテギョンの声に焦りが感じられる。

歌う時の少し高い声とは違う普段の低い声が今は一段と心地よく堪らなく嬉しい。


「いえ、あの、オッパの歌を聴きながらちょっと寝ちゃったみたいで・・・」


電話の向こうで『そうか・・・』と小さく呟いたテギョンの声が安堵のため息を含んで聞こえ、そのことも何だか嬉しかった。


『今日は何をしてたんだ?』


いつもの会話。

ミニョはメールだけでは伝えきれない内容をテギョンに話す。


「はい、今日はカトリーヌさんがお仕事の打ち合わせだったので、イアンさんとたくさんお話しました。食事のお手伝いをしたり、後片付けをしたり・・・」


『何!?二人でか!?』


「はい、お世話になってるんですからそれくらいしないと。大丈夫ですよ、お皿割ったりしてませんから。」


『いや、そういう問題じゃなくて』


「イアンさんていい人ですね。優しくて面白くておおらかで安心するっていうか・・・身体が大きいせいでしょうか?温かく包んでくれそうっていうか・・・・・・今日はイアンさんがカトリーヌさんのことをとても大切に思ってるのが判ったし、カトリーヌさんもイアンさんのこと凄く愛してるんだなって・・・・・・二人を見てると早くオッパに会いたいなって思って・・・・・・・・・オッパ?聞こえてますか?・・・あれ?切れちゃってる・・・」


ミニョはテギョンの声が聞こえなくなりいつの間にか電話が切れていることに首を傾げながら携帯をしまうと、またヘッドフォンを嵌め優しく歌うテギョンの声に耳を傾けた。






「チッ!男と二人で食事の仕度に後片付けだと?イギリスまで行って何やってるんだ、そういうことは俺とするべきだろう。」


ミニョが他の男のことを褒めるのが気に入らず、二人きりだということに腹を立て話の途中で電話を切ってしまったテギョン。

当然最後の『早くオッパに会いたい』という言葉を聞く筈もなく、一人、部屋で携帯を睨みつけ口元を歪めていた。


今までのミニョの話によるとカトリーヌの夫イアン・ジョーンズはカトリーヌよりも十歳年上の四十歳。

彫の深い顔に黒いフレームの眼鏡をかけ、長身のカトリーヌよりも背は少し高いだけだが肉付きのよさがその身体をより大きく見せているらしい。

しかし決して太っているという訳ではなく、適度に筋肉の付いた身体は体格がよいという部類に入る。

ごくごく普通のサラリーマンで通勤は毎日一時間自転車をこぎ、ニ十階にあるオフィスまでエレベーターを使わず階段を上って行くという・・・


「あー、何だってそんなどうでもいいこと思い出すんだ!」


テギョンはミニョからメールと電話で聞かされたイアンのことを思い出し、ドスドスと床を踏み鳴らしながら部屋を出た。






「ああ、判ってる、ミニョはわざと俺に焼きもちを妬かせようとして男の話をしてる訳じゃないってことは・・・だから余計に腹が立つ。」


テレビ局の廊下を不機嫌オーラを纏いながらズンズン歩いているテギョン。

誰を睨んでいるという訳ではないが、その眼光の鋭さにすれ違う人々は皆顔を逸らし道をあける。


ミニョがわざと焼きもちを妬かせようとしているのなら「可愛いヤツ」で済むのに、ただ素直に感じたこと、思ったことを伝えようとしているだけであって他意など微塵もない。逆にその素直さ故にテギョンは焼きもちを妬くことになるのだが、当のミニョはそんな事思いもよらないだろう。


朝起きてミニョと話をし、今日も一日いい気分でスタートしようと思っていたテギョンの思惑は初っ端から外された。

控え室で音楽プレーヤーを睨みつけるように見ているテギョンにジェルミが近づく。

ジェルミは朝早く一人で合宿所を出て別の仕事をして今この部屋に入って来たばかり。テギョンが朝から機嫌が悪いことなど全く知らない。

ジェルミはシヌが止める前にテギョンに声をかけた。


「テギョンヒョン、聴いてないんならちょこっと俺に貸してよ~」


テーブルに無造作に置かれた音楽プレーヤーに伸ばしたジェルミの手をテギョンが摑んだ。


「触るな。」


地を這うような低い声。

その声だけでテギョンの機嫌の悪さが判ったジェルミはテギョンの顔を見ることもできず、ゴクンと唾を飲み込むとそろそろと手を引っ込めゆっくりと後ずさった。


「あんなに機嫌が悪いのって久しぶりだ、何があったの?」


ひそひそと小声でミナムに話しかけるジェルミ。


「朝部屋から出て来た時からあんな感じだったから、どうせミニョ絡みだろう。ミニョのことだから何気ない一言でテギョンヒョンをあの状態にしたんだと思うけど・・・向こうは今頃夜中か。まあ、こっちが夕方になればミニョからメールが入るだろうし、そうすりゃあ何とかなるさ。それまでは『触らぬ神に祟りなし』・・・ってね。」


ミナムは時計を見てイギリスとの時差を計算すると、ミニョからテギョンへのメールが入るまで放っとけばいいさと軽く答えた。


「そんな~、そういう時って・・・」


ドアが開きスタッフから出番だと告げられるとテギョンが椅子から立ち上がる。


「ジェルミ、少しでもミスしてみろ、一晩中練習だ。」


口の片端を上げジェルミの前を通り過ぎるテギョン。


「ほら~、絶対俺にとばっちりが来るんだよな~」


ジェルミは大きなため息をつきながらスタジオへ向かった。





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