施設での仕事を終え、一度マンションへ帰ってから待ち合わせの場所までバスで行く。
待ち合わせの時間は午後7時。
送って行くと言い張ったテギョンだったがその時間は丁度仕事で抜けられず、それならかわりに迎えに行くと言い出した。
「バスで帰ります」と言うミニョに「どうしても迎えに行く」と譲らないテギョン。
店にテギョンが現れれば大騒ぎになることは目に見えている。
隠す訳ではないが、必要以上に周りを騒がせるのは好まない。
特に今日会う二人はテギョンのファンで、「恋人です」とは言い辛かった。
店からそれ程遠くなくあまり目立たない場所を探し、そこに迎えに来てもらうことにしてミニョは出掛けた。
待ち合わせの場所へ行くとそこには既にソユンが待っていた。
「ごめんなさい、遅くなりました。」
「全然遅れてないって、私も今来たとこだし。」
程無くして二人の前に一人の女性が現れた。
ミニョと同じくらいの背の高さ。長めの髪は後ろで一つに纏められている。
身体を動かすのが好きだというシヒョンはアフリカにいた時と変わらずに小麦色に焼けた肌で手を振り走って来た。
「きゃー、ミニョさん久しぶり~、元気だった?」
「シヒョンさん、お久しぶりです。」
少しだけ息を切らせニコニコと笑顔で再会を喜ぶシヒョンにミニョも笑顔で応える。
「今日は私もご一緒しちゃってよかったんですか?」
「うん、いいのいいの、人数多い方が楽しいし、美味しいし、折角また会えたんだからゆっくり話しましょ。」
三人で歩いて五分ほどの店まで移動する。
夕食時ということもあって、店内は既に客で一杯だった。
予約していたテーブルへと案内されると、ソユンの隣にシヒョン、テーブルを挟んで向かい側にミニョが座った。
帰国してからのこと、今の生活のことからアフリカでのボランティアの思い出話まで、食事をしながら話は尽きない。
お酒の好きなソユンとシヒョン。
食事会はいつの間にか飲み会へと移行し、ミニョはソフトドリンク、ソユンは果実酒、シヒョンはビールを飲みながら話題は恋人のことになっていた。
「どうして男って彼女が自分の部屋に上がってくれた=OKってなるんだろ?」
「そんな男ばっかりじゃないよ。」
「えーっ、じゃあ私だけ?今までの男ってみんなそんな感じなんだけど。」
酔っているのかシヒョンの目が幾分据わって見える。
「一緒にDVD観てても身体触ってくるし、家族と一緒に住んでれば別だけど一人暮らしはダメ。キスだけじゃ済まなくなる・・・」
「いつもって訳じゃないでしょ?」
「そりゃあそうだけど・・・」
ソユンの返しにシヒョンは言葉を濁し目の前のビールを口にした。
ミニョの前で交わされている会話。
アフリカでボランティアをしている時も二人はこんな感じで話していて、そこに他国のボランティア仲間も加わり結構盛り上がっていたこともあった。もちろん女性だけの時に。
誰とでも気軽に話をするミニョだったがこういう会話の時はいつも聞き手専門。
ミニョが以前シスターになるつもりだったということを知っている二人は、ミニョには恋人はいないと思い込んでいるのかミニョに話を振ることもなく二人で話をしている。
しかしミニョも話の内容が判らない訳ではないし、全く興味がない訳でもない。
他にこんな会話をする人が周りにいないミニョはオレンジジュースを飲みながら二人の会話をじっと聞いていた。
「でも、まあ逆に全然手を出されないってのも不安じゃない?付き合ってるのにいつまでたっても手も握ってこないとか、キス止まりでそれ以上手を出してこなかったりとか。二人の間に何にもないのは、私に魅力がないのかなぁ~って。」
「そうだよね・・・うん、そう思うことにしよう。」
ソユンに話したことで少しはスッキリしたのか、ソユンの言葉に少しは安心したのか、シヒョンの顔が明るくなる。
ミニョは二人の会話を聞いて自分とテギョンのことを考えていた。
手は・・・繋いでるわよね。
昨日もお父さんのお墓に報告に行く時ずっと離してくれなかったし、キスも・・・してる。
それ以上?それ以上・・・・・・
わ、私だってそれ以上っていうのがどんな事なのかは何となく判る。判るけど・・・
えーっと、今までそんな雰囲気になったことあったかな?
あるような、ないような・・・
あ、首筋とか、胸元にキスされたことある。でもあれも結局はキス、なのかな?
そう言えば「何もしない」って言われたことがあるわ。あれっていつだったかな?
一度だけそういう雰囲気になったっていうか、そうなりそうなことがあったけど、あれはちょっと特殊な状況だったし・・・
同じベッドで寝て何もないっていうのは、変なこと、なのかな・・・
そもそも、何もないって、どこまでを言うの?
ああ、でもそんなこと恥ずかしくて聞けない・・・
目の前の二人の会話に割って入ることができず、一人思い悩むミニョ。
考えの行きついた先は・・・
オッパ・・・私って、魅力がないんでしょうか?
今までのテギョンとのあれこれを思い出し、顔を赤くしながらミニョは段々と俯いていった。
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