You're My Only Shinin' Star (184) 余計なひと言 2 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

開いたドアから姿を現したのはミナムとジフンだった。


「ジェルミ、やっぱりここでアイス食べてたのか。うわっ、ミニョまでいる、まさかアイスの匂い嗅ぎつけてきたのか?」


ミナムはジェルミの隣に座ると「俺も」とさっそくアイスに手を伸ばす。


「ミニョさん、こんにちは。」


ジフンは少し緊張した面持ちでミニョに頭を下げるとジュンホの隣に座った。


「アイスの匂いって・・・そんな訳ないじゃないですか。偶然階段のとこでヌナを見かけて俺がここまで連れて来たんです。」


「ヌナ?ミニョのこと?」


せっせとスプーンを口へと運んでいた手を止めミナムがジュンホを見た。


「ジュンホ、ヌナはやめろ、まだそう呼んでもいいって言ってないだろう?」


「え?ダメなんですか?どうして?俺の方が年下だし、ミニョさん、いいでしょ?」


いや、ミニョの許可じゃなくて・・・


ジェルミとジュンホの会話にその場にいたジュンホとミニョ以外の人間はミニョではない他の人物の顔を思い浮かべる。


ミニョはたぶんダメとは言わないだろう、でもアノ人は・・・


ジェルミは苦笑いし、ミナムはクスッと笑うと再びアイスを食べ始めた。

そしてジフンは・・・

テギョンとミナムの関係に疑いを持ち、テギョンとミニョの本当の関係を知った日。

テギョンが部屋から出て行くとミナムからテギョンのことで耳を疑うような話を聞かされていた。

一見無表情で物事に動じないように見えるが・・・いや確かにそういう面もあるが、ことミニョが絡むと話は別だと。

心配性で過保護な焼きもち妬きと聞き、なかなか信じられなかったがミニョが事務所へ来ていた時のことを思いだし、少しは納得できた。

テギョンの機嫌を損ねない為にもミニョにはあまり関わらない方がいいとミナムに言われ、今ミニョを目の前にして挨拶もぎこちない。


「ジュンホ、別に今まで通り「ミニョさん」でいいじゃないか。うん、きっとその方がいい、絶対平和に過ごせる・・・」


隣に座るジュンホにジフンはさり気なくやめておけと言ったが、ジェルミとジフンが何故そんなに反対するのかさっぱり判らないジュンホは、ヌナと呼んでもいいですかとミニョに迫る。

ジェルミはちょいちょいとジフンを呼びミナムを含めて三人でこそこそと小声で話し出した。


「ねえ、ジュンホってテギョンヒョンとミニョのこと知らないの?」


「はい、気付いてないみたいです。」


「教えてやった方がいいんじゃない?」


「俺は他言無用って言われてるんですから嫌ですよ。ジェルミ先輩言って下さい。」


「俺も嫌だよ~。テギョンヒョン自分のこと人にペラペラしゃべられるの嫌いだから。いくら公表したからって俺の口からは・・・」


ジェルミとジフンはアイスを食べ続けているミナムへ視線を向ける。


「ん?俺?俺も言わないよ、だって黙ってた方が・・・面白いだろ?」


ミナムはニコニコと楽しそうにミニョに話しかけているジュンホを見ながらクスクスと笑い続ける。

三人がヒソヒソと密談めいたことをしているとまた部屋のドアが開いた。


「お前達、こんなとこで揃ってアイスか?練習はどうした、ジュンホ、ジフン。」


大きく開いたドアから姿を現したテギョンはジュンホとジフンをギロリと睨む。

二人はテギョンの鋭い眼光に、立ち上がると直立不動で息を呑んだ。


「で?何でここにミニョまでいるんだ?」


男四人に囲まれ、のほほんと座ってアイスを食べているミニョを見てテギョンは顔をしかめるとミニョのことも軽く睨んだ。

テギョンの後ろではマ室長が部屋の中をひょいと覗きミニョの顔を見て、しまったという顔をした後、テギョンに気づかれないように下げた頭の上で手を擦り合わせミニョに必死の形相で目くばせをしている。

マ室長の姿にミニョはその場から立ち上がるとテギョンの方へと近づいて行った。


「すみません、オッパに会いたくて・・・来ちゃいました。」


テギョンの傍でテギョンにしか聞こえないくらいの小さなミニョの声。

テギョンはコホンと咳払いをすると緩む口元を拳で隠しつつ、「さっさと練習始めろよ」と言い残し、ミニョを連れて部屋から出て行った。




「俺、テギョン先輩に睨まれると身体が固まっちゃうのに・・・ミニョさんは全然平気なんですね。」


感心したようなジフンの声。


「ミニョだからね。」


何の脈絡もないジェルミの返事。


「ミニョは全く意識してないんだろうけど、ほんとテギョンヒョン操るのが上手いよな。」


クスクスと笑うミナム。


「あ~助かった。ミニョさ~ん、ありがとう~」


ドアの方を向いて手を合わせているマ室長。


「前にシヌ先輩がヌナはA.N.JELLの妹みたいなもんだって言ってましたけど、テギョン先輩本当に凄く可愛がってるんですね。妹にデレデレって感じがします。」


妹じゃないんだけど・・・デレデレは合ってる。


ジュンホ以外は皆その部分にうんうんと頷く。


「あ~でもテギョン先輩、恋人がいるんなら妹から卒業しなきゃダメですよね。でも誰なんだろ?ネット見たけどよく判んなかったし・・・ヌナなら知ってるかな?」


だからヌナはやめとけって・・・


ジェルミとジフンは心の中で呟きながらジュンホを見てため息をついた。






「それで?俺にジュンホに言えって言ってるの?」


夕方テレビ局から帰って来てギターの練習をしていたシヌがジフンに顔を向けた。


「俺の口からは言えないし、ジェルミ先輩も嫌だって。ミナム先輩は黙ってた方が面白いって言うし・・・。シヌ先輩お願いします、ミニョさんはテギョン先輩の恋人だって・・・ミニョさんにはテギョン先輩がいるんだから他の男なんか目に入らないし、テギョン先輩に敵うヤツなんかいないってジュンホに教えてやってください。」


シヌの頬がほんのわずかだがピクリと引き攣り、その後頭を下げるジフンにゆっくりと微笑んだ。


「い・や・だ。そんな事より練習を続けるぞ。休憩も食事も俺はなくていいから・・・何なら朝までずっと付き合ってやるよ。」


ジフンには優しく微笑んでいるシヌの顔が、何故か時々テギョンの睨みより怖いような気がした。




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