朝、ミニョが施設へ出かけるのをキッチンで食器を洗いながら見送ったカトリーヌは、ゴム手袋を外すと携帯を手にした。
「テギョン君、ちょっと話があるんだけど・・・ミニョには内緒で時間取れるかしら?」
合宿所でカトリーヌからの電話を受けたテギョンは、カトリーヌの口調から電話ではなく直接会って話がしたいと察し、その日のスケジュールを確認する。
テギョンはその場では何も聞かず、ただその日の午後なら少しだけ時間があると告げ、昼過ぎにマンションへ行きますとだけ言うと、電話を切った。
夜、テレビ局での収録を終えたA.N.JELLのメンバーは事務所へ戻るとそのまま会議室へと入った。
「以前話したと思うが、CMの件だ。」
アン社長の言葉と共にマ室長が四人へ台本を配る。
「四人揃ってのCMなんて久しぶりだよね。」
ジェルミが手元の台本に目を通しながらウキウキとミナムに話しかける。
「飲食関係なら俺とジェルミの二人で十分なのに。」
ミナムは頬杖をついてテーブルの上の台本をチラッと見た。
食品会社からのコーヒーのCMのオファー。
今まで三種類だったものに、新たにカフェオレを追加して四種類になった。デザインも新たになりそれぞれ違う味のものを飲むことになる。
「いいじゃん、四人の方がきっと楽しいよ、ねっ。」
シヌに同意を求めるジェルミ。
シヌはそうだなと静かに微笑み、テギョンは黙ったまま。
浅く椅子に座り、背もたれにもたれ腕組みをしたテギョンは会議室に入ってから一言もしゃべっていない。それ以前に、テレビ局からの帰りの車の中でも黙ったままだった。
普段からあまりしゃべる方ではないが、今日は何か考え事をしているのかジェルミが話しかけても「ああ・・・」と言うだけでほとんど無反応。
車の中で煩くしゃべり続けるミナムとジェルミにいつもなら静かにしろと睨みを利かせるのだが、それもなかった。
「おい、テギョン、聞いているのか?明日は頼むぞ。」
「あ・・・ああ・・・」
一通り説明をしたアン社長が部屋から出て行くとテギョンは眉根を寄せ口元を歪ませた。
「ミニョのことか?」
シヌの言葉に「そうだ」とも「違う」とも返事をしないテギョンはテーブルの上にある水のペットボトルへと手を伸ばす。
「仕事の話に身が入らないなんて、ミニョのこと考えてるに決まってるよ。」
「いいなぁ、テギョンヒョン。交際発表してからよくミニョのとこに行ってるよね。俺もたまにはミニョとご飯でも食べに行きたいのに。」
む~っと口を尖らすジェルミに「お前が行ってどうする」と鼻で笑うミナム。
シヌはそれ以上は何も聞かず、手にした台本へと目を向けた。
数時間前、編曲の仕事を一つ済ませたテギョンは時間を確認するとカトリーヌへ連絡をし、マンションへと車を走らせた。
「ミニョにね、私がいつイギリスへ帰るかってテギョン君と話しているのを聞かれたくなかったの。」
合宿所の練習室でそろそろイギリスへ帰らなくちゃと言った時のミニョのひどく沈んだ様子をカトリーヌは気にしていた。
ミニョに話すのははっきりと決まってからにしたいと言うカトリーヌにテギョンは頭を下げた。
「今まで俺の我儘を聞いて下さってありがとうございました。」
「あら、いいのよ気にしないで、元々半年くらいは韓国にいるつもりだって最初に言ったでしょう?ミニョと一緒に生活できて楽しかったし、何より家賃がタダなんだし。」
柔らかく微笑むカトリーヌにテギョンはもう一度頭を下げた。
「私はお役に立てたかしら?出来る限りのことをミニョに教えたつもりなんだけど。」
テギョンが驚き顔を上げるとニッコリと笑うカトリーヌと目が合った。
「・・・確かに最初はミニョを一人にするのが不安でした。でも途中からカトリーヌさんと一緒に生活することで、ミニョがカトリーヌさんから色々と学んでくれたらと思うようになりました。」
歌手としてはもちろん、指導者としてもカトリーヌの才能を高く評価しているテギョン。
「アマチュアなら私の力なんてなくても十分通用すると思うんだけど。・・・それともミニョにプロになることを勧めているのかしら?」
「自分でもよく判りません。プロになれば色々と不自由なことも出てくる。どこかの事務所と契約すれば自分の意思とは関係なく仕事を組まれることもある。俺はミニョには自由に歌って欲しい。その為に何が必要なのか、俺に何が出来るのか・・・」
「誰かに預けるつもりは・・・ないわよね。」
困った人だわねという視線にテギョンは苦笑いを浮かべる。
真剣に考え込んでいるテギョンにカトリーヌは優しい微笑みを向けた。
「テギョン君変わったわね。初めて会った頃はミニョが歌うことに賛成してなかったみたいなのに。」
「あれは・・・事情をよく知らなかったから・・・」
テギョンに内緒でクラシックを歌っていたミニョ。自分の知らないところでカトリーヌと二人で何かを始めていたことが気に入らなかった。
「でも・・・凄くいい顔をして歌うんです、あいつ。あの顔を見ていたらダメだなんて言えません。他の男に見せるのは勿体ないけど。」
「本人次第よね。ミニョがこれからも聖堂で歌うことで満足するか、それともそれ以上を望むか。」
ほとんど二人同時にテーブルの上に置かれたティーカップへと手を伸ばした。
「結婚はいつするの?ああ、でも私がここにいては邪魔よね、なるべく早くここを出て行くつもりではいるけど。」
カトリーヌより少し遅れてカップを置いたテギョンはそのままカップを見つめていた。
「今の仕事の状況を考えると・・・すぐには無理ですね。ゆっくりと二人で過ごせる時間が欲しいし・・・ツアーを終えてからと思っています。ミニョにはまだ話していませんが。」
交際発表をして間もない為、アン社長にはまだ待ってくれと言われていた。
「ならまだ時間はあるわよね。今日は私がイギリスへ帰ることと、もう一つ話がしたかったの。本当はミニョに先に話をするつもりだったけど、タイミングを逃してしまって。ここを出て行く時に・・・少しの間、ミニョをイギリスへ連れて行ってもいいかしら?」
思いがけない言葉にテギョンは顔を上げた。
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― ピグのお部屋より ―
君の瞳に乾杯ジュース(ブルー、レッド)、かき氷(3色、みどり)、栗ようかん、ありがとうございます。
今、我が家では毎日のように子供達がかき氷を食べています。
毎年、手動式の氷かき機でガリガリと作っていましたが、今年は電動式を買いました。
まだ使ってないけど、これからは子供達に作らせよう♪
*:.。。.:゜ *:.。。.:゜ *:.。。.:゜
昨日は近所のお宅で夕方から開かれた『バーベキュー&流しそうめん&スイカ割り』に参加させてもらいました。
10家族くらい集まったのかな?子供の数は約20人。
平日なのでお父さん達は数人でした。
スイカ割り・・・70cmくらいの巨大楕円スイカ!
小さい子から順番に角材で叩きましたが割れません。大人が叩いても割れません。男の人が叩いても割れません。
スイカ割りじゃなくてスイカ叩き状態。
スイカ、大き過ぎ!
あまりにも割れないので途中で包丁で軽く切れ目を入れ、叩き、なんとか割れました。
スイカ割りで盛り上がっている横では、子供達が公園で見つけて持って来たセミの幼虫が羽化を始めていて。
木に登り、動かなくなり、背中が割れて、白い身体が出てきて・・・
初めて見ました。白と緑色の綺麗な身体。
スイカ・・・「あーっ、もうすぐ割れそう!」
セミ・・・「あーっ、背中が割れてきた!」
あっちもこっちも大騒ぎ。
スイカが割れるよりも、セミの背中が割れる方が早かった(笑)
貴重な体験ができました。
後片付けをして、家に帰って来たら夜9時半。疲れた~
夏休み、まだ1ヶ月もあるのね。
更新がさらに遅くなりそう・・・ごめんね~
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