You're My Only Shinin' Star (180) ミニョの悩み 4 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

会いたい・・・


その言葉をミニョの口から聞きたくて、言わせたくて、わざと逆にミニョにどうしたいのか聞いてみた。


「・・・会いたいです・・・」


呟くようなミニョの小さな声。


会えなくても我慢できると思った。我慢していた。

毎日のように電話で話はしているし、メールの遣り取りもある。テレビをつければテギョンを見ることができる。

それでも・・・

会いたいという思いが募る。


交際発表をする前、合宿所の練習室で歌っている時もテギョンの帰りは遅いと判っているのに、もしかしたら仕事が早く終わって会えるかもしれないと思うとマンションに帰らず、「あと一曲だけ・・・」と、つい長居をしてしまった。

「どうしてこんな遅くまでいるんだ」と怒られても、その顔を、その声を、直接目の前で感じられることが堪らなく嬉しい。

テギョンに迷惑をかけていると思いながら、会いたいという思いを抑え切れず、ダメな自分にため息をつき、少しでも傍にいられる時間が自分にとってどれだけ幸せな時間なのかこうして今実感している。


テギョンの「会えない」という言葉の意味が自分の勘違いだったと判った今、自分の想いを言葉にして伝えたい・・・


「私は、会いたいです、もっともっと・・・。オッパは忙しい人だから、私が会いたいと言ったら迷惑になるって判ってはいます。でも・・・会いたいです・・・」


俯き加減で自分の想いを口にした後、顔を上げたミニョはテギョンの表情に戸惑った。


「オッパ、どうしてそんなに驚いた顔してるんですか?」


「いや、そんな素直に会いたいという言葉がミニョの口から出るとは思わなかったから・・・」


まさかこんなにもあっさりとその言葉を聞けるとは思っていなかったテギョンは、正直驚いていた。


「こんな我儘な私は・・・嫌いですか?」


少し顔を俯け上目遣いでテギョンの顔を見る。


「嫌いな訳ないだろう、それにそれくらいのことで我儘だとは言わないぞ。」


ミニョは少しホッとした様子で笑みを浮かべるとテギョンの顔にも笑みが浮かぶ。


「俺も会いたかった。交際発表をした俺の周りは記者がうろついていることが多かったから会わないようにしていたが・・・それじゃあ今までと何も変わらないな。これからはもっと会おう。写真に撮られても構わない。お前の姿が世間の男どもの目に触れるのは・・・あまりいい気はしないが、逆にミニョは俺のものだと、俺はミニョのものだと判らせてやればいい。だからお前も誰に引け目を感じることはない、堂々としていろ。」






もう少し一緒にいたいというテギョンの言葉に小さく頷くミニョを車に乗せる。暗い夜道を走り続けるテギョンの口元は微かに笑みが浮かんだままだった。


「うわぁ、凄いですね。」


車から降りたミニョは夜空を見上げ感嘆の声を上げた。


「ここならたくさん見えるだろう、まあ俺には月しか見えないが。」


意味あり気にチラリとミニョを見るが、ミニョはテギョンの様子には全く気づいていないらしい。


「はい、凄くたくさん見えます。月も綺麗ですよ。」


街の灯りから少し離れた所にあるこの高台は星を見るにはもってこいの場所で、遠くに二、三組のカップルの姿も見える。冬の寒空の中、美しく輝く星の光に案の定ミニョは満面の笑みで夜空を見上げている。


「アフリカの夜空を思い出します。満天の星空の下で歌ったこともあるんですよ。この空はアフリカにも続いているんですよね。」


ミニョは両手を大きく広げ、大気を体内へ取り込むように大きく息を吸った。


「歌ってみろよ。」


「ここでですか?」


「声量は抑えてテンポはゆっくり・・・ 『天使の糧』 を。」


ミニョは一瞬戸惑ったが、胸元の星を握りしめるとゆっくりと歌い出した。

ネルソンのことを思い出しているのかミニョの目尻に光るものが見えたが、歌い終わったミニョの顔には哀しみの色は浮かんでいなかった。


「強くなったな・・・」


「はい、私は強くなりました。ですからあまり心配しなくても大丈夫です。」


胸を張るミニョに、強くなっても事故多発地帯に違いはないだろうと思うとテギョンの顔に笑みが浮かぶ。


「これからは二人で色々と出掛けよう、一緒に買い物もして。どこに行きたい?何が欲しい?」


「オッパと一緒でしたらどこにいても楽しいですよ。今だってこうやって綺麗な星が見られますし、欲しい物も特にありません。」


「欲がないな、お前らしいと言えばお前らしいが。」


「そうですか?私は欲ばりですよ。でも私の一番欲しいものはすぐ手の届く所にありますから。」


夜空を見上げ、照れたように話すミニョにテギョンはフッと小さく笑った。


「その言葉、もっと近くで聞きたいな。」


ミニョの腕を摑みグイッと引っ張ると両腕でその身体を閉じ込め、月明かりの下赤くなったミニョの顔を覗き込む。


「え~っと、それは・・・」


恥ずかしそうに俯きかけたミニョの顎に指をかけ上を向かせると大きく黒い瞳をじっと見つめた。


「お前の一番欲しいものは何だ?もう一度はっきりと言ってみろ、俺が願いを叶えてやるから。」


言わなければきっといつまでたってもこのままだろう。テギョンに抱きしめられ、唇が触れるほど近くでじっと見つめられて、顔を俯けることもできないまま。

意地悪く顔に笑みを浮かべるテギョンから目を逸らせないまま、ミニョは恥かしそうに呟いた。


「私が一番欲しいのは・・・オッパです。」


ミニョが言い終わるのと同時にその唇が塞がれる。

冷たい空気の中、重なった柔らかい唇だけがやけに熱く感じられた。

ゆっくりと唇が離れると、テギョンと目が合ったミニョは咄嗟にテギョンの腕の中から逃れようとその胸を押した。


「オッパ、向こうに人がいました。見つかったらマズいです。」


「 『マズい』 じゃなくて 『恥ずかしい』 だろ?もう誰に何を見られても構わない。それにこんなに暗いんだ。皆誰がいるかなんて判らない。・・・俺にはミニョしか見えない、お前も俺だけを見ていればいい。」


甘く絡まる視線。

そっと閉じられた瞼。

再び重なる唇・・・


啄むような口づけは次第に深いものへと変わっていった。




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