ドラマに出演すると共演者同士で恋人説が流れたりすることがある。
それは新聞や雑誌であったりネットであったり。
テギョンの出演していたドラマの主演二人にはそれぞれ交際発表をしている相手がいる為、矛先がテギョンとミンジに向けられることが度々あった。
『秘密の恋?』 『熱愛発覚?』 など見出しだけは人の興味をそそるものがつけられているが、必ず疑問符がつけられており見出しに見合う写真もない。
ただの憶測に過ぎない記事は思わず笑ってしまうような他愛もないものからよくもここまで・・・と、抗議したくなるほどでたらめなものもあった。
それは読み手側も十分承知しており真実ではないと思いながらも記事が載れば興味を引かれ、その内容を鼻で笑いながらも楽しんでいる。
文字だけでなく写真付きならなお食い付きがよく、ファンを翻弄するようにゴシップ記事が絶えない中、今回の騒ぎも初めは皆またか・・・と内心思っていたのだが・・・・・・
ロケを終え、仁川空港に降り立ったA.N.JELLを待っていたのは多くの報道関係者。
海外ツアーで暫く韓国を離れていたならまだ判るが、三、四日のロケでこれほど報道陣が集まっていることにメンバーもマ室長も驚いていた。
「ねえねえ、一週間も離れてないのにこの人数って・・・やっぱり俺達の人気って凄いんだね。」
「違うだろ、きっとジェルミが向こうで食べ過ぎて腹壊したのがバレて心配してきてくれたんじゃないの?」
すぐ後ろを歩くジェルミとミナムの会話を聞きながら、シヌが報道陣をゆっくり見回すとどうも様子が違うということに気づいた。殺気立った雰囲気で、どの記者も我先にと近づいてくる。
「何かあったみたいだな。」
「そうらしいな。」
シヌの小さな声にテギョンが無表情で答える。
とても和やかに話せる雰囲気ではないと感じ取ると、足を止めずにそのまま黙って車まで行くように指示を出した。
『テギョンさん、二人の交際はいつからですか?』
『一緒にいた女性のことですが・・・』
『三角関係というのは・・・』
何のことだと思いつつ色々と質問をしてくる記者を無視し、無言のまま車へと乗り込んだ。
「テギョンヒョン、一緒にいた女性って?」
群がる記者をやり過ごす時に聞こえてきた言葉をそのままテギョンへと投げかけるジェルミ。
「俺たちは今帰ってきたところだぞ、いきなりそんなこと言われても何のことだか判るか。」
テギョンはシートにドカッと座り口元を歪ませ眉間にしわを寄せると、窓にかかったカーテンを少しだけ開け外の景色を眺めた。
帰って来るなり騒ぎ立てる記者達。
また何か面倒なことが起こったのかと沈むテギョンの心とは裏腹に晴れ渡る空が何となく気に入らない。
テギョンはカーテンを閉めると額に手を当て目を瞑り、大きく息を吐いた。
「テギョンヒョンが 『一緒にいた女性』 なんて、ミニョのことしか考えられないだろう。」
ミナムが隣に座るジェルミを小ばかにしたように笑うと前に座るテギョンへと視線を向けた。
「出発前の夜、合宿所にいなかったんだから当然ミニョのマンションにいたんだろうし。」
ニヤニヤと笑うミナムはポケットから取り出した棒付きキャンディーの包みをペリペリと剝し、口の中へ入れた。
「またアン社長に煩く言われそうだな。」
テギョンの反応を窺うように見ていたシヌは事務所へ戻った時のことを思いクスッと笑った。
「そのアン社長から電話だ。」
運転中のマ室長がチラリと振り向く。
マ室長は暫く電話で話した後もう一度後ろを振り向いた。
「テギョン、この間のことが騒ぎになっているらしい。」
「何?ねえねえ、この間のことって?」
テギョンよりも先にジェルミがマ室長の言葉に食い付き騒ぎ出す。
「ジェルミ、ちょっと静かにしてろよ。」
身を乗り出し今にも席を立ちそうなジェルミの襟首をミナムが引っ張った。
「何のことだ?」
今まで腕組みをして目を瞑っていたテギョンがゆっくりと瞼を開けると、後ろで騒ぐジェルミに顔をしかめる。
「ドラマの打ち上げがあった夜、ミニョさんを送ってっただろ。その時のことらしいぞ。」
「やっぱりミニョのことだ。」
ミナムは口から出ている棒をピコピコ動かしながらニヤッと笑った。
「詳しいことは事務所に着いてから話すそうだが、事務所の方にも記者が詰め掛けてるらしい。記者の質問には何も答えず黙って入って来いと言われた。あ~、絶対俺も何か言われるぞ~」
情けない顔でずり下がる眼鏡を指で押し上げるマ室長。
打ち上げのあった夜・・・
ミニョが男に絡まれているのを助けた。その時のことか?
マンションまで送った後、一緒に部屋まで行って泊まった。誰かに見られていたか?
どちらにしてもミニョのことが問題になっているならアン社長は煩いだろうなと、これから聞かされるであろう 『話』 のことを思うと、テギョンは大きなため息をついた。
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― ピグのお部屋より ―
「ミニョどうした、具合でも悪いのか?」
テギョンがリビングのソファーに座り、う~~ん・・・と小さな唸り声を上げているミニョに声をかけた。
「いえ、ちょっと悩んでるんです。」
テーブルの上には、くまの形をしたパンが一つ。
「ジェルミにもらったんですけど、どこから食べよう・・・耳?あ~でも、耳が無くなったらくまさんに見えなくなっちゃう。ほっぺ?あ~でも、ぷっくりほっぺが無くなったら頬がこけた病気のくまさんみたいだし・・・」
「・・・ミニョ、どこから食べようが結果は同じだ。最後には全部無くなるんだから。」
「う~ん、それはそうですけど・・・・・・あっ、ダメです、食べれません!」
パンをじぃ~っと見ていたミニョがパッとテギョンの方を振り返る。
「これはオッパです。」
「何?」
「このくまさんオッパにそっくりです。」
「どこが似てるんだ?」
「ほら、この口が片方クイッて上がってるところがそっくりです。」
ミニョはくまの鼻の下の部分を指差している。
「これは・・・口じゃないだろう。パンのツヤが光ってそう見えるだけだ。」
「え~っ、でも一度そう見えてしまったら、もう口にしか見えません。どう見てもオッパです。」
キッパリと言い切るミニョにテギョンは軽くため息をつく。
「まあいい。・・・で?結局食べないのか?」
「え?う~ん、食べたいけど、食べれない、う~ん・・・」
真剣に悩んでいるミニョを見てテギョンはプッと噴き出した。
「そんなことでそこまで悩めるなんて、幸せなヤツだな。」
「はい、毎日がこんな風に過ごせたらいいですね。」
そんなお前を見ている俺も幸せだ。
「そうだな。」
ニッコリと笑うミニョにテギョンも笑顔を返すとミニョの横に腰掛けた。
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本当は画像付きでお見せしたかったんですが、ごめんなさい、PCに疎い私には出来なくて・・・
興味のある方はお店を覗いてみて下さい。
ピグのパン屋さんで売っている 『森のくまさんクリームパン』 です。
鼻の下・・・私にはどう見ても口の片方をクイッて上げてるようにしか見えない。
それともやっぱり、口?
いつも色々とありがとうございます。
この間の記事で名前が判らないと書いたら、さっそく教えて下さって・・・
クリームパン、スパークリングジュース、いか焼き、ハートバルーン、ありがとうございます。
ああ、そしてまた名前の判らないものが・・・
カクテルグラスに水色の液体?個体?チェリー付き。
カクテル?ゼリー?
判らないけど美味しく頂きました。
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