You're My Only Shinin' Star (165) 撮影現場にて 3 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

テギョンは椅子に座ると 腕組みをして目を瞑り、しばらくじっと黙ったままでいた。


「どうかしたんですか?」


いつもなら撮影が終わればすぐに帰るテギョンが今日は帰らずにスタジオにいることを不思議に思いミンジが近付いて来た。


「ミンジは・・・今日の撮影は終わりか?」


「はい、私も今日は終わりですけど。」


「そうか・・・」


テギョンはゆっくりと目を開け、手の中の小さな箱を見つめるとそっと蓋を開けた。

中に入っていたのは乳白色の丸い石。

テギョンは細い金属のチェーンをつまむと石を取り出し、目の前にぶら下げ眺めた後首へ着けた。


「ネックレス・・・ですか?」


「・・・ああ・・・」


「綺麗な色ですね。テギョンオッパがネックレスしてるの、初めて見ました。」


「普段は人に見せないようにしてるからな。」


「どうしてですか?」


「・・・あいつとの・・・約束だから・・・・・・」


テギョンは背もたれにもたれ、首にかかった丸い石を指でつまむ。

口元に微かに笑みを浮かべ、石を眺めているテギョンの顔は、優しく、穏やかで、どこか哀しげだった。


「あいつ?」


テギョンの言葉とその表情をじっと見ているミンジの顔がわずかに曇った。


「俺の・・・一番大切なヤツ。」


テギョンはフッと顔を綻ばせた。

ミンジが撮影現場で何度か見たことがあるテギョンの顔。テレビでは見たことがない表情。


「恋人…ですか?」


「そんな驚いた顔して、俺に恋人がいたら変か?」


口の片端を上げ笑うテギョン。


「あ、いえ・・・テギョンオッパのそういう話って聞いたことないから・・・」


「俺がこんな仕事してるからな。判るだろ?簡単には公表出来ないって。」


「そう・・・ですね・・・」


胸元の丸い石を見つめながら話すテギョンの前で、ミンジは持っていた台本を握りしめるとゴクンと唾を飲み込んだ。

テギョンの口から語られる恋人の存在に胸が痛み、瞳が揺れ、息が詰まる。


「あの・・・約束って?」


「これをくれた時にあいつが言ったんだ、普段は外してくれって。」


「え?」


「変なヤツだろ?いつも着けていてくれって言うのなら判るが、着けないでくれって言うんだから。」


ミニョからもらったネックレス。

ムーンストーンという石の名前からミニョを連想した。

初めてミニョに着けてもらった時の緊張感。柔らかな手が自分の首の後ろに回され、真っ赤な顔をしながら微かに震える指で一生懸命留め金を嵌めていたミニョ。

ほんの少し顔を動かせば触れそうなほど近くにある唇を意識した。

胸元で揺れる月の石を見ると嬉しくて自然と笑みが零れて。

一度自分から手放してしまったそれをミニョが大切に預かっていてくれたことが凄く嬉しかった。


もう二度と外さないと思っていたのに・・・


普段は外して下さいと言われたあの時のことを思い出すと口が尖ってくる。


「これをいつも着けているのがバレると記者に変に勘ぐられるからな。最初はオフの時だけ着けてもいいと言われたが、服の中に隠すという約束で、仕事が終わったら着けてもいいと許可をもらった。」


あの時と今ではネックレスを隠している理由は違うが、どちらもミニョの存在を隠さなければならないという状況に変わりはない。

未だに二人の関係を公に出来ないでいることに歯痒さを感じるとテギョンは口元を歪めた。


「テギョンオッパが許可をもらうんですか?」


いつも自信満々で、何事も自分を通すイメージがあったテギョンの思いがけない言葉に、ミンジは目を丸くした。


「意外か?そうだろうな、俺も意外だ。まあ、惚れた弱みだ仕方ない。」


フッと笑みを漏らしたテギョンの表情は優しく穏やかで温かい。


「彼女のこと・・・本当に好きなんですね・・・」


ミンジの声が微かに震える。

自分でも何でこんなこと聞いてるんだろうと思いながら、手の中の台本を更に強く握りしめた。


「ああ、愛している。俺にとっては唯一無二の存在だ。」


テギョンにそんな風に言ってもらえる女性が羨ましくもあり、恨めしくもあり、その相手は決して自分ではないと思うミンジの瞳は揺れ、視界が涙でぼやける。


「どうして今日はここで・・・私の目の前でネックレスを着けたんですか?それに彼女の話まで。秘密なんですよね。」


テギョンにも何故ミンジにわざと見せつける様にネックレスを着けたのか判らなかった。今はまだ公に出来ないことは十分承知している。

ただ、ミニョにテギョンさんと呼ばれ、ミンジにテギョンオッパと呼ばれた時、無性に腹が立った。苛つく理由が判らないままミンジに話をした。


テギョンは月のネックレスを服の中にしまうと椅子から立ち上がった。


「さあ・・・誰かに知ってもらいたかったのかもな。俺の傍にいることで辛い思いや哀しい思いをいっぱいしているあいつの存在と、そんな思いをさせたままでいる情けない男のことを・・・」


テギョンは唇を噛むとスタジオの外へと歩き出した。



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― ピグのお部屋より ―



ジェルミがミナムから「貸してやる」と無理矢理渡されたアダルトなDVD。ジャケットには縛られている女性の姿が・・・


「ったく、ヘイさんがミナムの部屋に来る度に俺のとこにヘンなモン避難させるのやめて欲しいよな。」


ブツブツと文句を言いながらも気になるジェルミ。ソファーに座りながらチラチラとジャケットを見ていると、地下から誰かが階段を上って来る気配がした。

慌ててソファーに寝転びDVDを身体の下に隠すと寝たふりをする。


「オッパ・・・今夜も、縛って下さい・・・」


「またか?昨夜も縛っただろう。」


「だって、オッパ上手なんですもの・・・」


「フッ・・・仕方ないな。今夜も俺の華麗なテクニックを見せてやるか。」


ジェルミがリビングにいることに気付いていないのか、二人は話しながら玄関へと歩いて行った。

人の気配が無くなったのを確認するとごそごそと動き出すジェルミ。


縛る?テクニック?・・・・・・一体二人で何するのーーっ!?


DVDのジャケットを見ながら、テギョンとミニョの会話がジェルミの頭の中をグルグルと回っていた。





「やっぱりオッパは上手ですね。」


「お前は自分の指を縛るからな。」


マンションのキッチン。二人が作っているのは『ちまき』。

施設の子供達とシスター達にあげるんだと意気込んでいたミニョは昨夜から何度やっても自分の指を縛ってしまい、結局テギョンが全て縛ることに。


「俺の華麗な指捌きをよく見ておけよ。」


ミニョの隣ではテギョンが笹の葉で包んだもち米をすげで手際よく縛っている。


今頃ジェルミの頭の中でテギョンは何を縛っているのやら・・・



*:.。。.:゜ *:.。。.:゜ *:.。。.:゜



ちまき、コーヒー、ケバブ、ありがとうございました。

今回は『ちまき』で書いてみました。

コーヒーは書けそうだけど、ケバブ・・・う~ん・・・



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