ここ数日互いに毎日忙しく、電話での会話とメールの遣り取りだけだった二人。
ある日かかってきたミニョからの電話。
事務所の作曲部屋で編曲作業をしていたテギョンが机の上に置いてあった震える携帯を手に取ると、開口一番ミニョが言った。
『オッパ、お願いがあるんですけど・・・』
どことなく甘えた感じのするミニョの声にテギョンは一瞬ドキリとする。
ミニョから 『お願いがある』 などと普段言われたことのないテギョンは、何事かと首を傾げた。
恋人からの 『お願い』 と言えば、何となく甘い感じを想像していたテギョンはまだ話の内容も聞かないうちから、フッ、仕方がないなと口の片端を上げ、其の実心の中は 『ん?何だ?会いたいのか?キスして欲しいのか?何?泊まって行けって?いや、俺も忙しいからな・・・ん?どうしても?そんなに寂しいのか?仕方ない、それほどまでに頼むなら泊まってやる・・・』 と、一人妄想にふけり、締まりのない顔に変わっていることにも気付かず、ミニョからの次の言葉を待った。
『明日のドラマの撮影に私も連れて行って下さい。』
思いもかけないミニョの言葉。
ニヤケていたテギョンの顔が一瞬にして真顔になり、眉間にしわが寄る。
「お前、明日の撮影はミンジも一緒だぞ、また嫌な思いをするんじゃないのか?」
自分の胸の中に想いを溜め込んでこの間まで辛い思いをしていたミニョのことを思い、テギョンはやめておけとミニョに諦めるように言った。
『でもオッパの撮影の日と私の休みが重なることって、きっとあと何回もないと思うんです。ですから撮影が終わる前に一度ちゃんと見ておきたくて・・・。私なら大丈夫です。言いたいことも、聞いて欲しいこともちゃんと言えます。』
「それでも辛かったら?」
お前はまた苦しむのか?
ミニョを心配する心の声が聞こえてきそうなテギョンの問いに、ミニョは暫く考えると恥ずかしそうに小さな声で答えた。
『その時は・・・手を・・・繋いで下さい。』
ミニョの素直な心が表れた返事に頬を緩ませつつ、控え目でかわいらしい要求に物足りなさを感じると、ちょっと意地悪なことを言ってみたくなる。
「それでもまだ辛かったら?」
『えっと、その時は・・・抱きしめて下さい・・・』
「それでもまだ辛かったら?」
『え?え~っと、え~っと・・・・・・大丈夫です、それだけで十分です。』
テギョンはそれ以上を要求してこないミニョに少しだけ口を尖らせつつ、それでも自分からそんなことを言えるようになったのかと電話の向こうで必死に想いを伝えようとしているミニョのことを思うと、口に拳を当て声を殺しながらクックッと笑った。
「判った、そこまで言うのなら連れていこう。その代わり、辛かったらちゃんと言えよ。俺が手を繫いで、抱きしめて、キスしてやるから。」
『えっ?』
私そこまで言ってません。
次のミニョの言葉がテギョンには容易に想像できた。
「おはようございます。」
暫くテギョンの仕事には同行していなかったミニョ。それどころかA.N.JELLの歌番組の出演以来事務所にも顔を出していなかったミニョはテギョンと一緒に事務所へ行くと、涙を流さんばかりに喜ぶマ室長に出迎えられた。
「ミニョさ~ん、ありがとう~」
しっかりとミニョの手を握り、よかったよかったと頷くマ室長をテギョンが思い切り睨む。
「ミニョさんが来なくなってから毎日テギョンの機嫌が悪くて悪くて・・・俺胃に穴が開きそうだったよ。今日は久しぶりに平和な一日が過ごせそうだよ~、助かったぁ~」
よほど嬉しいのかその場で小躍りを始めたマ室長。
いつもならすぐに下手な踊りはやめろというテギョンだが、マ室長の踊りを見て笑っているミニョを見て口元に笑みを浮かべている。
マ室長はそんなテギョンの様子を横目で見ながらフィニッシュにターンを決めるとポンとテギョンの肩を叩いた。
「じゃあ俺は今日はいいよな、テギョン一人で大丈夫だよな。」
ミナムを乗せてラジオ局まで行かないといけないからテギョンにはついていられないというマ室長に、サボるつもりなんだろうとテギョンが顔をしかめる。
「それは誤解だ、折角二人きりにしてやろうと思ったのに・・・」
「何?」
「テギョンの車で、テギョンが運転して、ミニョさんと二人きりで行って来ればいいじゃないか。行きも帰りも二人きり~」
― 二人きり・・・いい響きだ・・・
テギョンはマ室長の言葉に心の中でニヤリと笑う。
― 確かにこんなタヌキオヤジと一緒にいるよりミニョと二人きりで行った方がはるかに気分がいい。どうせ一緒にいたってそれほど役に立つ訳ではないし、またミニョに変な用事を言いつけるくらいならいっそいない方がいいか。それにミニョはマ室長が一緒だと恥ずかしがって車の中でもなかなか手を繫がないからな。二人きりなら眠ったミニョに肩を貸すことも出来るし、キスだって・・・
「あー、ミナムの仕事なら仕方ないな、俺は自分で行くからマ室長は来なくていい。」
コホンと咳払いをするとテギョンはミニョを連れ車へと向かった。
「ミニョ、ほら。」
車に乗った途端手を出すテギョン。
「何ですか?」
「二人きりなんだから手を繫いでもいいだろう?」
「でもそれでは運転できませんよ。それに走っている間は危ないです。」
キッパリと拒否をするミニョ。
― しまった、こいつはそういうヤツだった。あぁそれに俺が運転してたら眠ったミニョに肩を貸すことも出来ないじゃないか・・・
テギョンは助手席でニコニコと笑いながらシートベルトを締めているミニョを見て、やっぱりマ室長に・・・と言いかけたが、早く行きましょうと言われ、仕方なく車を走らせた。
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今日は朝から資源個別回収をしてきました。
これも子ども会のお仕事です。
3トントラックの助手席に乗り、おじさんと二人で各家庭の玄関先に出された新聞、雑誌、段ボール、アルミ缶などを回収していきます。
トラックの荷台に積み上げていくんですが、量が増えてくると荷台の周りに板を立て、零れ落ちないように載せていきます。
トラックの横に立つと、手を上に上げた指先よりも板の方が高い。
最後の方は紐で縛られた新聞の束をバスケットのシュートのように荷台に投げ入れるんですが、私の住んでいる地域では朝から雨。
紙類が水を含んで重い・・・
約250軒の家を回り、お昼頃終了。
さあ、問題はこれからです。
筋肉痛、いつ頃やって来るでしょう。
今日の夜とか明日ならいいけど・・・2、3日後だったらちょっとショックかも。
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