You're My Only Shinin' Star (152) 救いの手 7 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

「何だか心が軽くなった気がします。」


今までずっと心の奥に溜め込んでいた思い。テギョンに知られたくないと思っていたことを口にしたミニョは、頭の中のもやもやした気分が無くなっていた。といっても、ミンジのことが全く気にならないという訳ではないが・・・


「お前は辛い時ほど自分の気持ちを抑え込み過ぎだ。余計苦しくなるだろ。嫌だと思うことも、言いたいことも、聞きたいことも、話してくれなきゃ俺には判らない。遠慮なんかするな、ちゃんと言え。俺も言いたいことは言うから。」


テギョンの言葉にミニョは小さく頷くと、真っ直ぐにテギョンの目を見据えた。


「オッパ・・・ミンジさんは他の女優さんとは・・・違いますか?」


ミニョの不安気な瞳。


「さっきの話か?俺がミンジの頭を撫でていたという・・・確かに少し違うかもな。ベタベタくっついてこないところは精神衛生上悪くはない。NGが多いのが難点だが・・・」


「ミンジさんが言ってました、NGを出してもオッパは怒らないって・・・」


撮影現場でのテギョンの様子を聞かされた時のことを思い出し、ミニョの胸は少し痛んだ。


「ミニョ・・・俺がドラマに出ることになった訳を憶えているか?」


「アン社長と約束したんですよね。」


ネットにテギョンと女性のツーショット写真が流されファンが減少。このままの状態で二人の交際を公表すれば更にファンが減ると心配したアン社長は、テギョンの 『公表する』 という要求を呑む代わりに、半年の間は秘密にすることと、その間に新しいファンを開拓する為、ドラマに出るように言った。


「そうだ、だから俺は我慢してミンジのNGにも付き合った。今までの俺だったら怒鳴ってスタジオから出ていたかも知れない。監督と喧嘩していたかも知れない。でも今回は、役を降りる訳にも降ろされる訳にもいかない。そうしてじっと我慢して椅子に座っていると、周りの共演者やスタッフ達の俺を見る目が変わってきた。俺に近づくようになってきた。下心見え見えでベタベタしてくるような奴は論外だが、今まで人とあまり関わりを持とうとしなかった俺が、人と関わるのもいいもんだなと思うようになってきたんだ。そして、そう思うようになったきっかけは・・・ミニョだ。」


「え?私ですか?」


ミニョは突然自分の名前が出てきたことにキョトンとしてテギョンを見る。


「お前は誰とでもすぐ打ち解けられる。そんなお前を俺は心のどこかで羨ましく感じていた。今日の撮影、スムーズにいって、ただ嬉しかっただけだ。人と少しは関わりが持てるようになった俺・・・。相手がミンジだからではなく、たまたま相手がミンジだっただけ・・・ただそれだけだ。ミンジが俺のことをどう思っているかなんて気にしたこともなかった。俺が気になるのは、ミニョの目に俺がどう映っているか、それだけだからな。でもこれからは気を付けるようにする。ここに焼きもち妬きがいるからな。」


フッと口の端を上げて笑うテギョンにミニョは少しだけ頬を膨らませた。


「私は・・・ちょっとだけです。オッパほどではありません。」


「お前・・・ずいぶんと言うようになったな。ああ、そうだ、俺は焼きもち妬きだ、お前のこととなると途端に余裕がなくなる。それに・・・」


テギョンは胸元から月のネックレスを取り出すとミニョの目の前で見せた。


「これを着けている時の俺はA.N.JELLのファン・テギョンではなく、ただの男だ。・・・そんな俺は嫌か?」


嫌か?


テギョンの問いにミニョは首を横に振る。


「どんなオッパでも、オッパはオッパです。それに、それだけ私のことを想っていて下さるのかなって思うと・・・嬉しい・・・」


恥ずかしげに俯くミニョの姿が可愛くて。

テギョンはミニョの肩を摑むと顔を近づけていく。


「風邪・・・うつっちゃいます・・・」


唇が触れる寸前、テギョンの胸を押し顔を逸らせるミニョに口を尖らせると、テギョンはミニョの頬を両手で挟み自分の方を向かせた。


「構わない。風邪なら俺にうつして早く治せ。」


優しく真っ直ぐに見つめてくるテギョンの眼差しにミニョの瞳が揺れた。

ゆっくりと重なる唇。

ミニョの唇は熱のせいか、テギョンへの想いのせいか、とても熱く感じられる。


優しく触れる唇。

温かく包み込むような唇に触れる度にミニョの胸は締めつけられる。

鼓動は速さを増し苦しいくらいなのに、もっと触れたい、もっと触れて欲しいと心がテギョンを求める。


柔らかい唇。

自分を受け入れてくれる優しい唇に触れる度にテギョンの身体は熱くなる。

熱があるのに、そっと寝かせてやりたいと思うのに、もっと触れたい、もっとミニョを感じたいと心が騒ぐ。


触れていただけの口づけが次第に深くなる。

テギョンは唇から漏れる甘い吐息を耳にすると、ミニョの身体をベッドへ横たえた。角度を変えながら何度もミニョの唇を求め、その奥にあるものを探り出す。

テギョンの舌を受け入れ、控え目に動きを合わせるミニョを味わいながら、これ以上はダメだと、のめり込みそうになる自分をぐっと抑え、テギョンはゆっくりと唇を離した。

ミニョの熱を帯び潤んだ瞳と乱れる息。

まるで自分を誘っているかのようなその瞳を見つめ続けていたら歯止めがきかなくなりそうで・・・


テギョンはミニョの顔を自分の胸に押しつけるように腕の中に抱きしめた。


「まだ熱がある。もう寝た方がいい。」


テギョンのミニョの身体を労わる言葉が甘く優しく響いて聞こえる。


ドキドキし過ぎて苦しくて眠れません、という言葉を飲み込むとミニョはテギョンの胸に耳をつけ、胸の鼓動を聞きながら目を瞑った。

自分と同じ様に速く脈打つ音。


まだミニョが 『オッパ』 ではなく 『テギョンさん』 と呼んでいた頃、ベッドの中でミニョを抱きしめテギョンが言った。


『気持ちが落ち着く』


あの時のテギョンの言葉が今なら判る。

テギョンの身体に触れ、テギョンの温もりに包まれ、痛いくらいに速く脈打つ心臓が心地よく感じられ、何だか安心できる。


ミニョはテギョンの腕に優しく包まれ、テギョンの胸の音を聞きながら眠りについた。


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私の書くお話には、時々過去を振り返ったり、言葉を思い出したりする場面があります。


それはドラマの中のことだったり、自分のお話の中だったり・・・


今回も出ました。


『気持ちが落ち着く』


どこで出たか判りますか?



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