You're My Only Shinin' Star (149) 救いの手 4 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

ベッドで眠るミニョの頬にそっと手を触れてみる。熱のせいだろう、手の平に伝わる体温がとても熱く感じられる。

眉間にしわを寄せ、苦しそうな表情のミニョの顔をテギョンが濡れたタオルで優しく拭いてやると、その冷たさが気持ちいいのか幾分表情が和らいで見えた。

額にかかる前髪を指で掻き分け、そっと唇を寄せる。


『ミニョが眠れない原因なんてテギョン君とのことしか考えられないんだけど。』


先程のカトリーヌの言葉が脳裏に浮かぶ。


辛くても、口に出して言わない奴だから。

自分の中に辛い思いを飲み込んでしまう奴だから。


色々な思いを抱え込んで、ぐっと我慢していたであろうミニョを思うと、テギョンの胸は痛んだ。


― どうしていつもミニョは俺の気持ちを優先させるんだろう。俺はミニョの気持ちも考えず、苛ついた気持ちをぶつけて、傷つけて・・・。ミニョのことだからきっと俺に心配かけたくないだとか、迷惑をかけたくないだとか思って、体調が悪かったことも口止めしたんだろう。


肩にかかるミニョの髪をそっとすくい上げ、優しくキスをする。


撮影現場に落ちていた赤い傘。

雨の中、傘も持たずに佇んでいたミニョ。

昼頃には施設を出たミニョ。

傘立てにないミニョの赤い傘・・・


全てのことを繋ぎ合わせると、今日の公園での撮影を・・・キスシーンをミニョが見ていたのではないかという結論に辿り着く。


どんな気持ちでキスシーンを見ていた?

どんな思いで雨に濡れながら立っていた?


この間、キスシーンの話をした後、 『お仕事ですね。』 と言ったあまり普段と変わらないミニョの様子に、テギョンは少しだけ口を尖らせた。

自分は平気じゃないのに、ミニョは平気なのか、と。


平気じゃない。平気なフリをしていただけ。


自分の中に辛い気持ちを抱え込んでしまうミニョだから、テギョンのことを優先させるミニョだから、表に出ないようにしていただけ。


「どうして俺は気付いてやれなかったんだろうな・・・」


情けなくて思わず涙が出そうになるのを奥歯を噛みしめぐっと堪えると、布団を少しだけ捲り、ミニョの手を探る。

熱い手。


「ごめん・・・ミニョ・・・」


テギョンはミニョの手の甲に優しく口づけると、指を絡ませるように手を繫いだ。






暗がりにポツンと一人立っているミニョ。

少し遠くではテギョンとミンジがスポットライトを浴び、笑顔で並んでいる。

オッパ。

ミニョの声が聞こえないのか、テギョンはファンに囲まれ笑顔を見せる。

自分に気付いてもらおうと、大きく手を振るファンの子達。

テギョンは皆に背を向け遠ざかって行く。

ミニョは考える。

自分は何をしているの?

何もしていない。

ただその場に立って、テギョンに気付いてもらうのを待っているだけ。


何のための足? 自分から近づいていかなくちゃ。

何のための手? 自分から伸ばさなくちゃ。

何のための口? 自分から伝えなくちゃ。


もう悲しむのは嫌だ。

もう苦しむのは嫌だ。

もう辛いのは嫌だ。


自分の気持ちに気付いて欲しいなら、ちゃんと言葉にして伝えなくちゃダメだって学んだはずなのに・・・


遠ざかるテギョンに近づき、思いっきり手を伸ばす。


「オッパ!」


私はここです。伝えたいことがあるの、私の手をとって・・・






「う・・・ん・・・」


ミニョは寝苦しさにうっすらと瞼を開けると部屋の中は暗く、ベッドサイドのライトの灯りだけが部屋の中をぼんやりと照らしていた。

何故だか自由に動かない右手に目を遣ると、ベッドの端にうつ伏せているテギョンの姿と、しっかりと繋がれている手が目に入った。


「・・・オッパ?」


呟くような小さなミニョの声だったが、テギョンはピクリと反応すると伏せていた身体を起こした。


「目が覚めたか。」


― さっきのは夢?


テギョンは手を繫いでいる反対の手をミニョの額に当て熱を確かめる。


「まだ少し高そうだな。」


そう言いながら額に当てていた手を頬へと移動させる。

ミニョはひんやりと感じるテギョンの手が気持ちよくて再び目を瞑った。


手は繋がれたまま。


― オッパが私の手を握っていてくれる。それだけの事なのに、涙が出るくらい嬉しいのは何故だろう。どうしてオッパは私のして欲しいことが判るんだろう。


ミニョの目尻に微かに光るものが見える。

ミニョは頬に触れているテギョンの手を上から包み込んだ。


― 冷たくて気持ちいい・・・冷たくて・・・ん?冷たい?


ミニョはハッと目を開けると繋いでいた手を離し、身体を起こすとテギョンの頬を両手で挟んだ。


「オッパ、身体が冷えちゃってるんじゃないですか?ごめんなさい、私気が付かなくて。えーっと・・・そうだ、お風呂入って下さい。今、お湯溜めますから。」


いくら部屋の中が暖かいとはいえ、何も掛けずにうたた寝をしていたテギョンの身体は冷えていた。

急いでベッドから降り、歩き出そうとしたミニョの身体がぐらりと揺れた。慌ててテギョンが抱き止める。


「お前・・・俺の事なんかいいから寝てろ。まだ熱が高いだろう。」


「熱?私どうして熱なんか・・・」


フッと今日あった出来事を思い出す。熱が上がったのは雨に濡れたから。雨に濡れたのは・・・

ズキンと痛む胸。


「あ・・・判りました、私、おとなしくしてますから、オッパはお風呂に入ってあったまって下さい、お願いします。」


ミニョは引き出しからテギョンのスウェットを出し渡すと、ベッドに腰掛け自分はおとなしくしていることをアピールし、テギョンをバスルームへ行くように促した。



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今週もしっかりと2日お休みを頂きました。


今日は朝から出かけるので、今のうちに更新しておきます。


コメントのお返事を書きながら眠ってしまった・・・

うん、眠い。

寝ます。

おやすみなさい。

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