You're My Only Shinin' Star (140) すれ違い 1 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

テギョンのことを聞くのは楽しい。ミニョの知らない仕事中のテギョンの様子が聞けるのは嬉しい。

でも、テギョンの近くにいて幸せだというミンジの話を聞いているのは胸が苦しかった。

そのまま話を聞いているのが辛くて、ミニョは逃げるように部屋のドアを開けた。


「うわぁ、ミニョがお出迎え?嬉しいー、ただいま!」


ミニョはドアを開けた瞬間目の前のジェルミにいきなりハグをされ身体が固まった。


「テギョンヒョン、シヌヒョン、今日はちょっと出遅れたね。」


ミナムがクスクスと笑う。

いつもならテギョンとシヌがジェルミのハグを服の裾を摑んで阻止するのだが、ドアを開けた瞬間に目の前にミニョがいるとは思わず、服を摑むのが遅れた。


「あれ?お客さん?」


テギョンが舌打ちをしながらジェルミの襟の後ろを引っ張り、ミニョから引き剝している間にミナムが部屋の中へ入り、中にいたミンジに気付いた。


「おーい、入り口で止まってないで中に入ってくれ。この後のスケジュールも詰まってるんだ、さっさと着替えて行くぞ。」


一番後ろにいたマ室長に押され、皆部屋の中へぞろぞろと入るとバタンとドアが閉まった。


「テギョンオッパ、お疲れさまでした。」


ミンジが立ち上がり、テギョンにペコリと頭を下げる。


「ミンジ・・・何でここに・・・。誰が入っていいと言った?」


テギョンはミンジの顔を見た途端、眉間にしわを寄せた。

睨みつけるようなテギョンの目と低い声に、さっきまで明るかったミンジの顔が暗くなり身体を硬くしていると、二人の間に入るようにミニョがスッとテギョンの前に立った。


「テギョンさんお疲れさまでした。ミンジさんには私がお部屋に入って下さいと言いました。いけませんでしたか?」


ミニョにそう言われ、テギョンは口元を歪めるとジャケットを脱ぎ始めた。


「俺達は忙しい、関係ない奴は出て行ってくれ。」


怒り口調のテギョンをやれやれという感じで見ていたシヌは、しゅんとしているミンジの前へ行き優しく微笑む。


「ごめんね、テギョン今機嫌が悪いから、出て行った方がいいと思うよ。君がこのままここにいると、もっと機嫌悪くなりそうだから。」


口元に笑みを浮かべながらの言葉だが、早く出て行けと言われているような気がして、ミンジはその場で頭を下げると慌てて部屋から出て行った。

ミンジの後ろ姿を睨みつけるようにしているテギョンにシヌは小さなため息をついた。


「テギョン、彼女のせいじゃないだろう、番組の企画だ。」


テギョンもそんなことは言われなくても判っている。それでもミンジの顔を見るだけで、今日一番楽しみにしていたことをダメにされたと思うと、とてもミンジを部屋へ置いておく気にはなれなかった。


「何かあったんですか?」


「うん・・・ちょっと、ね・・・」


ミニョの問いにジェルミはテギョンの顔色を窺うようにチラッと見ながら言葉を濁す。

何となく気まずい雰囲気の中、その場の空気を変えようとミニョが明るい声を出した。


「今日の演奏素敵でした。」


ニコニコと笑い、皆の顔を順に見る。


「ホント?頑張った甲斐があったなぁ。」


ジェルミが嬉しそうな声を上げ、シヌは微笑み、ミナムは当然というような顔をする中、テギョンだけは浮かない顔をしていた。


「オッパの歌も最高でした。」


ニッコリと笑うミニョにテギョンは冷めた視線を送ると、プイと顔を背けた。


「俺が見えなくてもか?」


「え?」


「ソロの時、俺が見えなかっただろう。」


「それは・・・そうですけど・・・。でも歌はとっても素敵でした。」


「フン、どうだかな・・・。歌が終わった時にはお前、俺が言った場所にいなかったぞ。俺が見えないからって、歌の途中で出て行ったんじゃないのか?」


「そんな・・・ちゃんと聴いてました。・・・オッパに言われた通り、あの場所で・・・」


フンと口の片端を上げるテギョンに縋る様な目をするミニョ。二人の様子を見てシヌがミニョを背中に庇う様にして間に入った。


「テギョン、いい加減にしろ、何ミニョにあたってるんだ。今日のことはミニョのせいじゃないだろう。」


「そうだよテギョンヒョン、ミニョだってテギョンヒョンの姿が見えなくてきっとガッカリしてるよ。」


オロオロとしながらもミニョを助けようとジェルミもシヌと一緒になってテギョンに向かっていく。


「今日のテギョンは神経質過ぎやしないか。だいたいテギョンが勝手に考えてやろうとしてただけだろう。さっきのミンジって子にもそうだ、上手くいかなかったからって、周りの人間にあたるのはよせ。」


シヌの言葉にテギョンの目つきが鋭くなる。

二人の険悪な雰囲気にジェルミはゴクンと唾を飲み込むと、誰かこの二人を何とかしてくれないかとキョロキョロと周りを見るが、ミナムは俺は知らないという感じで肩をすくめて見せるだけ。

ピリピリとした空気の中ワン・コーディがマ室長の脇腹を肘で突っつくと、マ室長が丸い眼鏡の奥の小さな目で怯えたようにテギョンをチラッと見た。


「テギョン、悪い、俺だ・・・。ソロが終わった時俺がミニョさんを連れ出したんだ・・・。ちょっと用事があったから・・・」


スッとワン・コーディの陰に隠れ、少しだけ顔を覗かせテギョンの様子を窺うとマ室長は頬を引きつらせながらへへっと小さく笑った。


「ミニョさんテギョンの歌聴いてたよ、凄く真剣に。俺が途中で連れ出そうとしても動かなかったんだから。」


「ほら、言っただろ、ミニョは動かないって。」


テギョンは顔色を窺いながらまたワン・コーディの後ろに隠れるマ室長と、椅子に座り雑誌をパラパラめくっているミナムを交互に見ると、ばつが悪そうに口元を歪め、着替えると一言だけ言って更衣室のカーテンの向こうに姿を消した。



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