テギョンが車に戻って来るとミニョはワゴンの後部シートでカーテンのかかった窓をぼんやりと眺めていた。
「ミニョ。」
「あ、オッパ!いたっ・・・」
突然声をかけられ驚き勢いよく立ち上がった拍子に車の天井に頭をぶつけたミニョは頭を手で押さえながら、やれやれという感じで見ているテギョンに顔を向けた。
「お疲れさまでした・・・」
「どこ行ってたんだ、途中からいなかっただろ。」
「あ、すみません、ちょっと用事があって・・・」
「最後まで戻って来なかったのか?」
「はい、えーっと・・・」
途中で戻って来たが、ミンジと一緒に撮影しているテギョンを見て何故だか中に入って行けなかったとは言えず、口ごもってしまう。
何だかはっきりとしないミニョの様子に眉根を寄せつつ、テギョンはミニョの隣に腰を下ろすと手を差し出した。
「ほら、お前が持ってるんだろう。」
ミニョはハッとしてポケットに手を入れ、指先に触れた小さな箱を取り出すと、テギョンへ手渡そうとした手を止めた。
仕事中は外すと約束した月のネックレス。ミニョが一緒の時はミニョが預かっている。仕事が終わるとミニョから受け取りテギョンは自分で着けていた。
「私に着けさせて下さい。」
ミニョはそう言うと、箱から乳白色の丸い石を取出しテギョンの首の後ろへと手を回した。
頬が触れそうなほど顔を近づけ、ゆっくりとした動作で留め金を嵌める。
テギョンの胸元で光るムーンストーンを見つめると今まで強張っていたミニョの頬がフッと緩み、顔に笑みが浮かんだ。
いつもは自分から着けるとは言い出さないミニョ。一体どんな心境の変化があったのかと首を傾げるが、ミニョの笑顔を見てテギョンもフッと微笑んだ。
運転するマ室長の鼻歌だけが微かに聞こえる中、車は事務所へと向かっている。
「何か変だぞ、どうかしたのか?」
いつもならテギョンの仕事の話をずっとしているのに、今日は静かにぼんやりと座っているだけ。熱でもあるのかとおでこに手を当てるが、熱はなさそうだ。
「何かちょっと、疲れちゃったみたいで・・・」
「ん?ああ、そうだな・・・俺も疲れた・・・」
テギョンはふうっと息を吐くとシートにもたれ目を瞑った。
確かに今日は疲れた。
思いもかけないミンジとの撮影。
ミンジは指示をされない限り必要以上にテギョンには近づかない。ベタベタとくっついてくる相手に比べたら遥かにテギョンの精神状態はいいが、それでもミニョ以外の女性に触れるのは好きじゃない。
必要以上に身体に力が入り、精神的にも肉体的にも疲れる。そして今日はミニョが一緒だった・・・
ミニョは目を瞑ってじっとしているテギョンを横目で見ると、カーテンのかかった窓ガラスをまたぼんやりと眺めた。
車から降りたミニョは事務所へ入ることなくそのままマンションへ向かって歩き出した。
頭の中がもやもやする。
「はぁ~、今の私変な顔してるんだろうな・・・このまま帰ったらきっとカトリーヌさんに心配かけちゃう・・・」
ため息をつきながら道路を走っている車を見ていると、ふとジェルミの言っていた魔法のバスのことを思い出した。
『落ち込んだ時に乗って一周すると気持ちが元通りになるんだ。』
「循環バス!」
ミニョはバスに乗り込んだ。
窓際の席に座り窓に映る自分の顔をぼんやりと眺める。
「やっぱり変な顔だ・・・」
今にも泣きだしそうな顔。
撮影のことがショックだった。何故ショックなのか判らない。ただショックだった。
寄り添う二人。
微笑み合う二人。
ミンジを抱きしめるテギョン・・・
ミンジが一緒の撮影だとテギョンは教えてくれなかった。
そのことがショックだった・・・?
ミニョもテギョンの仕事はちゃんと理解している。
テギョンが今日のような撮影を嫌っているのも知っている。
それでも・・・
撮影だと判っていても・・・
ドアを開け、いきなりミンジを抱きしめているテギョンを見た時の衝撃は大きかった。
涙を堪えているせいか息苦しい。
胸が締めつけられるように痛い。
ミニョは窓にもたれるように頭をつけ胸元から星のネックレスを取り出すと、ギュッと握りしめた。
窓を眺め、大きく吐いた息と共にミニョの瞳から零れた涙が頬を伝った。
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今日は朝から上の子の学校に行ってました。
図書館のお手伝いです。
図書館が二つあるので二部屋分、窓に張った節分の飾りを剥がし、ひな祭りの飾りを貼ってきました。
色画用紙で作った菱餅を見てふと疑問に思ったこと。
菱餅って、どうやって食べるの?
普通のお餅みたいに焼いて食べるの?
そのまま食べれるの?甘い?
私は食べたことがないので???です。
一緒にお手伝いしていたお母さん達も知らないようで、結局判りませんでした。
誰か知っている人~教えて下さ~い。
うち(愛知県三河地方)ではひな祭りといえば、『いがまんじゅう』 です。
『いがまんじゅう』 ・・・知ってる人います?
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