You're My Only Shinin' Star (133) 心の変化 3 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

ミニョのことが新聞の芸能欄に載ってから暫くの間はコ・ミナムの双子の妹ということで、明洞聖堂へ足を運ぶ人の数が更に増えたが、徐々にそれも収まってきた。

シヌの出演したドラマの監督からは次回作の主題歌にミニョの歌を使いたいと依頼があったがミニョはそれを断っていた。

ミナムを取材した雑誌記者はミニョの取材よりも別のことに忙しい。

今、世間はもうすぐオンエアーされるファン・テギョンの出演するドラマに注目していた。





「こんなに熱が冷めるのが早いなんて予想外だったわ。」


カトリーヌはミニョの周りで起きている騒ぎが収まるのにはもう少し時間がかかると思っていた。


「これもテギョン君のおかげかもね。」


「オッパのですか?」


「元々クラシックはよっぽど興味のある人じゃなきゃその場限りのブームで終わってしまいがちよ。ジェルミ君のラジオと新聞記事でずいぶん煽ってもらったけど、人は興味のあることが他にできればそちらに移っていくわ。今回はそれがテギョン君のドラマね、丁度いい時期だったわ。」


ミニョに目をつけた音楽事務所はA★Nエンターテイメントの他にもあった。しかしミニョは断り続け、A★Nエンターテイメントに出入りしていることを知った他の事務所は手を引いていった。

そしてアン社長はミニョの歌だけが目当てでスカウトした訳ではない。他に思惑があったからだ。


「今日はどうするの?施設の仕事は休みでしょ、テギョン君のところに行くの?」


ミニョは時々休みに事務所へと顔を出していた。

最初にミニョに話した通りテギョンとはミナムの妹として接しているミニョを、アン社長は笑顔で迎えている。マネージャー見習いとしてテギョンと撮影現場へ同行することも許可している。

テギョンはあれ程ミニョとのことが公になることにいい顔をしていなかったアン社長が、手の平を返した様に傍にいることを許可したのが解せなかったが、そんなことよりもミニョと一緒にいられる時間が増えたことを喜んでいた。

アン社長はテギョンとミニョの関係を公表しても良いと許可を出した訳ではない。それなのに何故二人が一緒にいることに嫌な顔をしないばかりか、どちらかというと一緒にいることを勧めているのか。

それにはテギョンの仕事も関係していた。

アン社長はテギョンが怪我をして休養していた時、ミニョが合宿所に住んでいたことを知っていた。時々できた楽譜を持って事務所にやって来るテギョンはとても機嫌が良かった。ミニョがアフリカへ行っている間と比べたら雲泥の差がある。それは仕事にも影響していた。

ミニョがアフリカから帰って来てからのテギョンは比較的穏やかで、仕事も順調にいっている。それはミニョとの距離が関係しているのか、初めてミニョをドラマの撮影現場に連れていった時のテギョンの行動。何度もNGを出す相手に対し、文句も言わず突然の監督の指示に反論することなく黙って従っていたとマ室長から聞いた。


『いつものテギョンなら途中でキレそうなのに何も言わなかったのはミニョさんが待ってたから早く終わらせたかったんですかね。絶対に別の日に撮り直すことになると思ったのに・・・』


マ室長の言葉にアン社長は、もしかしたらこれはいい状況なのではと思った。

撮影の日程が延びれば他の仕事にも影響が出てくる。

ミニョが傍にいることでテギョンが精神的に安定しているのであれば、それは仕事にも表れてくる。

今までテレビでも難しい顔をしていることが多かったテギョンが、最近は笑顔を見せるようになった。ファンクラブの会員も増加し、ドラマの出演もあり注目を浴びている。

今のテギョンは今まで以上にとても魅力的にファンの目には映っていた。

そしてミニョの行動。

事務所の中はもちろん、外でもミニョはテギョンと必要以上に近づかない。常に一定の距離を保ちタレントとマネージャー見習いという一線を引いた関係を維持している。

テギョンがその線を越えようとするのを上手くかわし、時には諌めているのを見た時にはアン社長はとても驚いた。そしてそれ以上に、テギョンがミニョの言葉に従っていることに驚いた。

こっそりと会ってスクープされるより、堂々とタレントとマネージャー見習いとして表に出た方が世間の目を欺くことが出来る。今のところ二人の真の関係さえ公にならなければ問題ないのでは、というのがアン社長の出した答えだった。いやそれ以上に、上手くいけばミニョをデビューさせCDを出し、それが無理でもマネージャー見習いという名目でテギョンの傍にいさせれば、テギョンの仕事も上手くいく。


「二人が恋人同士だということが公にならないように気をつけてくれよ。」


アン社長は二人に繰り返しこの言葉をかける。

それさえ気をつければと、アン社長はテギョンの仕事現場へのミニョの同行を許可した。

そしてミニョは施設で仕事をし、歌を歌い、休みの日には事務所へ行くという妙な生活リズムができあがった。






「そうですね、オッパからも誘われてるし・・・どうしようかなぁ・・・」


「この間の休みには事務所にはいかなかったでしょう、今日は行ったら?」


「う~ん・・・」


悩むミニョを見ながらカトリーヌはクスクスと笑いが止まらない。


「そんな行く気満々の格好して悩んでないで、さっさと行きなさい。」


ミニョは厚手のコートを着て首にマフラーを巻き、手袋をはめバッグを抱えていた。


「じゃあ・・・行ってきます!」


カトリーヌがミニョの背中を押すと恥ずかしそうに笑いながらミニョは事務所へと出かけて行った。




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