You're My Only Shinin' Star (130) 目撃したのは・・・ | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

いい気分で仕事をしていたのにつまらないことで呼び出されたテギョンは、苛々と口元を歪めながら作曲部屋へ戻ると、ドアを開け中へ入ろうとしているジフンに会った。


「おい、そんなところで何してるんだ?」


中にはミニョがいる筈。この作曲部屋にはテギョン以外出入りする者がほとんどいないから、ミニョをこの部屋に連れて来た。自分が部屋から出ている僅かな時間に誰かが来るとは思いもしなかった。

テギョンの冷たく低い声にジフンはビクッと身体を震わせると手に持っていた膝掛けをテギョンへ見せた。


「部屋の前を通りかかったら窓からミニョさんが見えて・・・挨拶しようと思って中に入ったら寝ちゃってるみたいだったんで、取り敢えず何か掛けるものをと思って・・・」


ジフンはテギョンの睨みつけるような視線に怯えつつ、自分はそんなに悪い事をしたのかと首を傾げながら膝掛をテギョンへ渡すと逃げるように去って行った。

テギョンが窓の外から中を覗くと部屋の隅のソファーに座っているミニョが見える。中に入り近づくと背もたれに身体を預け、頭を少し傾け俯き加減でスース―と寝息を立てている。少しだけ口を開けたあどけない表情、規則正しいリズムで上下している胸。

無防備に眠っているミニョの姿にテギョンの頬は緩む。

しかしこの姿を他の人間に見られたと思うと途端に眉間にしわが寄った。


「ミニョ・・・ミニョ。」


名前を呼ぶが一向に起きる気配はない。

テギョンは口元にニヤリと笑みを浮かべると自身の唇でミニョの唇を塞いだ。しかし軽いキスくらいでは起きる気配がない。

今度はミニョの頬を両手で挟みしっかりと唇を合わせた。徐々に深くなっていく口づけ・・・


「んっ・・・」


テギョンのキスでミニョが眠りから醒めるとテギョンはゆっくりと唇を離した。


「やっと起きたな。」


目の前でニンマリと笑うテギョンの顔に驚いたミニョはテギョンから逃げるようにソファーに座ったまま身体を反らし、その拍子にお尻がソファーから滑り落ちた。


「いたっ・・・」


お尻をさすりながらキョロキョロと辺りを見回し、自分が何処にいるのか確認したミニョはニヤニヤと笑うテギョンを赤い顔で見上げた。


「オッパ、誰かに見つかったらマズいです!」


唇に残るテギョンの感触にドキドキしながら抗議をする。


「呼んでも起きないお前が悪い。それにお前だって、オッパって呼んでるぞ、マズいんじゃないか?」


腕組みをしてフフンと笑うテギョンにミニョはあっと短い声を上げると慌てて手で口を押さえた。





事務所の自販機でジュースを買っているミナムとジェルミの後ろをジフンが通りかかる。


「先輩、俺何か悪い事でもしたんでしょうか?」


ジフンは首を傾げながら作曲部屋でのテギョンとの遣り取りを話すとミナムはクックッと笑い出した。


「ああ、気にしなくていいよ。きっと虫の居所でも悪かったんだろ。そっか、ミニョ来てたんだ、どうりでヒョンの姿が見えないと思った。作曲部屋にいるんだ・・・」


ニヤニヤと笑うミナム。


「え?ミナム先輩、ミニョさんが来てること知らなかったんですか?お兄さんなのに?」


「俺別に妹だからって、あんまりミニョのこと気にしてないから。」


ミナムは手にした紙コップを見つめ、一瞬暗い表情をするとジュースを飲んだ。


「俺は気にするよ~。ミニョ来てるの?作曲部屋?会いに行こうかな。」


「ジェルミやめとけ。」


ミナムはワクワクと目を輝かせているジェルミの肩に腕を回すと小さな声で耳打ちをする。


「ジフンの話だと普段使ってない方の作曲部屋だ。あそこは窓も小さいし、廊下は滅多に人も通らないからな。そんな所にミニョと二人で・・・まったく何やってんだろうな。」


呆れた様にため息をつきながらニヤニヤと笑みを浮かべるミナムに、ジェルミはムッとした顔をした。


「ミナム、何想像してるんだよ、いくらヒョンだってまさか・・」


事務所で・・・と思いつつ、昨日テギョンが事務所の部屋でミニョを抱きしめていたところを目撃したジェルミは言葉が詰まる。


「・・・そうだね、昨日だってヒョンが撮影で酒飲んで倒れたって聞いて心配してたのに、ミニョにあんなこと・・・」


ミニョの首筋に残る赤い痕・・・

ジェルミは今朝合宿所で見たミニョの姿を思い出し、唇を噛んだ。


「あれは俺も驚いたな。思わず笑っちゃったけど。」


ミナムは今朝、水のペットボトルを持ったまま襟元を摑み顔を真っ赤にして階段を駆け上がっていくミニョの後ろ姿を思い出しクスッと笑う。


「事務所だからって油断できないね・・・」


ジェルミは真剣な顔で呟くと肩に置かれたミナムの腕を振り払った。


「俺ちょっと行ってくる。ミニョ~~」


ジフンはバタバタと走って行くジェルミを呆然と見つめている。


「昨日シヌ先輩がミニョさんは先輩達の妹みたいなものだって言ってましたけど、ジェルミ先輩見てると妹っていうより好きな子を追っかけてるみたいに見えるんですけど。」


「ハ、ハ、ハ・・・そうだね、ジェルミって感情表現ストレートだから、そう見えても仕方ないかな~」


ミニョとA.N.JELLの関係・・・

シヌとジェルミはミニョが好きだった・・・。多分今でもそうだろう。そしてテギョンとは恋人同士・・・

一人の女にグループのメンバー三人が思いを寄せているなんてことがマスコミにでもバレたら恰好の餌食になると思い、ミナムは咄嗟にわざとらしい笑いで誤魔化した。





ジフンにギターの指導をしていたシヌは、今朝合宿所の二階から下りてきたミニョの姿を思い出し苦笑いを浮かべた。ミニョは気づいていない様だったのでさり気なく教えてやったが、途端に顔を真っ赤にし今にも泣きだしそうになったミニョ。

あまりミニョを困らせるなよと後でテギョンに声をかけようと思いながら、そろそろ昼飯にするかとジフンに呼びかけた。


「そう言えば作曲部屋でミニョさん見かけたんですけど、ポカ~ンて口開けて寝てて・・・ククッ・・・何だかバカっぽかったなぁ。」


「・・・バカっぽい?」


ジフンの言葉にシヌは目を細めた。

もし自分の彼女のあんな顔を見たら幻滅してしまうと話しているジフンに、シヌは練習を続けろと言った。


「え?昼飯じゃないんですか?それに俺ずっと弾きっぱなしで手が痛いです。」


「一食くらい抜いたって心配ないし、俺の手が痛い訳じゃないから問題ないよ。」


シヌの口元には笑みが浮かんでいる。


「え~~、そんなぁ~~」


「・・・バカっぽい・・・」


小さく呟く口元は笑っているが、目は笑っていないシヌ。


「そうだなぁ、夜まで続けて弾いてみようか。大丈夫、俺今日は時間があるから、ずっと面倒見てやるよ。」


ジフンにはシヌの微笑みが氷のように冷たく見えた。



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