You're My Only Shinin' Star (124) メンバーの妹  | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

「今日は、ミナムの妹として事務所の中を自由に見ていってくれ。いや、いつ来てもらっても構わないぞ、その代わり、妹だからな、テギョンの恋人じゃないぞ、ただのメンバーの妹だからな。」


アン社長は二人に念を押すと、良い返事を期待していると言い残し部屋から出て行った。


「オッパ・・・私どうしたら・・・」


「お前は何も心配することはない、アン社長の言ったことは気にするな、ここの事務所に入る必要はない。」


不安げな瞳で呟くミニョにテギョンは明るく言うと、せっかくだからと事務所の中を二人で歩き出した。





たとえ事務所の中だろうと隠れることなくミニョと二人で歩けることが嬉しい。

テギョンは気づいていないようだが、その頬はさっきから緩みっぱなしだ。


「オッパ・・・じゃなかった、テギョンさん、どこに行くんですか?」


「テギョンさん?何だその呼び方は。」


「だって今の私はただのメンバーの妹ですから。」


アン社長の言葉に従い、テギョンのことをオッパと呼ばないミニョに口を尖らせるが、二人が歩いている間もすれ違う人達は二人を興味深そうに見ている。人目がある以上仕方ないなと思いながら、数ヶ月前は 『テギョンさん』 だったなと思うと、何となく懐かしい気がしてくる。


「最初にアフリカから戻って来た時は 『テギョンさん』 でしたね。」


はにかみながら話すミニョに自分と同じことを考えているなと、テギョンの頬が緩む。


「でも不思議ですね。今は 『テギョンさん』 って言うと、何故かハン・テギョンさんを思い出すんですよね。」


「何!?」


ミニョの何気ない一言にテギョンの眉間に思いっきりしわが寄った。

テギョンはミニョの腕を摑み手近な部屋のドアを開け、中に誰もいないことを確認するとミニョを部屋の中へ押し込む。


「テギョンさん、どうしたんですか急に。」


「今は誰も見ていない、テギョンさんと呼ぶな!」


「・・・オッパ?」


苛々と足を踏み鳴らし腕組みをしてミニョから顔を背けるテギョンを見て、ミニョは首を傾げた。


「・・・オッパ?何か怒ってます?」


テギョンの袖を摑み、キョトンと見上げるミニョの瞳に、気持ちを落ち着かせようとテギョンは長い息を吐いた。


「ああ、怒ってる・・・。名前くらいで苛立つ自分に腹が立つし、あいつのことを思い出すと言うお前にも腹が立つ。」


下唇を嚙み、口元を歪め横を向いたままのテギョンを見つめていたミニョの瞳が揺れ出した。


「あ、あの、ごめんなさい・・・。」


テギョンは俯き上目遣いで呟くように謝るミニョの首に手を伸ばし、胸元から星のネックレスを引き出すとミニョの目の前にぶら下げた。


「これを着けているお前は俺だけのミニョだ。お前の胸には俺だけがいればいい。たとえ頭の片隅だろうと他の男の存在は許可しない・・・・・・と言ったら、お前は呆れるだろうな・・・」


フッとため息を漏らし、星のネックレスをミニョの胸元へと戻す。自分の胸元から月のネックレスを取り出すと、乳白色の丸い石を指でつまみ眺めた。


「これを着けている時はお前だけのファン・テギョン、星のネックレスを着けているお前は俺だけのコ・ミニョ。お互いがそれを忘れなければ不安になることはない、と言ったのは俺なのに。」


自嘲気味に笑みを浮かべると、ミニョの腕を摑み引き寄せる。ミニョは抱きしめられながらテギョンの顔を見上げた。


「オッパ・・・私はオッパの婚約者です。・・・それでも不安ですか?」


丸い大きな瞳で見つめられ、テギョンの顔が赤くなる。


「いや、不安じゃない。これはただの・・・焼きもちだ・・・」


ばつが悪そうに顔を逸らすテギョンを見てミニョはクスッと笑った。





「オッパ・・・」


「何だ?」


「そろそろ離して下さい・・・」


「何で?」


「誰かに見られたらマズいです。」


「・・・嫌だ。」


「どうしてですか?」


「・・・気持ちいいから・・・」


事務所の一室でテギョンはミニョを抱きしめたまま。

いつ誰がドアを開けてもおかしくない場所でのことに、ミニョの鼓動は速さを増していた。


「この部屋は滅多に人が来ないから大丈夫だ。」


ミニョの耳元で囁くようにそうテギョンが言った瞬間、カチャッと回されるノブの音。ドアの方を振り向いた時には大きく開いたドアの向こうで、大きく口を開けているジェルミの姿がそこにあった。


「あ~~~っ!!」


「きゃあっ!」


大声を上げるジェルミとテギョンを突き飛ばすように慌てて身体を離したミニョに、テギョンは思いっきり不機嫌な顔をした。


「ヒョン!何やってんだよ、こんなとこで!」


真っ赤な顔でテギョンの後ろに隠れるミニョを見ながらジェルミがテギョンに食ってかかった。


「ジェルミこそ何だってわざわざこの部屋に来るんだ。」


ここは部屋といっても倉庫代わりに使っている場所。普段人の出入りがないこの部屋に、いつもなら来ないであろうジェルミが、このタイミングでドアを開けたことに知っててわざと開けたのかと勘繰ってしまう。


「ミニョが来てるって、マ室長から聞いたんだ。ヒョンと一緒に事務所のどこかにいるだろうって。だから俺事務所中捜し回ってたんだ。」


ジェルミは唇を嚙み、キッとテギョンを睨むとミニョの腕を摑んで歩き出した。


「ミニョ、こんなとこにいたらヒョンに何されるか判んないよ、向こう行こう。ヒョンも何考えてんだよ、ここは事務所だよ。」


「何されるか判んないって・・・何もしてないだろう・・・・・・まだ・・・」


テギョンの最後の一言にジェルミは足を止めるとテギョンの方を振り向いた。


「ヒョンのエッチ。」


ジェルミはミニョの手を摑んだままズンズンと廊下を歩いて行った。



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