You're My Only Shinin' Star (117) 意外な・・・敵? 1 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

A.N.JELLの四人が事務所から出て車へ乗り込もうとしていると後ろから声をかけられた。


「どうもこんにちは、今日は皆さんお揃いですね、丁度良かった。この間の話の続きがしたくて。」


眼鏡を指で押し上げニヤリと笑うキム記者の目はミナムをじっと見ている。


「ミナムから話は聞きました。まだ何か変な言いがかりをつけているようですね。」


テギョンの睨みにも怯むことなくメンバーを一瞥したキム記者は今度はテギョンへと視線を向けた。


「俺達は忙しいんです。いい加減にしてもらえませんか。」


「あれっきり何も言ってこないから、あんたの勘違いだったって気づいたのかと思ってたのに。暫く見かけなかったけど、またどっかに飛ばされてたの?」


クスクスと笑うミナムにキム記者はムッとした表情をしてミナムの方を見る。


「私だって色々と忙しいんです。あなた達のことばかり構ってられません。」


「もしかしてここに来てるのって上司には内緒なの?全部あんたの独断で動いてること?」


「一度飛ばされた私が再び信用を得るには大きなスクープが必要なんです。ちゃんとした確証を摑むまで報告なんてできませんよ。私だって必死なんです、何としても暴いて見せますよ。」


キム記者がアン社長に話を持っていかず、直接A.N.JELLのメンバーだけと話をしていることを不思議に思っていたテギョンは今のキム記者の言葉で納得がいった。

あまりにも不確かな、一見すると思い込みとも思えるキム記者の発言は、下手をしたら名誉棄損で訴えられる危険もある。キム記者がアン社長に直接聞かないのも上司に報告出来ないのもその為だ。キム記者としてももっと確実な証拠を摑むまで思い切った行動は出来ない。


「私としてはコ・ミニョさんに歌ってもらいたい、それだけなんですけど。私の疑いを晴らすにはそれしかありませんよ。それとも何か歌えない事情でもあるんですか?もっとも、わざと下手に歌われても困りますけどね。」


「俺の妹が歌って、あんたにその声の違いが判るんですか?」


嫌味たっぷりなミナムの言葉にキム記者はやけに自信ありげに鼻を鳴らすとニヤリと笑った。


「判断するのは私ではありません、ファン・ギョンセ氏です。」


「何!?」


ファン・ギョンセの名前に皆が一斉にテギョンの方を見た。


「ちょうど今韓国にいらしてますよね。何日もホテルに通い詰め、昨日やっとお会いできたんです。もちろんファン・テギョン氏のお父様だということは十分承知してます。音楽にとても厳しい方で、ファン・テギョン氏がA.N.JELLというバンドをやっていることをあまり快く思っていないことも。そしてファン・テギョン氏がクラシックに戻って来ることを切望しているということも・・・」


キム記者はテギョンの反応を窺うように視線をずっとテギョンに向けたまま、少し下がってきた眼鏡を指で押し上げた。


「もしファン・テギョン氏がA.N.JELLをやめるようなことになれば、クラシックに戻って来るかもしれないと言ったら私の話に興味を持って下さったみたいです。アレンジ前と後、二つの 『言葉もなく』 を聴いて頂きました。その場では何も仰いませんでしたが、ぜひコ・ミニョさんの歌を聴いてみたいと仰ってるんですが。」


「確かに父は音楽に関しては厳しい。いくら息子のいるバンドでも、もし二つの歌に疑わしいところがあればそれを隠したりはしないでしょう。」


テギョンの低くゆっくりとした口調にジェルミがゴクンと唾を飲み込んだ。キョロキョロと目を動かし、落ち着きのないジェルミの姿にキム記者は勝ち誇った様な笑みを浮かべた。


「ギョンセ氏はとてもお忙しい方です、あまりお待たせする訳にはいかないんですよ。私としてもいい加減この件についてはハッキリさせたいんです。どうですか、ギョンセ氏の前でコ・ミニョさんに歌って頂きたいのですが。」


テギョンはミナムの方をチラッと見て頷くと、ミナムも微かに頷いてテギョンに合図を送る。


「判りました。こっちもいつまでも付き纏われるのは敵わないし、妹に付き纏ってもらっても困るんで、ハッキリさせましょう。明後日の午後、明洞聖堂に来て下さい。詳しい場所と時間はまた後で連絡します・・・これでいいですか?」


ミナムの返事にキム記者は満足気に頷くと、ニヤリと笑いその場から去って行った。





「ギョンセ氏って・・・まさか自分の息子が窮地に立たされるようなこと言ったりしない・・・よね・・・」


車へ乗り込むと考え込むように腕組みをして黙ったままのテギョンに、後ろからジェルミが不安そうに声をかけた。


「さあな、父さんが俺がバンドをやっているのを嫌ってるのも、クラシックをやらせたがっているのも事実だからな。」


「まさか、ファン・ギョンセ氏の名前を出すとは思わなかったな。」


シヌのため息まじりの声にジェルミは一層不安になると、縋る様な目をテギョンへ向けた。

ミニョの声さえ変わっていれば別人だと言い張れると思っていた。誤魔化せると思っていた。

まさかアレンジを変えたあの歌を確実に聴き分けることのできる人物を、キム記者が連れてくるとは思っていなかった。そしてその人物なら、きっとクラシックを歌っているミニョと、ミナムのフリをしていたミニョの声が同一人物だということさえ気づくだろう。


「それだけキム記者も必死ってこと?俺のことなんてほっといて、他のネタ追っかけてりゃいいのに。」


カーテンを少しだけ開け窓の外の景色を見ながらミナムが呟く。

マ室長の運転する車は丁度明洞聖堂の前へさしかかった所で信号待ちの為停車した。

普段から人通りの多いこの場所は、ミニョが歌う明後日にはもっと人が集まるだろう。

ミニョの歌を聴き、ギョンセの言葉によって大勢の人の前でキム記者が高らかに笑い声を上げるか、悔しそうに顔を歪めて姿を消すか、全ては明後日決着がつく。

再び走り出した車の中で、二つの 『言葉もなく』 を聴き、すぐに答えを出さなかったギョンセのことを訝しみながら、テギョンは腕組みをしたままゆっくりと目を瞑った。



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昨日の記事で 「ピグ始めました」 と書いたら、お部屋に来て下さったり、お手紙頂いたり、プレゼントまで・・・

吃驚です。ありがとうございます。色々あるんですね、知らなかった。


お名前出しちゃっていいのか判らないので伏せておきますが、カップケーキありがとうございました。

賞味期限 1週間って、1週間経ったらどうなるの?消えちゃう?

う~ん、まだまだ謎だらけ。誰か教えて下さ~い。


初めの一歩を踏み出したところなので、小心者の私はまだまだ行動範囲が凄く狭いです。

更新に影響が出ないように、のんびりとやっていこうと思います。

あ、それと 「なう」 も始めてみました。

こっちもよく判んない。

取り敢えず更新のお知らせくらいなら何とか出来ました!

って、どんだけPCに疎いんだろう・・・・・・



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