You're My Only Shinin' Star (113) キム記者の出現 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

『皇帝 ファン・テギョン 新しい恋人の部屋から朝帰り?』


『ファン・テギョンの周りには、常に女性の影が・・・』





「テギョン、これはどういうことだ?」


アン社長はテーブルの上に今朝の新聞を広げた。


「どうって・・・別に何でもありませんよ。ただ俺が車に乗っているだけの写真じゃないですか。」


テギョンが合宿所へ戻って来た翌朝。新聞の芸能欄にテギョンの記事が載った。

マンションの地下駐車場から出てくる青い車の連続写真。運転しているテギョンの顔がハッキリと写っている。


「彼女のマンションか?」


「はい。」


「秘密にする約束だろう。」


「写っているのは俺だけですよ。一緒にいるところを撮られた訳ではありません。何の問題もないと思いますが。」


落ち着いた様子のテギョンにアン社長はテーブルに片方の肘をつくと、額に手を当て大きなため息をついた。


「テギョンに我慢させているのは判っている。だが今はスキャンダルは避けたいんだ・・・自重してくれ・・・」


「・・・・・・」


テギョンはアン社長に軽く頭を下げると部屋を後にした。






「あれってミニョの住んでるマンションだよね。一週間ずっと泊まってて、あの写真を撮られた日に合宿所に帰ってきたんだから、朝帰りってのは間違いじゃないよね。」


事務所の廊下を歩きながら今朝の新聞記事を思い出し、妙な部分で納得して頷くジェルミ。


「でも新しい恋人ってのは笑えるな。まあ最近のテギョンヒョンは変な写真撮られること多いけど、常に女の影が・・・てのも大げさだよな。」


ジェルミの横でミナムがクスッと笑う。

ユ・ヘイとの破局報道の後、ネット上で騒がれた二人の女性。誰が投稿したのかも判らない写真に振り回されている人達が、ミナムの目には滑稽に映った。


「真実を知らないからそう見えるんだよね。本当はずっとミニョだけなのに・・・。ミニョ大丈夫かな、マンションに記者が来たりしてないかな。」


「俺達は歌手なんだから私生活はほっといて、歌のことだけ記事にして欲しいよな。」


二人で歩きながら話し階段を下りてロビーへ来た時、柱の陰から一人の男が現れた。


「では、歌のことなら記事にしても構いませんね。」


眼鏡の奥の目を輝かせながら口元に笑いを浮かべるキム記者にジェルミは息を呑んだ。


「コ・ミニョさん、今韓国にいますよね。一度お会いしたいんですが。」


「俺の妹に何か用ですか?」


キム記者の口からいきなりミニョの名前が出たことに動揺し、せわしなく視線を動かすジェルミとは対照的に、ミナムはキム記者の目をじっと見据えていた。


「前にも言いましたがどうしても 『言葉もなく』 が気になってまして。そのことについて妹さんにもぜひお話を伺いたいと思いまして。」


「俺の歌のことを妹に聞いてどうするんですか?俺の歌なら俺のファンに感想を聞いて下さいよ。特にアレンジ前に出した方は初めてのレコーディングで緊張してたし、妹は俺に甘くないんで下手だとか言われると困るんですよ。」


全く動じた様子を見せないミナムにキム記者は目を細めると、眼鏡を指で押し上げた。


「そうですか、では妹さんにはお話を聞かせて頂くのではなく、歌を聴かせて頂くのはどうでしょう。妹さんにぜひ 『言葉もなく』 を歌って頂きたいのですが。」


「やっぱりそれが目的か。以前変なことを言ってたからな、最初に出した歌は誰が歌ってたのかって。」


ミナムはキム記者の下卑た笑いに顔をしかめると急に言葉遣いを変え相手を睨んだ。


「あいにく妹は忙しいんであんたの変な妄想に付き合ってる暇はないよ。それに俺達も忙しい、こんなとこで足止め食らってたら次の仕事に遅れる。」


キム記者の言葉を待たず、歩き出したミナムにジェルミは慌ててついて行く。後ろを振り返り、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべるキム記者を見るとジェルミは歩きながら小声でミナムに話しかけた。


「どうするミナム、取り敢えずこのことテギョンヒョンに報告しなくちゃ。」


「ああ、シヌヒョンにもな。だがいつまたキム記者が現れるか判らないからな。ジェルミ、あいつの前では絶対にテギョンヒョンの名前を出すなよ。今のヒョンとミニョの関係は表向きはA.N.JELLのリーダーとメンバーの妹だからな、あいつの前でヒョンの名前を出して妙に勘ぐられると困る。もしテギョンヒョンやシヌヒョンと一緒の時ならジェルミは黙ってろ。ジェルミが何か言うとボロが出そうだ。一人でいる時にミニョのことを聞かれたら、何のことだか判らないから俺に聞けって言っとけ。」


前を向いて歩き続けるミナムにジェルミは黙って頷いた。





ミナムから話を聞いたテギョンはカトリーヌに電話した。

いずれミニョとミナムの入れ代わりに気づく者がいるかもしれないと思いミニョにクラシックを教えていたカトリーヌは、少しも動じることなくテギョンの話を聞いていた。


『相手はまだ具体的には何も動いていないのよね。』


「大丈夫だと思います。もしキム記者が何か決定的な証拠を摑んでいるのならそれを匂わせるようなことを言うでしょう。ミナムに接触して動揺するかどうかを窺っていただけのようですね。だが相手はミナムだ、何の収穫もなく帰っていったようです。相手がジェルミだったらこうはいかなかったでしょうが。」


つくづくジェルミが一人の時にキム記者に会わなくて良かったと思うテギョン。ジェルミ一人だったらキム記者に声をかけられただけでオロオロと動揺し、つい余計なことをしゃべってしまいそうだ。


『相手の出方を待つ必要はないわ。向こうがまだ動いていないならこちらから動きましょう。』


何か良い考えがあるのかカトリーヌの声は心持ち弾んで聞こえた。




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