You're My Only Shinin' Star (89) 「お帰り」 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

泣いているのだろうか。小さく呟かれた言葉がくぐもって聞こえる。

自分に抱きついている温もりを感じながらも、今、起こっていることが非現実的のように思えて、確認するかのようにもう一度名前を呼んでみた。


「ミニョ。」


ミニョはテギョンの胸からゆっくり顔を離すと、頬に伝わる涙をそのままにテギョンを見上げ、笑みを浮かべた。


「ただいま。」


先程よりもはっきりと聞こえる声。

涙で潤んだミニョの瞳。

少し微笑みながらもおえつを堪えているのかキュッと結ばれた口元。

テギョンは覗き込むようにミニョを見つめ、その大きな瞳の中に自分の姿を見つけた。

今触れているこの温もりは本物なのだと、自分を抱きしめているのはミニョなのだと思うと、嬉しさと共に熱い想いが込み上げてくる。

だがそれよりも前に身体が反応していたらしい。テギョンは自分でも気づかないうちにミニョの身体を右腕で抱きしめていた。

微かに震える唇にそっと唇を重ねていく。

腕の中の存在を確かめるように、一度唇を離してはまた重ねられる唇。角度を変え何度も何度も・・・

初めはテギョンからの口づけに身体を硬くしていたミニョ。


「・・・んっ・・・」


テギョンの背中に回されていたミニョの手は、今はしがみつくようにバスローブの襟を摑み、テギョンからのキスを震えながら受けている。

相手への想いを確かめるように・・・

どれ程相手を必要としていたか確かめるように・・・

テギョンは名残惜しそうに柔らかな唇から離れると、ミニョの潤んだ瞳を笑みを浮かべながら見つめた。


「お帰り。」


いつの間にかタオルは落ち、まだ濡れている黒髪は長めの前髪の先に光の滴を作り出す。

少しはだけた胸元には月のネックレスが輝いていた。

その姿は妙に色っぽくて・・・

ミニョは今まで重ねられていたテギョンの唇から発せられる言葉とその姿に、顔を真っ赤にしながらも満面の笑みを浮かべるが、ふとだらりと下がったままのテギョンの左腕に気づき慌てて身体を離した。


「オッパ、怪我は大丈夫なんですか?」


テギョンは今まで抱きしめていた温もりが急に離れていったことに多少ムッとしたが、それが自分のことを心配してのことだと思うとフッと口元を緩めミニョの視線の先、自分の左腕を見た。


「ああ、これか・・・骨に異常はないし、大したことはない。」


着替えをするというテギョンにミニョは慌てて背中を向けると、二人共そのままで話を続けた。


「どうして俺の怪我のことを知ってるんだ?それに帰国は三日後の筈だろう。」


帰国日時が判っていたテギョンは空港まで迎えに行くつもりでいた。


「ネットで見たって、他のボランティアの人に聞いたんです。心配になってシスターメアリーにオッパが怪我をしたって言ったら帰りなさいって・・・家族のことが優先されるって。私がオッパって言ったからお兄ちゃんのことと勘違いしたみたいですね。」


「空港からここまでどうやって来たんだ?タクシーか?」


「いいえ、お兄ちゃんに迎えに来てもらいました。」


「何!?」


「電話で帰るって言ったら、迎えに行くから待ってろって。」


「何でミナムなんだ?どうして俺に電話しない。」


テギョンは帰国したミニョに一番最初に会うのは自分だと思っていた。それがたとえ兄のミナムだろうと譲るつもりはなかったのに。


「だってオッパの携帯全然繋がらないんです。私の携帯にかけても繋がらないし・・・」


テギョンはアン社長からもう少し怪我の状態がよくなるまで合宿所で休養するように言われていたが、そのわりには曲はできたかと電話がうるさいので携帯の電源を切っていた。何か急用があればメンバーかマ室長が直接言いに来るだろうと思っていた。ミニョの携帯は・・・

着替え終わったテギョンは机の引き出しを開けミニョの携帯を取り出した。


「・・・充電するの忘れてた・・・」


横からテギョンの手元を覗き込み、クスクスと笑うミニョにテギョンの口が尖る。


「だいたいお前が携帯を置いて行くのが悪い。色々と話したいことがあったのに手紙じゃすぐに連絡取れないじゃないか。」


ミニョはテギョンの言葉にソユンから聞いたネット記事のことを思い出し、それと同時に腹部に痛みを感じた。


「ミニョ、どうした。」


その場にうずくまるミニョを見てテギョンが慌てた。





「おーい、ミナムー、これミニョさんの荷物。」


マ室長がミナムからだいぶ遅れて大きなトランクを運んでリビングに入って来た。


「何で俺は荷物だけ運ぶ役なんだ?ミニョさん俺の車に乗ってけばいいのに。」


「バイクの方が早いだろ。ミニョ、少しでも早く帰りたそうだったから。」


ミナムは当たり前だろという感じでマ室長に言うが、その目はシヌの方を見ていた。


「オッパ、下ろして下さい、大したことありませんから。」


「いいから黙ってろ、暴れるな落ちるぞ。」


「だってオッパ怪我してるのに。」


「だから暴れるな、痛いだろう。」


マ室長がリビングでホッと一息ついた頃、二階からテギョンがミニョを抱き上げ階段を下りてきた。


「マ室長、丁度いい、病院まで乗せて行ってくれ。ミニョの具合が悪そうだ。」


「オッパ大丈夫です、それに自分で歩けます。」


「うるさい奴だな・・・」


テギョンはわざと一瞬腕の力を緩めた。


「きゃっ。」


落ちそうになったミニョは慌ててテギョンの首にしがみつく。


「そうやって摑まってろ。」


テギョンは痛みを堪えながら口の片端を上げる。


「テギョンその腕・・・」


マ室長はテギョンの左腕を見て驚いたがテギョンに睨まれ言葉が続けられなかった。その目は黙ってろと言っている。

テギョンの左腕、怪我をして包帯を巻いているであろう場所は白いシャツにも赤い染みが広がっていた。


「病院には連絡しておいた。裏から入れば人目につかずに診てもらえる、急いでくれ。」


テギョンは右足と左腕の痛みを堪えながらマ室長の運転する車に乗り込んだ。



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今日は朝からベルマークの集計をしに上の子の学校へ行ってました。

20人弱のお母さんたちが、おしゃべりしながら小さなベルマークの仕分けと計算をして。

半数ほどのお母さんたちはお昼で帰りましたが、残った半数はビッグマックをテイクアウトし、作業を続け。

3時になり私はそのまま園へ下の子のお迎えに行くことに・・・

疲れたけど楽しい一日でした。



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