You're My Only Shinin' Star (66) ネックレス | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

ここ数日間ベッドへ入ってもなかなか寝付けず、しかも眠りの浅かったミニョはテギョンの腕に包まれて、心地よい温もりを感じぐっすり眠ることができた。

瞼を開けると目の前には襟ぐりのゆったりとしたシャツから覗くテギョンのがっしりとした肩と、くっきりと浮かび上がる鎖骨。

ミニョは一瞬にして顔を赤くするがその腕から逃げようとはせず、ドキドキと速い鼓動のままテギョンの寝顔を見つめ、悪戯を思いついた子供のようにクスッと笑った。


― ちょっとだけなら、いいですよね。


絡みつくテギョンの腕から抜け出すと、ミニョは人差し指でテギョンの鎖骨を、ツツツーとなぞる。


― クスッ・・・何だか楽しい・・・もう一回・・・


もう一度人差し指を滑らせる。


「コ・ミニョ、くすぐったい、やめろ。」


ミニョが腕の中から抜け出した時に目を覚ましたテギョンは、指一本で自分の身体に触れているミニョが可愛くてつい寝たふりをしていたが、たどたどしい指の動きが妙にくすぐったくて我慢できずに目を開けた。


「キャッ。」


突然手を摑まれ、テギョンと目が合い真っ赤になる。


「俺の肌がどうかしたか?」


「い、いえ、別に・・・・・・あ、ネックレス。」


口の片端を上げて笑うテギョンに、身体を触っていたことがバレてしまい恥ずかしくて目をキョロキョロと泳がせていたミニョは、突然声のトーンを変えベッドから下りると、自分の首にかかっていた月のネックレスを外しテギョンへ渡そうとした。


「・・・俺が持っていてもいいのか?」


自分から手放した月・・・。テギョンは受け取る手を一瞬躊躇した。


「これを着けることができるのはテギョンさんだけですよ。」


微笑むミニョにテギョンは頷くとベッドから下りる。


「ミニョが着けてくれ。」


以前と同じようにミニョの前に立つテギョン。


「テギョンさん、後ろを向いて下さい。」


「このままがいい。」


「テギョンさん、もう少しかがんで下さい。」


頬を染めながら、背伸びをしてテギョンの首の後ろに手を回すミニョ。

あの時と同じ会話、あの時と同じ仕種、一つ違うのは・・・

ネックレスを着け終わったミニョの腰をぐっと抱き寄せるテギョン。ミニョの瞳を見つめながら徐々に顔を近づける。

ミニョは更に顔を赤くしながらそっと瞼を閉じた。





「テギョンさん、そのネックレス普段は外してくださいね。」


ニンマリと笑いながら月のネックレスを見ていたテギョンは、この言葉に眉根を寄せた。


「普段はって・・・じゃあいつ着けるんだ。」


「お休みの時とか、合宿所にいる時とか・・・」


「俺はこれを外すつもりはないぞ。」


突然何を言い出すんだと怪訝な顔でミニョを見る。


「でもテギョンさん今までにアクセサリーってほとんど着けてませんよね。たまにピアスと指輪を着けるくらいで。それなのに急にいつも同じネックレスをずっと着けていると変に思われませんか?カトリーヌさんにも気をつけなさいって・・・あっ。」


ミニョはカトリーヌの名前を口にしたことを焦り、慌てて手で口を塞いだ。

確かにテギョンはジェルミと違いほとんどアクセサリーを着けていない。そんなテギョンがいつも同じネックレスを着けていれば目立つだろう。恋人からのプレゼントかと、勘ぐられるかもしれない。カトリーヌの言っていた通り、ミニョの存在を捜し出し探ろうとする者が出てくるかもしれない。そうなれば今ミニョがしていることも危うくなるかもしれない。今は全て想像の範囲内だが、出来る限り危険なことは避けたいと思っていた。

テギョンはカトリーヌの名前を出した途端、慌てて手で口を塞いだミニョを見て苦笑いをした。


「カトリーヌさんのことは俺が誤解して勝手に気にしていただけだ。今はミニョの手助けをしてくれるミニョの友達だと思っている。何故そこまでミニョのことを助けてくれるのかは判らないが、俺はもう気にしてないから・・・。まあ、彼女の言うことにも一理あるが・・・ミニョはそれでいいのか?これをくれたのはお前だぞ、それを着けないで下さいって・・・変だろう。」


「でも・・・」


テギョンは困ったように上目遣いで自分を見つめているミニョを見て、暫くの間頭を捻っていた。


「・・・判った・・・仕事の時は、外そう。だがそれ以外はずっと着けているからな。」


「う~ん、テギョンさんは外ではあまり首元の開いた服は着ないし、シャツのボタンも一番上まできっちり留めて着る人ですから、ネックレスが見えることはありませんね。」


「ミニョ・・・普通は恋人にネックレスを贈ったら 『いつも着けて外さないで』 って言うもんじゃないのか?それを見えないから大丈夫って。」


テギョンはため息をつくとミニョを軽く睨んだ。


「よーし、そんなに言うならこれを外している時は仕事中だからな。お前とは気軽に話もしてやれなくなるがそれでもいいか?」


一度手放してしまったことを後悔していたテギョン。自分の手元に戻ってきたことをすごく喜んでいたのに、それを人目につかないように隠さなければいけないと言われ、ミニョの存在を公に出来ないことを心苦しく思っているのに・・・。

平気そうに話しているミニョを見て何だか腹が立ってきたテギョンは、つい意地悪な言い方をしてしまう。


「・・・はい・・・・・・私はテギョンさんが持っていて下さるだけで嬉しいです。」


あの朝、テジトッキの首にかけてあった月のネックレス。

ネックレスですらテギョンの傍にはいられないのかと悲しくなった。

でも今は、テギョンの胸で輝いている。


「それにテギョンさんはスターで皆さんのファン・テギョンさんです。私だけのテギョンさんではありません。だからネックレスを外している時は、皆さんのテギョンさんでいて下さい。・・・でも・・・そのネックレスを着けている時は・・・私だけのテギョンさんだと思ってもいいですか?・・・って、あーもう、何言ってるんでしょうね私・・・。言葉で伝えるって、難しいですね。」


真っ赤になった顔を少し俯けるミニョ。

テギョンはミニョの言葉にニンマリ笑うと胸の月をじっと見つめた。


「そうだな、これを着けている時はお前だけのファン・テギョンだ。そして星のネックレスを着けているミニョも、俺だけのコ・ミニョだ。お互いがそれを忘れなければ、不安になることはない。」


ミニョは胸元から出した星のネックレスをじっと見つめて、そうですねと微笑んだ。




宜しければ1クリックお願いします

  更新の励みになります

         ↓

   にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
    にほんブログ村



  ペタしてね    読者登録してね