You're My Only Shinin' Star (40) シヌとミナム | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

シヌには珍しくかなり酔っているように見える。立ち上がったが足下が覚束無い状態だ。


「シヌさん、お部屋に帰って休んで下さい。片付けは私がやりますから。」


ふらつくシヌの身体を支えようとミニョが近寄ると、スッと間にミナムが入る。


「俺が連れてくから。」


ミナムはシヌの腕を自分の肩に回し、下から持ち上げるように支えるとゆっくりと階段を下りて行った。


「シヌさん大丈夫でしょうか。」


「ああ、珍しくかなり酔っているみたいだな。」


「ビールも焼酎もかなり飲んでたよ。・・・飲みたくなる気持ちは判るけど・・・・・・」


テギョンとミニョに目をやるジェルミ。お互いに目が合うと優しく微笑みあう二人を見て少し胸が痛くなる。

シヌの座っていた辺りには何本ものビールの缶と焼酎の瓶が散乱している。


「じゃあ片付けますね。」


ミニョがテーブルの皿に手を伸ばすと、テギョンが横からサッとその皿を取る。


「二人の方が早い。」


手近な皿を重ねていくテギョン。言い方はぶっきら棒だが口元には笑みが浮かんでいる。


「そうだよミニョ、一緒にやれば早く終わる。二人より三人だね。」


ニッコリ笑うジェルミ。


「そうですね、じゃあ三人で片付けましょう。」


ミニョも微笑みジェルミと空き缶を片付ける。

さっきまで笑みの浮かんでいたテギョンの口があっという間に尖りだした。

そんなテギョンの顔をこっそり見ていたジェルミはクスリと笑う。


― ミニョ、俺はミニョの友達になるって決めたんだ。もしミニョがヒョンと喧嘩したら俺がちゃんと仲直りさせてあげる。だって俺知ってるんだ。ミニョはヒョンと一緒にいると最高にいい笑顔を見せるって。俺はミニョの一番の友達になりたい、一番の男友達に。それくらいならいいよね・・・


          ○          ○          ○


「シヌヒョン、気持ちは判るけど飲み過ぎだよ。」


シヌを何とか部屋まで運んできたミナム。ドアを開け部屋の照明を点けると中へ入った。

黒で統一された家具類。壁に並ぶ数本のギター。


「前と立場が逆になったな。あの時は俺がミナムを担いでやったのに・・・」


シヌがミナムに身体を預けながらゆっくりと息を吐く。

身に覚えのないミナムはそれがミニョのことだと気づいた。


「シヌヒョン、そのミナムは俺じゃないでしょ、ミニョだよ。俺は男でミニョは女。」


突然シヌは担がれている方の腕に力を込めミナムを自分の方へ向かせると、反対側の手でミナムの腰を抱き寄せた。ミナムは一瞬目を見開き身体を強張らせたが、シヌがそのまま動かないでいるとふ~っと大きく息を吐いた。


「シヌヒョン・・・俺、ミニョじゃないから・・・」


「・・・判ってる・・・ホントにジェルミの言ってた通り・・・ゴツイな・・・ミニョは、もっと柔らかかったのに・・・・・・」


クラブの屋上で酔ったミニョの身体を抱き止めた時の柔らかな感触。目の前にある艶やかな唇、白い首元・・・

フッと笑いながらミナムから身体を離すとミナムの頭をくしゃくしゃっと撫で、ヨロヨロと歩きベッドに仰向けに倒れた。


「俺の方が先に気づいてたのにな・・・」


シヌは以前テギョンに聞いたことがある。 『いつからミナムが女だと知っていた?』 と。テギョンは 『あいつが俺の部屋で騒ぎを起こしてホテルにいる時に知った。』 と言っていた。


「俺は・・・ずっと見てるだけだな・・・・・・」


シヌは自嘲ぎみに笑うと左手の甲で目を隠すように顔の上に乗せた。


「ハグなんて・・・するんじゃなかった・・・・・・」


ポツリと呟かれたシヌの言葉。

ミニョがアフリカから帰って来た日、つい自分もハグをしてしまった。そして後悔する、まだ早かったと。まだミニョに対する気持ちを整理できていない自分に気づく。

このままずっと抱きしめていたい気持ちを押さえ、ミニョの身体を離した。その直後にテギョンに抱きしめられるミニョ。

見ているのが辛かった。必死で平気なふりを装って・・・・・・。

自分の入れたお茶を飲んでニッコリと笑うミニョを見て自分でも信じられないくらい嬉しさが込み上げてくる。

眠るミニョを抱き上げ連れて行くテギョンを見て苛立つ。どうして自分はここで座っているのかと。

テギョンと自分の立場の違いを見せつけられているようで胸が苦しい。

今日もミニョの横にはテギョン。二人並んで楽しそうに話しているのを見るだけで心がざわつく。


ミナムはベッドの脇の床にペタンと腰を下ろし胡坐をかくと、ベッドに背を向けシヌに話しかけた。


「ミニョもテギョンヒョンのどこがよかったんだろうね。人も仕事も食べ物も好き嫌いが激しくて、その上潔癖症で焼きもち妬きなんて。問題ないのは過去の女に悩まされることがなさそうってことだけか?」


ミナムはチラッとシヌを振り返る。シヌもジェルミも女性との噂は何度か流れていた。


「でも俺は、テギョンヒョンの横で笑ってるミニョを見るのは好きだよ。生まれた時からずっと一緒にいるけど、あんな嬉しそうな顔初めて見た。」


ミナムはミニョのはにかんだ笑顔を思いだしフッと口元を緩める。


「俺、シヌヒョンとジェルミには感謝してる。きっと色々と聞きたいことがあると思うのに何も聞かないでいてくれて。アフリカでのミニョのことあんまり詳しく話せなくてゴメン。どうもミニョが話せないことがあるらしい、俺にも話せないことが・・・」


シヌは思わずテギョンも知らないのかと聞きそうになる自分を誤魔化すように、ベッドに仰向けになったままミナムの頭に手を置き髪をくしゃくしゃっと撫でる。


「ミナム、お前変わったな。以前はもっとミニョに無関心だったのに。ミニョがアフリカへ出発する時も見送りにいかなくてもいいと言ったり、手紙が来ても初めは返事も書かなかったり・・・」


ミナムは、無関心じゃなくて避けてたんだという言葉を飲み込んだ。



宜しければ1クリックお願いします

  更新の励みになります

         ↓

   にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
    にほんブログ村



  ペタしてね    読者登録してね