「このままがいい。」
自分から要求したこととはいえ、ミニョの柔らかな手が首の後ろに回されると、妙に緊張して鼓動が速くなる。動揺しているのを悟られない様に何でもない顔をするテギョン。
はいと返事をしたものの、テギョンの首の後ろに手を回すと妙に緊張して鼓動が速くなる。微かに震える手で何とか留め金を嵌めようとするが、なかなか上手くいかないミニョ。
「テギョンさん、もう少しかがんで下さい。」
近づくテギョンの顔。背伸びをするミニョ。
留め金を嵌める指に神経を集中させようとするが、すぐ横にあるテギョンの優しい顔が目に入ってしまい、真っ赤になり焦ってしまう。
ほんの少し顔を動かせば触れそうな程近くにあるお互いの唇。
ミニョがテギョンの首にネックレスをかけるというわずかな時間が、二人にはとても長く感じられる。
何とか留め金を嵌めることができ、ミニョがほっと息をついた時。
「ヒョン、朝早くゴメン。あのさぁ・・・」
ドアが開いてジェルミの声が聞こえた。
バタンッ。
部屋のドアに背を向けて立っていたミニョが声のする方を振り向いた時には、勢いよく閉まるドアが目に入っただけだった。
ドアの方を向いて立っていたテギョン。ミニョに向けていた視線をドアの方へ向けると・・・目を見開き、口をあけたままのジェルミの姿が見えた。
その直後慌てて閉まる部屋のドア。
「今のジェルミの声ですよね。」
テギョンの首に回していた手を離し、ミニョが首を傾げる。
「そうみたいだな。」
ドアを睨みつけたテギョンが思いっきり口を尖らせた。
○ ○ ○
「ジョリー、ミニョが・・・ミニョが~・・・」
ジェルミはジョリーの首に抱きついていた。目には涙が溜まっている。
テギョンの部屋のドアを開けたジェルミの目に入ってきたのは・・・
少し背伸びをし、テギョンの首の後ろに手を回しているミニョ。そのミニョの腰を抱き寄せるテギョンの腕。
。。。。。。。
『やっとつかまえたぞ、もう離さないからな。』
低く響くテギョンの声。
『私の方こそ、もう離しません。』
甘く囁くミニョの声。
二人の唇が近づいて・・・・・・
。。。。。。。
「うわぁ~~~」
頭を思いっきり左右に振るジェルミ。
「違う、ミニョはそんなこと言わない~。・・・でもミニョの手、ヒョンの首に・・・・・・」
ジェルミはさっき見た光景を思い出して下唇を嚙み、その場に座り込んだまま動けなかった。
「・・・きっとあれは、ヒョンが一方的にミニョを抱きしめてたに違いない。ミニョの手がヒョンの首にあったのは・・・偶然だ。うん、きっとそうだ。」
一人でそう結論づけるとジェルミはリビングへと向かった。
リビングではソファーにミニョとミナムが並んで座り話をしている。その向かい側ではシヌがお茶を飲んでいた。そこへ着替えをしたテギョンが二階から下りてくる。
「今日は皆やけに早いな。」
テギョンが声をかけると、ジェルミがキッとテギョンを睨んだ。
「おっ、何だジェルミその目は。」
「だってテギョンヒョンさっきミニョと・・・」
ジェルミはミナムを立たせると、向かい合うように並び背伸びをするように指示を出す。
「さっきテギョンヒョン、ミニョと・・・こうして・・・」
ミナムの手を自分の首の後ろに回させる。
「こうして・・・」
ミナムの腰をぐっと引き寄せ。
「こうして・・・」
顔を近づけて・・・
「ぶーーっ。」
シヌが飲んでいたお茶を噴き出した。
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