You're My Only Shinin' Star (34) 月=ミニョ | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

二人で手を繫いで早朝の街を歩く。車は数台走っているが、人通りはほとんどない。

それでもミニョは手を繫いで歩くのが恥ずかしく、離して下さいとテギョンにお願いをする。


「い・や・だ。」


即答だった。

ミニョの手に繫がれたテギョンの大きな手。ミニョは歩きながらその手をじっと見つめる。

不安な時、辛い時、悲しい時いつもこの手が自分を優しく包んでくれた。きっと色々と聞きたいことがあると思うのに、何も聞かずに抱きしめてくれた。

その手から伝わる温もりは、自分に元気と勇気を与えてくれる。

― 泣いているだけじゃいけない、少しずつでも前に進まなくちゃ・・・。また辛い思いをするかも知れない。でもこの手があればきっと大丈夫。だってこの手は・・・私の大好きな、テギョンさんの手なんですから。

ミニョが繫いだ手にギュッと力を入れると、テギョンは満足そうに微笑んだ。


          ○          ○          ○


「本当に一緒に入るんですか?」


「こんな時間だ、ほとんど客はいない。」


「バレたら大変な事になりませんか?」


「大丈夫だ。それに俺はバレても一向に構わない。」


「・・・・・・」


コンビニのドアの前で二人揃って一度立ち止まり、テギョンは繋いでいるミニョの手をしっかりと握りしめると、一気にドアを開けた。


「いらっしゃいませ。」


店内はレジに従業員が一人、客はサラリーマンらしき男性が二人いるだけだった。

パーカーのフードを目の下まで下げたテギョンと、キャップを目深に被ったミニョ。

水のペットボトルを一本手に取ると、レジでお金を払う。

一瞬顔を上げた従業員と目が合いそうになり、とっさにテギョンの背中に隠れたミニョ。ミニョを庇うように手を動かしたテギョン。二人の不審な様子に首をひねる従業員。

テギョンはレジを済ませると、再びミニョの手を握り店を出た。


足早に店から遠ざかる。暫く無言で歩いていたが、段々と笑いが込み上げてきた。


「プックック・・・」


「クスクス・・・」


「たかがコンビニで水一本買うだけなのに、俺達挙動不審者だな。」


「はい、でも楽しかったです。」


歩きながら笑い出す二人。

恋人と手を繫いでコンビニへ買い物に行く。こんな世間では当たり前のことが二人はとても幸せに感じられた。


合宿所に帰って来ると、キッチンではミジャが朝食の準備をしていた。


「ミニョ、久しぶり、元気だった?」


「はい、ミジャおばさんもお元気そうで。」


半年ぶりの再開を喜び合う二人。

テギョンはミニョに先にシャワーを浴びさせ、その後自分もシャワーを浴びた。


テギョンがバスローブ姿でシャワールームから出てくると、部屋ではミニョがトランクを開けて何やら探していた。


「あった。」


ミニョはトランクから出したそれをテギョンに見せないよう、とっさに自分の身体の後ろへ隠す。


「何だそれは。」


テギョンはミニョに近寄ると、後ろ手に隠したそれをスッと奪い取った。


「えっと、テギョンさんに・・・プレゼント・・なんですけど・・・」


テギョンが小さな木箱の蓋を開けると、中に入っていたのはシルバーチェーンの先に直径一センチ程の乳白色の丸い石のついたネックレス。三日月状のシルバーが丸い石を包んでいるデザインだった。


「テギョンさんの誕生石にしようかと思ったんですけど、お店の人がムーンストーンは恋人達の石だと教えて下さったんで。」


ミニョが少し頬を赤くして答える。


「シルバーの三日月に、丸いムーンストーン・・・満月。・・・これは、ミニョだな。」


「えっ?」


「以前自分で言ってただろ、自分は星の力を借りる月のような存在だと。」


コ・ジェヒョンの墓参りの夜。二人で夜空を見上げながらミニョが言った言葉。


「憶えていて下さったんですか?」


「当たり前だ。あの時は驚いたぞ。俺はスターだから自分のことを星だと言っても問題ないが、お前はいきなり自分のことを月に例えるんだからな。」


意地悪そうに笑うテギョン。


「ほら着けてくれ。」


テギョンはチェーンをつまむと箱の中からネックレスを取り出した。


「あ、でも後で知ったんですけど、ムーンストーンは女性が持っているといいそうなんです。ですからテギョンさんにプレゼントするのはどうしようかと・・・」


「クックックッ・・・お前らしいな。でもこれは月なんだろ。ミニョは俺(星)を持ってるんだから、俺がミニョ(月)を持っていて何が悪い。ほら、早く着けてくれ。」


テギョンが持っていたネックレスを差し出すと、ミニョは手で包むように受け取る。


「テギョンさん、後ろを向いて下さい。」


「このままがいい。」


テギョンとミニョは向かい合ったまま。

ミニョは暫くの間考えるように動きを止めたままでいたが、はいと返事をするとおずおずとネックレスを持った手を、テギョンの首の後ろへ回した。


「テギョンさん、もう少しかがんで下さい。」


なかなかうまく着けられず、ミニョも背伸びをする。少し時間はかかったが、何とかテギョンの首にネックレスを掛けることができた。ちょうどその時。

コン、コン。


「ヒョン、朝早くゴメン。あのさぁ・・・」


ノックの音とほぼ同時に、ジェルミがいきなり部屋のドアを開けた。




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