You're My Only Shinin' Star (32) ベッドの中で | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

テギョンが部屋に戻ると、ベッドからミニョの小さな声が聞こえてきた。


「・・・ごめんね・・・歌えないの・・・ごめんね・・・」


夢にうなされているのか眠ったまま眉根を寄せ、苦しそうな息遣いのミニョ。額にはうっすらと汗をかき、涙が頬を伝っていた。


「ミニョ・・・ミニョ!」


テギョンが声をかけるとゆっくりと少しだけ瞼を開くが、意識がはっきりしていないのか、目の焦点が定まっていないようだ。

テギョンはタオルを水で濡らすと、そっとミニョの顔の汗を拭いてやる。


「ミニョ、大丈夫か?」


優しく名前を呼びながらベッドの端に腰を下ろし、上から見下ろすようにミニョの顔を見つめ頬に手を触れる。


「・・・テギョン・・・さん?」


ミニョは顔に触れるタオルの冷たさが気持ちよかったのか、頬に触れる手の温もりに安心したのか、テギョンの名前を呼ぶと一瞬ニッコリ笑ってまた眠りに落ちていった。


「歌か・・・何とかしてやりたいな・・・・・・」


ミニョがアフリカで泣けなかったことについてあれこれ考えている場合ではない。ミニョは自分の胸で思いっ切り泣いた。今はその事実をしっかりと受け止めておこう。

テギョンはミニョの髪を優しく撫でると、ミナムの部屋へと向かった。


          ○          ○          ○


目が覚めたミニョの瞳に最初に映ったのは部屋の天井だった。見覚えのある天井の模様。すぐにテギョンの部屋だと判った。そして気づく。包まれる温もり、自分の身体にピッタリとくっつくテギョンの身体。絡みつくように回された腕。綺麗な寝顔。


「きゃっ」


あっという間に顔を赤くしたミニョは小さく叫ぶと、とっさにテギョンから離れようと壁の方へ転がる・・・ことが出来なかった。

何となれば・・・テギョンがミニョを抱きしめて離さなかったから。

ミニョはドキドキと速く脈打つ胸を静めようと何度か深呼吸をし、テギョンの腕から逃れようとテギョンの胸を押す手に力を込める。


「テ、テギョンさん・・・離してください。」


眠っているテギョンを起こさないようにと小さな声で訴えながら、テギョンの腕の中でもぞもぞと動いてみる。

う~んと唸ったテギョンの腕の力が一瞬緩んだと思ったら、ごそごそと動き続けるミニョの頭に手をやり、テギョンの胸に押しつけるように抱きしめなおした。


「テ、テ、テギョンさん!?」


更に顔を赤くしたミニョ。焦っていても眠っているテギョンを気遣い、小声でテギョンの名前を呼ぶ。

ミニョの顔にピッタリとくっつけられたテギョンの胸。ドクン、ドクンと伝わる鼓動。その鼓動は意外と速く・・・自分と同じ?

ただ眠っているにしては速すぎると思われる鼓動に気づいたミニョ。


「テギョンさん?」


さっきより少し大きな声で呼んでみる。


「・・・ぷっ・・・くくっ・・・・・・」


ミニョを抱きしめているテギョンの身体が揺れているのが伝わってくる。


「テギョンさん、起きてるんですか!」


ぷうっと頬を膨らませたミニョが顔を上げると、目の前に少し意地悪そうに微笑むテギョンの顔。


「やっと気づいたか。」


クスクスと笑うテギョン。


「離してください。・・・心臓が・・・もちそうにありません!」


真っ赤になった顔をテギョンの視線から外すように横に向け、テギョンの腕から逃れようとグイグイとその胸を押す。


「そうか?俺は凄く落ち着くんだがな。」


離してたまるかという感じで、ミニョを腕の中に閉じ込める。


「嘘です。テギョンさんの鼓動、私と同じくらい速いです!」


再びテギョンの胸に顔を押しつけられ、その鼓動の速さを確認するとキッパリと言った。

テギョンは腕の力を緩めるとふうっと息を吐き、相変わらず顔の赤いミニョを覗き込んだ。


「嘘じゃない、本当に気持ちが落ち着くんだ。だが・・・身体は違うらしい・・・すごく緊張してる。でも嫌な感じじゃない。ミニョは?」


目の前で優しくニッコリと微笑むテギョンの顔を見て、ミニョの鼓動は一段と速くなる。


「わ、私は・・・もの凄くドキドキして・・・嫌な感じじゃないですけど・・・でも、やっぱり・・・全然落ち着きません!息ができなくなりそうです・・・」


「そうか、それはまずいな。俺はもう少しこうしていたかったんだが。仕方がない、離してやるか。」


クックッと笑いながらテギョンはミニョの身体を抱きしめていた腕を解く。


「あ、ありがとうございます。」


何故礼を言っているのか判らないが、ミニョはとりあえず自由になった身体でスルリとベッドから抜け出すと、シャワールームへ向かった。


「か、顔を洗ってきます。」


赤い顔を俯かせ、足早にシャワールームへと駆け込みバタンとドアを閉める。


「ついでにシャワーも浴びたらどうだ?まだ朝早いからな、ミジャおばさんが朝食を作りに来てくれるまでだいぶ時間がある。さっぱりするぞ。」


クスクスと笑いながら閉まったドアの外からテギョンが声をかけると、暫くしてミニョが顔を出した。


「だったらテギョンさん・・・一緒に走りませんか?」




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