You're My Only Shinin' Star (31) 俺のせいだ・・・2 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

テギョンが二階から下りてくると、共演者と夕食を済ませたミナムが合宿所に帰って来たところだった。

ミナムはリビングのソファーに腰を下ろすと、手に提げていた箱からアイスを取出しスプーンを突っ込み、テギョンはキッチンの冷蔵庫から青い瓶を取り出すと詮を開けて口をつけた。


「ミニョはまだ寝てるの?」


「ああ。」


テギョンはミナム、シヌ、ジェルミにメールを送っていた。


『ミニョは起きたが、食事の後また寝た。』


詳しいことは一切書かれていないが、カトリーヌからあまり食事をしていないと聞いていたので、とりあえず食べることができたことに三人はほっとした。


「ちゃんと食べれたんだね、よかった。」


「暫くの間あまり食べていないと聞いていたから、大丈夫かと心配するくらい食べたぞ。」


「ハハハ、ミニョは昔から胃は丈夫だったから。」


「そんなとこまでお前達は似てるんだな。」


大きなアイスを右腕に抱え、左手のスプーンでカップの中身をせっせと口へ運ぶミナムを見ると、妙に納得してしまう。


「たくさん食べて、たくさん泣いた・・・。泣き疲れたのか、そのまま眠ってしまった・・・」


ネルソンの死に大粒の涙を流し、ミニョはテギョンの腕に包まれながら、いつの間にか眠ってしまっていた。

その時のミニョの穏やかな顔を思い出すと、テギョンはほんの少しだけ口元を緩めた。


「ミニョ泣いたんだ・・・。で、ミニョはぬいぐるみ部屋?俺の部屋?ヒョンの部屋?」


大きなアイスの半分程を食べたミナムは、カップに蓋をするとマジックで大きく 『コ・ミナム』 と名前を書き、冷凍庫へと入れる。


「俺の部屋だが。」


文句あるかとでも言いたげに自信たっぷりに答えるテギョンにミナムは少し驚いた。


「ふうん・・・ま、いいけどね。前にも言ったけどミニョはヒョンの傍が落ち着くんだよ。よく判んないけどさ、今日ミニョが泣いたのだって、ヒョンが傍にいて安心できたからなんじゃない?」


「・・・そのことなんだが・・・・・・」


テギョンは言いにくそうに時々言葉を詰まらせながら、アフリカへ行く時にテギョンが言った言葉の話をした。


「俺のせいだ、アフリカで泣かなかったのは、たぶん俺が原因だ。」


眉根を寄せ下唇を軽く噛み苦しそうに呟くテギョン。


「ヒョンの俺のせいだって台詞、二度目だね。」


一度目はモ・ファランのことでミナムに謝罪した時、そして今日が二度目。どちらもミニョを想っての台詞。

ミナムは少し俯き加減で、まるでミナムに頭を下げているようにも見えるテギョンの姿に心を痛めた。


「ヒョンのせいじゃない、大丈夫だよ、あんまり気にしないで。ヒョンが気にしてたらミニョも気にしちゃうだろ。理由なんてどうだっていいよ、ミニョはアフリカで泣けなかった、帰って来てヒョンの傍で泣いた。それだけで十分だろ。ミニョならきっと大丈夫だから・・・あいつ、ああ見えて結構強いんだぜ。」


ミナムは口元に優しい微笑みを浮かべた。

その顔はテギョンが初めて見るミナムの顔だった。それはいつものシニカルな笑みではなく、テギョンを気遣いミニョを想って見せる優しい笑顔。ミニョのことを慈しむ心が表れている。


「ミナム・・・お前・・・変わったな。以前はそんな風にミニョのこと話さなかったのに。この間の手紙が来た時から感じていたんだが・・・院長様に連絡を取ったり、今日も帰って来るなりミニョのことを聞いたり・・・」


テギョンの意外な言葉にミナムは一瞬表情を硬くする。

自分でも気づかなかったこと。避けていたはずだったのに、いつの間にかミニョのことを心配するようになっていた自分に驚くミナム。


「俺が変わった?」


「ああ、以前のお前ならミニョを心配して動くなんてことしなかったんじゃないか?」


「・・・そうかも知れないな・・・そうだといいんだけど・・・」


ミナムは自嘲気味に笑うと、テギョンへ顔を向けた。


「ミナム・・・」


テギョンがミナムに何か言いかけようとした時、廊下をバタバタと走ってくる音が聞こえた。


「ミニョは!?」


息を切らしたジェルミが開口一番叫んだ。


「寝てる。」


テギョンが答える。


「え~、せっかく急いで帰って来たのに、今日もミニョに会えないの~」


「ジェルミ、何でそんなに息切らしてるんだ。」


「道が渋滞してたから、途中で車降りて走って来たのに・・・」


肩を落とし涙目になるジェルミ。


「ジェルミ、明日は仕事終わるの早いだろ。明日なら会えるさ。」


ミナムがジェルミの肩にポンと手を置き慰める。

テギョンが階段を上っていると、恨めしそうに見つめるジェルミと目が合った。


「ジェルミ、ぬいぐるみ部屋覗くなよ。」


ミニョはぬいぐるみ部屋にはいない。もしジェルミが部屋を覗いてミニョがいないことが判ると大騒ぎをするだろう。テギョンもジェルミに内緒で自分の部屋に寝かせている為、ばつが悪い。


ジェルミはテギョンに釘をさされしゅんとなる。


「ヒョンもミニョが起きてくるまで、くれぐれもぬいぐるみ部屋覗かないようにね。」


「俺はそんなことはしない。」


ミニョはテギョンの部屋にいるのだからそんな必要ないのだが、ジェルミの手前わざと、ぬいぐるみ部屋というのを強調するミナム。

ニヤニヤ笑いながらテギョンに声をかけるミナムに片方の口の端を上げて答えると、テギョンは自分の部屋へと消えて行った。





宜しければ1クリックお願いします

  更新の励みになります

         ↓
   にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
   にほんブログ村


  ペタしてね    読者登録してね