You're My Only Shinin' Star (24) 手紙 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

「今回はミニョからの手紙遅いよね。もう、とっくに来てもいい頃なのに。」


「そろそろ帰国のはずだな。」


事務所からの帰り。車の中で、ジェルミとシヌがミニョからの手紙のことを話していると、ちょうど合宿所へ着いた。

最後に車から降りたミナムが、運転席のマ室長に声をかける。


「マ室長、そろそろ渡してくれないと、ちょっと困るんだけど。」


マ室長は何のことか判らないという顔をしたが、次の瞬間慌てて自分のカバンの中を探り始めた。


「あ、あった。悪い・・・コレ・・・」


「二、三日くらい前には来てたんじゃないかな?」


マ室長は大きな封筒をミナムに渡すと、ハハハと乾いた笑いを残し、逃げるように車を走らせて行った。


「マ室長め、完全に忘れてたんだな。」


先に車から降りていたテギョンが走り去る車を睨むと、ひょいとミナムから封筒を取りリビングへと入って行く。

いつもの様に、自分宛の封筒を取り出すと、ジェルミはウッドデッキへ、シヌはお茶の準備をするためキッチンへ、ミナムはリビングへ、テギョンは作業部屋へと、それぞれの空間へ向かいミニョからの手紙を開ける。



「ジョリー、ミニョから手紙が来たよ~。そろそろ帰国だよね、いつ頃帰って来るか書いてあるかな。あ~何か緊張してきちゃった。ちょっとトイレ行ってくる。」


ウッドデッキに来たジェルミはジョリーに封筒を見せると、トイレへ行く為中へ戻って行った。



「ミナム、疲れているのかと思って少し甘めにしたんだが・・・どうやら心配事みたいだな。」


リビングのソファーに座って腕を組んだまま封筒をじっと見ているミナムにシヌがコーヒーを持って来た。


「いや、ちょうど甘いのが飲みたかったんだ。でも手紙の時はいつもコーヒーだね。」


「ミニョのいるところはコーヒーの産地だからな。」


シヌは自分のよりも少しだけぬるめのコーヒーをミナムに渡すと、テラスへと階段を上って行った。



テギョンはピアノの前の椅子に座ると、部屋から持って来たペーパーナイフできれいに封を開けた。


― 相変わらずだな・・・


テギョンへの手紙の出だしは決まってこうだ。


『テギョンさん、お元気ですか?』


いつもと変わらないミニョからの手紙。

ミニョが世話をしているネルソンの話。よく笑うようになったと、ミニョの喜ぶ姿が文章からも伝わってくる。

ホームステイ先の一歳のジョゼ。落ちているものをゴミ箱に入れるのが最近のお気に入りで、姉のタニアが自分のヘアーピンを捨てられたと怒っていたこと。

ミニョの日常がよく判り、読んでいるテギョンの顔にも自然と笑みが浮かぶ。

そんな中、最近の手紙によく出てくる名前 『カトリーヌ』


「何者だ?」


ミニョに友達ができたのはいいことだ。だが、新しい 『アヴェ・マリア』 を教えてもらったとか、孤児院に来ているとか、毎日一緒にジョギングしているとか、あまりにもミニョに近づきすぎる。それに初めてミニョがカトリーヌに会った時の会話。


『テギョンさん、友達から始めましょうねって言われたんですけど、友達に続きがあるんですか?』


手紙に書かれたミニョの素朴な疑問。

その手紙を読んだ時、テギョンにも意味が判らずジェルミに聞いたことがある。


「昔のドラマで見たことがある。付き合って下さいって言われて、じゃあ、友達から始めましょうってやつ。友達の続きっていうか友達以上っていう意味で恋人のことかな?」


― 友達の続き・・・おいおい。


「俺はあいつの周りにいる男の心配はしていたが、まさか女の心配もしなきゃいけないのか?」


顔をひきつらせながら手紙を読み続けるテギョン。

カトリーヌの話が続き、眉間にしわを寄せていると、今度は段々とその表情が怪訝なものへと変わっていく。

いつもなら手紙を読み終わった後、ミニョを思い浮かべてピアノを弾く。だが今日はいつもと違い、最後まで読み終わるや否や手紙を持ったまま作業部屋からリビングへと走り出していた。


「ミナム、どういうことだ?」


テギョンがリビングのソファーに座って手紙を読んでいるミナムに問いかけると、すでにそこには手紙を手にしたままのシヌとジェルミの姿があった。


「さ~んに~んめ~」


ミナムはそう言うとニヤリと笑い。


「ジェルミもシヌヒョンもテギョンヒョンもおんなじこと聞くんだね。」


手にしていた手紙を封筒の中へ入れた。


「「「一時帰国って!?」」」


三人は声を揃えるとお互いに顔を見合わせる。


「一度帰って、またアフリカ行っちゃうってこと?」


「一時帰国って書いてあるんだから、たぶんそうなんだろう。」


ジェルミの慌てた様子にシヌが落ち着いた声で答える。だが、そのシヌも動揺しているのが目に見えて判った。


「やっぱりミニョ、アフリカで誰か他に好きな人ができたとか・・・」


この間の控室での自分の言葉を思い出し、オロオロするジェルミ。

そんなジェルミをひと睨みすると、テギョンはミナムの前へ進み出た。


「半年で帰って来るんじゃなかったのか?ミナム、院長様から何か聞いてないのか?」


今にも摑みかかりそうな勢いのテギョンをミナムは左手で制しながら立ち上がる。


「テギョンヒョンもミニョから聞いてるだろ。今回のボランティアは修道院とは関係ないって。身元照会人は親代わりである院長様になってるけど、基本的にミニョ個人が申し込んで行ってるんだから。」


確かにミニョはテギョンがコンサートで告白したあの夜に言っていた。修道院とは関係なく個人で行くと。そして、そのボランティアに偶然知り合いのシスターがいるらしいと。


「どうせもうすぐ帰って来るんだ。それまではどうしようもない。・・・じゃ、俺は部屋に行くから。」


ミナムはテーブルの上の手紙を摑むと、テギョンの肩をポンと叩く。一瞬目が合うと、ミナムは微かに頷き階段を上って行った。



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