You're My Only Shinin' Star (7) | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

テギョンはミニョを抱きかかえたまま、ミナムの部屋のドアを開け・・・固まっていた。


「何だ・・・コレは・・・・・・」


首を傾げる。

床に散乱した雑誌、ベッドの上に広げられた大量の服。


「この間、この部屋に来た時は、もっと片付いてたぞ・・・」


暫く呆然と立ちつくしていたが、ミニョを寝かせるスペースがないと判断すると、自分の部屋へ足を向けた。

カチャ・・・

自分の部屋のドアを開け、ベッドへと向かう。


― こいつと一緒にこの部屋に入るのは、どれくらいぶりだろう。


ドキン、ドキン・・・・・・

何故だか妙に緊張して、自分の心臓の音まで聞こえてきそうだ。

首を傾げながら、気持ちよさそうに眠っているミニョの顔を見つめる。


― 俺は眠ってしまったこいつを、ベッドに寝かせる為に連れて来ただけだ。ミナムの部屋は、とても寝かせられる状態じゃなかったから、俺の部屋に連れて来ただけだ。


言い訳じみたことを考えているテギョン。


― 何故俺は、自分に言い訳してるんだ?


更に首を傾げながらも、ミニョをベッドへ下ろした。


「う~ん・・・」


寝返りをうったミニョは壁の方を向き、そのまま寝続ける。

テギョンは布団をかけると椅子に座った。


「テジトッキ、仲間が来たぞ。」


昨夜、部屋へ連れ戻したぬいぐるみのテジトッキに話しかける。


「絶滅は免れたな。」


ニンマリと笑い、テジトッキと握手をすると、五線紙と鉛筆を手にミニョの方を見る。

目を瞑り眉間にしわを寄せ、暫く考え込む。

チラリと目を開けミニョの方を見て、また目を瞑り、眉間にしわを寄せる。

何度か同じことを繰り返した後、あー、と声を上げて立ち上がった。


「こっちを向け!後頭部だけ見ていても、何も浮かんでこないぞ。」


紙と鉛筆を机に置き、ベッドまで来ると端の方に腰を下ろしミニョを見つめた。


「よく眠っているな。」


フッと口元が緩む。

暫く寝顔を眺めていたが、相変わらず壁の方を向いたままのミニョに、だんだん苛立ってきた。

ツン、ツンと頬を突っつく。

・・・無反応・・・・・・

もう一度ツン、ツンと頬を突っつく。

う~ん、と言いながら頬に触る物を無意識に手で払おうとする。


― 生意気な・・・。お前は今まで俺に姿も見せなかったくせに、今度は顔すらまともに見せない気か?・・・よ~し・・・・・・


テギョンは布団を捲るとスッと身体をミニョの横に寄せた。

自分の左腕の上にミニョの頭を乗せ、後ろから包み込むように抱きしめる。

朝のワイドショーでのミナムの言葉がよみがえる。


『天下の皇帝ファン・テギョンに告白されて、すぐにボランティアで外国に行く女性がいると思います?』


― ここに、いるんだよな・・・・・・


「はぁ~、やっとつかまえた・・・と思ったのにな。明日にはもう行ってしまうのか・・・」


沖縄でミニョの手を離した後のテギョンは、とにかく忙しかった。

六枚目のアルバムの大ヒットと共に増えたテレビ出演、ラジオ出演、雑誌の取材。いつもなら断っていたようなトーク番組にまで、テギョン自ら出ると言い出し、その結果、毎日必ずどこかでファン・テギョンの姿を目にし、ファン・テギョンの声を耳にすることができた。

この状況を喜んだのは、ファンとメディア関係者、それにアン社長だった。

毎日朝早く合宿所を出て、帰ってくるのは深夜。テギョンはその後作曲作業もして、かなりの疲労状態。

そこまで身体を酷使しなければ眠りにつけない。そんなテギョンの行動が、ミニョとの別れによるものだと判っているメンバーは、テギョンの身体を心配しながらも何も言えずにいた。


「俺は、お前がいると眠れるみたいだ。」


眠気からか段々と意識が遠のく。


― お前がいないと眠れないのか?はぁ~、また眠れない日々が続くのか・・・・・・


テギョンはミニョの髪に顔をうずめると、抱きしめている腕にギュッと力を込めた。


「・・・サランヘ・・・」


     *     *     *     *     *     *     *


― 次回予告 ―   (次のお話のどこかで出てきます)


「あ~、コホン。・・・ヒョン、入るよ~」


そっとドアを開けて顔だけ中に入れる。


「・・・お取込み中じゃないよね~。・・・そろそろ時間なんだけど。・・・電話したのに出ない方が悪いんだから・・・」



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