「そろそろ時間かな。」
ミナムは携帯を取り出すと、どこかへ電話をかける。
・・・相手は出ないようだ。
もう一度かける。
・・・また出ないようだ。
「呼んでくる。」
ミナムが席を立った。
「あ、ミニョ呼びに行くの?俺も行くよ。それにしてもテギョンヒョンはパーティーの途中でどこ行っちゃったんだろ。部屋で作曲でもしてるのかな?」
ミナムの後について行こうと、ジェルミも立ち上がる。
「ジェルミはここで待ってて。俺が呼んでくるから。」
「え~、何で~?」
「いや~、待ってた方がいいと思うよ。」
ミナムはクスクスと笑いながら部屋を出て行った。
不満顔のジェルミは、ミナムの姿が見えなくなったのを確認してから、こっそり後をついて行こうとしている。
先程からミナムの様子をチラチラと見ていたシヌ。
「ジェルミ、行かない方がいいと思うが・・・」
ジェルミの後ろ姿に声をかけたが、そのまま行ってしまった。
ドアの陰に隠れて、こっそりとミナムの様子を窺う。
「あれ?何でテギョンヒョンの部屋に行くんだ?ミニョはミナムの部屋だろ?」
首を傾げるジェルミ。
ミナムは自分の部屋・・・ではなく、テギョンの部屋の前にいた。
コン、コン。
ドアをノックする。・・・が、返事はない。
ドン、ドン、ドンッ。
先程より強くドアを叩く。・・・が、返事はない。
少し待って、ドアノブに手をかけた。
「あ~、コホン。・・・ヒョン、入るよ~」
そっとドアを開けて顔だけ中に入れる。
「・・・お取込み中じゃないよね~。・・・そろそろ時間なんだけど。・・・電話しても出ない方が悪いんだから・・・」
身体全体を部屋の中にすべり込ませ、キョロキョロと辺りを見回すと、ベッドへと近づいた。
二人で眠っている姿を目にしたミナム。
「この状況は・・・兄としては、可愛いでは済まされないと思うけどな。」
ベッドの中でテギョンがミニョを後ろから抱きしめ、一緒に寝ている姿を見て、軽くため息をつく。
が、あまりにも自分の想像通り、いや、それ以上の行動をするテギョンが、可笑しくてたまらない。
いつの間にか、ミナムの口からクスクスと笑い声が漏れていた。
ミナムの後ろから、こっそり部屋に入って来たジェルミがベッドを見て固まった。
「あ゛~~~っ!」
合宿所中に響き渡るジェルミの声。
「だから止めたのに・・・・・・」
ジェルミの叫び声を聞きながら、シヌはワインの入ったグラスに口をつけた。
* * * * * * *
― 次回予告 ― (次のお話のどこかで出てきます)
重ねられた唇が離れると、あわてて口元を押さえ真っ赤になった顔を少し俯ける。
テギョンはその様子に満足そうに微笑むと、再びミニョの身体をギュッと抱きしめた。
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