You're My Only Shinin' Star (6) | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

普段事務所でも合宿所でもあまり話したことがない。そのテギョンがいきなりミナムの部屋のドアを叩いた。


「あいつが姿を消したのは、俺のせいだ。俺があいつを傷つけた。」


すまないと言って頭を下げる。

ミナムは驚いた。

今まで噂で聞いていたファン・テギョン、いっしょにA.N.JELLとして活動して目の前で見てきたテギョンからは、想像もつかない姿だった。

テギョンは母親モ・ファランとミナム達の両親との間にあった出来事を話した。そして、しきりに俺の母親のせいで・・・といって謝る。

テギョンはミナムの憧れだった。

A.N.JELLの皇帝ファン・テギョン。

練習生になってからは、少しでも近づきたくて、毎日必死でレッスンを受けた。

A.N.JELLの四人目のメンバーに選ばれた時は、飛び上がって喜んだ。

ミナムがメンバーとしてA.N.JELLに入るまでに、思いもよらないアクシデントはあったが、無事メンバーとして受け入れられた。

間近で感じるテギョンの音楽。

身近にいると、より一層テギョンの凄さを感じる。

そのテギョンが母親の為に頭を下げている。


「テギョンさんが謝ることじゃない、テギョンさんのせいじゃない。」


「だが、しかし・・・」


テギョンの言葉にミナムが言葉を被せる。


「空港で会った時からずっと気になってた。俺を見る目が何か違うような。その訳がやっと判った。俺に悪いと思ってたんだね。」


「俺の母親がお前たちの両親にしたことは・・・・・・」


「もういいって、そのことは!」


苛立つように言葉を発する。

憎らしいくらい自信に満ち溢れていて、不敵な笑みを浮かべている。

そんなテギョンが好きだし、憧れでもあった。自分に許しを請う姿は、とても見ていられない。


「それに俺、とっくに母さんはもう死んだと思ってたから。俺にとっては、どこかで生きてて、いつか会える人じゃなくて、この世にいなくて、もう会えない人なんです、随分前から・・・。だから実際に亡くなったって聞いたって、何ともない。」


テギョンが驚いたように目を見開き、ミナムを見つめる。


「驚きました?ミニョとの反応の違いに。あいつはずっと母さんに会いたがってたからなぁ。きっと大泣きしたんじゃないですか?」


クスクスと笑うミナムにテギョンは何も言えずにいた。

確かに反応が全く違う。

母親の死を聞いて泣き崩れたミニョ。

母親の死を笑って話すミナム。

ミニョと同じ顔。

ミニョと同じ声。


「だからもう気にしないで下さい。それにミニョのことは二人の問題でしょ。俺には関係ない。」


そう言うと、部屋から出そうとテギョンの背中を押す。


「テギョンさんが気にしたままだと俺もA.N.JELLでやりづらいから、この話はこれで終わりにして下さい。じゃないと・・・・・・ヒョンニムって呼びますよ。この顔と、この声でヒョンニムって呼ばれるの嫌じゃないですか?ミニョを見てるみたいで。」


ミナムがニヤリと笑う。

テギョンは一瞬目を見開き、次いで顔を歪ませた。


「ジェルミから聞いてます。ミニョはテギョンさんのことをヒョンニムって呼んでたって。嫌でしょ、俺にヒョンニムって呼ばれるの。俺は母親の話をされるのは嫌だ。ね、お互い嫌なことするのはやめましょう。俺これからはテギョンさんのことヒョンって呼びますから。じゃ、そういうことで話は終わりですね。」


ミナムはテギョンの背中を押し、部屋から追い出すと、バタンとドアを閉めた。


          ○          ○          ○


あれからお互いに母親の話はしていないが、普通に会話はするようになった。


「あれでよかったんだよな。」


小声で呟きながら、少し緩む口にビールを流し込んでいると、ジェルミが横から顔を覗き込んできた。


「ミナムはいいの?兄としてミニョとテギョンヒョンのこと。」


「何?テギョンヒョンは、そんなにおすすめできない?」


「いや、そうじゃないけど、ほら、俺の妹は誰にも渡さんみたいな。」


「俺、シスコンじゃないよ~」


「じゃあ、認めてるんだ。」


「認めるも何も・・・。俺はミニョがテギョンヒョンと一緒にいるところ、昨日と今日の二日間しか見てないけど、ミニョが幸せそうなのはよく判ったから。テギョンヒョンもミニョのこと大切にしてるのがよく判った。さっきだって、ミニョを送ってくの判ってたから、アルコール一滴も飲んでないし。」


「え~、そうなの?」


テギョンはミニョにシャンパンの許可を出したが、自分は全く飲んでいなかった。


「そんなとこまで見てるなんて、やっぱり気になるんだな。」


シヌがミナムの頭をくしゃくしゃっと撫でた。


「それにしてもテギョンヒョン遅いね。ミナムの部屋に連れて行ったんだろう?」


「さぁ・・・どうだろうね・・・・・・」


クスクスと笑いながらビールに口をつける。

シヌはその様子をじっと見ていた。


     *     *     *     *     *     *     *


― 次回予告 ― (次のお話のどこかで出てきます)


朝のワイドショーでのミナムの言葉がよみがえる。


『天下の皇帝ファン・テギョンに告白されて、すぐにボランティアで外国に行く女性がいると思います?』


― ・・・ここに、いるんだよな・・・・・・



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