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私の返答などお構いなしに 奴は大声で叫んだ。
「すごく、うれしかった…!」 バイクは加速した。
――空が近い…。
バカ…。そんなハズカシイこと、素直にうなづけるわけないじゃない。
私は 知らないって、シラを切った。――胸の鼓動、奴に気づかれなければいいけど…。
バイクはビルの街を通り過ぎ、住宅街を抜ける。
一体どこへ行くのかしら…。
――背中がとても大きい。コイツも男なんだ…。
腕の血管なんかを(笑)何気なく見つめていると、奴はとってもハズカシイことを、大声で言った。
「――昨日は差し入れ、ありがと…!」
打ち合わせの帰り、信号待ちをしていると、バイクが目の前に止まった。
――いつものアイツだった。
風邪の具合は?今日のライブは…?
口を開こうとする私をさえぎるように、奴はヘルメットを投げつけた。
「早く、乗って…!」
次の日は満月だった。ほのかに放つ光が、私に何かを語りかけてくるようだ。
私はもう、今までの私ではなかった。