タワーリング・トッカータ:ラロ・シフリン | かえるの音楽堂

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TOWERING TOCCATA:LALO SCHIFRIN

(1976年)

 ラロ・シフリンは62年にモダン・ジャズ作品”BRILLIANCE“を制作ました。また66年にはバロック朝以前のクラシックをジャジーに仕上げた、不思議なサウンドを展開する”マルキ ド サド“という作品を発表しました。76年になるとCTIレコードからバリバリのフュージョン作品”BLACK WIDOW“を発表し話題になりました。そしてCTI第2段の作品が今回紹介するアルバムです。映画音楽の巨匠でもあるラロ・シフリンですが、今回のアルバムはラロ自身やカバー含む映画音楽を多く取り上げています。映画音楽以外の作品もそのまま映像を付けて、映画やTVドラマの曲として使っても違和感ない感じです。参加メンバーはラロ・シフリン(keyb)、アンソニー・ジャクソン、ウィル・リー(b)、スティーヴ・ガッド(ds)、ラルフ・マクドナルド、スー・エバンス(perc)、エリック・ゲイル、ジョン・トロペイ(g)、アービー・グリーン(tromb)、ジョー・ファレル、ジェレミー・スタイグ(fl)、ロニー・キューバ―(bs)他です。今回の作品ではギターのエリック・ゲイルとフルートのジェレミー・スタイグが全般に渡りソロを取っています。CTI作品ではこれまで多くの作品でヒューバート・ロウズのフルートがフィーチャーされていましたが、ヒューバートのコロンビア・レコ―ド移籍のためジェレミー・スタイグが起用されています。ジェレミーはリング・モジュレータやワウワウペダルなどエフェクター等を駆使した、特徴のあるプレイで有名でした。今回も声を出しながら吹く彼のプレイが印象的です。ジェレミーは晩年は横浜で日本人の奥様と暮らし、絵画などを制作していましたが2016年に癌で亡くなりました。

 

1.TOWERING TOCCATA(タワーリング・トッカータ)

2.FRANCES’ THEME(フランシスのテーマ)

3.MACUMBA(マクンバ)

4.EAGLES IN LOVE(イーグルス・イン・ラヴ)

5.THEME FROM KING KONG(燃えよキングコング)

6.MOST WANTED THEME(お尋ね者のテーマ)

7.MIDNIGHT WOMAN(真夜中の貴婦人)

8.ROLLER COASTER(ジェット・ローラー・コースターのテーマ)

 

 

 1曲目タイトル曲の「TOWERING TOCCATA(タワーリング・トッカータ)」は、バッハのオルガン曲「トッカータとフーガ ニ短調」をフージョンに編曲したものです。曲名のタワーリング、そしてジャケット写真の高層ビルのバックにラロ・シフリン。これはこの当時ヒットした映画「タワーリング・インフェルノ」に引っかけたのです。さらによく見るとラロはキングコングらしき着ぐるみを着ており、これは5曲目に引っ掛かけたものです。ラロの弾くエレクトリックピアノの前奏に続いてフィーチャーされるのはフルートのジェレミー・スタイグです。バッハの有名なオルガン曲がディスコ調のフュージョン曲にアレンジされています。2曲目「FRANCES’ THEME(フランシスのテーマ)」はラロのオリジナルで映画“アニマル大戦争”のために書いた美しい曲です。3曲目「MACUMBA(マクンバ)」もラロのオリジナルのアフロ・サンバ調の曲です。4曲目「EAGLES IN LOVE(イーグルス・イン・ラヴ)」はラロ作曲の映画“鷲は舞いおりた”の曲です。ラロの生ピアノのメロディとエリックのギターが素晴らしい演奏です。5曲目「THEME FROM KING KONG(燃えよキングコング)」はジョン・バリ―作曲の映画“キング・コング”のテーマ曲です。キング・コングの雄たけびや足音を楽器でうまく表現しています。原曲と違ってファンキーなサウンドにアレンジされています。6曲目「MOST WANTED THEME(お尋ね者のテーマ)」はファンキーなジャズ・ファンク作品で、映画の主題歌にもなりそうな曲です。7曲目「MIDNIGHT WOMAN(真夜中の貴婦人)」はミッドテンポのラロのオリジナルです。ラスト8曲目「ROLLER COASTER(ジェット・ローラー・コースターのテーマ)」もラロ作曲のパニック映画“ジェット・ローラー・コースター”のタイトル曲です。シンセ音の左右チャンネルへの移動でローラー・コースターの動きをうまく表現しています。前作に比べ映画音楽比率が増えており、それ以外の曲も映画音楽っぽい感じでさすが映画音楽の巨匠“ラロ・シフリン”の作品です。