BLACK WIDOW:LALO SCHIFRIN | かえるの音楽堂

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ブラック・ウィドウ:ラロ・シフリン

(1976年)

 アルゼンチン出身の作曲家、編曲家でありジャズ・ピアニスト、ラロ・シフリンといえばやはり映画音楽の作曲家としてよく知られています。映画では“燃えよドラゴン”、“ダーティー・ハリー”、“ブリット”、“ジェット・ローラーコースター”など、またTVドラマでは“スパイ大作戦”、“刑事スタスキー&ハッチ”などが代表作として有名です。ラロは子供のころからピアノを習いアルゼンチンの大学ではクラシックを学びました。パリの大学にも留学し卒業後はフランスで、ジャズ・ピアニスト、アレンジャーとしてキャリアを歩み始めアルゼンチンに帰国後はジャズ・ミュージシャンとして活躍しました。ジャズでは1960年代にトランぺッターのディジー・ガレスピー楽団のピアニスト兼アレンジャーとして参加しました。また77年にはディジーのアルバム”FREE RIDE“のアレンジを担当しました。このアルバムはディジーのフュージョン作品として貴重な作品です。他にはオルガン奏者ジミー・スミスと組んで「キャット」というアルバムを出しています。(赤いバックに黒猫のジャケット)ラロ自身のオリジナルとしては1966年に”マルキ・ド・サド“という異色の作品を発表しました。そして今回紹介する作品は76年にクリード・テイラーのCTIレコードから発表したアルバムです。このアルバムは当初はアナログ盤で発売されましたが、当時最初に感じたのは、とても音もよく透明感があり録音も優秀で聴き疲れしないということです。曲は全8曲で映画音楽や自作曲をディスコタッチやフュージョンで演奏しています。参加メンバーはエリック・ゲイル、ジョン・トロペイ(g)、アンソニー・ジャクソン(b)、アンディ―・ニューマーク(ds)、ヒューバート・ロウズ(fl)、ジョン・ファディス(tp)、パティ・オースティン(back-vo)他です。

 

1.BLACK WIDOW(ブラック・ウィドウ)

2.FLAMINGO(フラミンゴ)

3.QUIET VILLAGE(静かな村)

4.MOON GLOW/THEME FROM”PICNIC”(ムーン・グロウ/ピクニックのテーマ)

5.JAWS(ジョーズ)

6.BAIA(バイア)

7.TURNING POINT(ターニング・ポイント)

8.DRAGONFLY(ドラゴンフライ)

 

 1曲目「ブラック・ウィドウ」はラロのオリジナルでディスコ調のファンキーな曲です。他に7曲目「ターニング・ポイント」と8曲目「ドラゴンフライ」もラロのオリジナルですが、ターニングポイントなんか映画音楽のテーマ曲っぽいですね。このアルバムで一番の話題は5曲目「ジョーズ」です。スティーヴン・スピルバーグ監督の映画音楽が見事ディスコタッチのフュージョン・サウンドになってしまいました。ジョーズのあのズンズンズンというテーマが全編に貫かれ進行していきます。この曲はディスコヴァージョン用の12インチ・ヴァージョンがシングル・カットされヒットしました。6曲目「バイア」はブラジルの古典曲です。この曲は同じ時期にKUDUレーベルから発売のアイドリス・ムハマッドのアルバム“HOUSE OF THE RISING SUN(朝日のあたる家)”ではデヴィッド・マシューズのアレンジで演奏されています。クリード・テイラーが意図的にそのようにしたのか、同様にボブ・ジェームスとデヴィッド・マシューズに同じ曲をアレンジさせたりしました。ラロはこの後もう一作を残してCTIからTUBUレーベルに移籍し2枚のアルバムを制作しました。