ブリージン:ジョージ・ベンソン | かえるの音楽堂

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BREEZIN:GEORGE BENSON

(1976年)

 これまでジャズギタリストとして活躍してきたジョージ・ベンソンが、シンガーとして開花した作品です。ジョージ・ベンソンは幼い頃からプロを目指しており1963年にオルガン奏者ジャック・マクダフのバンドに参加しました。1964年にはマクダフの協力を得てデビュー・アルバム“ザ・ニュー・ボス・ギター・オブ・ジョージ・ベンソン”を発表しました。66年には米コロンビアからアルバムを発表し1968年にはクリード・テイラーのプロデュースのもとでA&Mからアルバムを発表しました。A&Mでは1970年にビートルズのカバー・アルバム“アビイ・ロード”を発表し、ここではギターの他にヴォーカルも担当しました。1971年にはクリード・テイラーが独立しCTIレコードを設立するとともにジョージもCTIに移籍し多くのアルバムをリリースしました。そして1976年にワーナー・ブラザースに移籍し最初に発表したのが今回紹介する作品です。プロデュースはトミー・リピューマで、オーケストラ・アレンジはクラウス・オーガマンです。参加メンバーはホルヘ・ダルト(p、clavinet)、ロニー・フォスター(el-p、synth)、フィル・アップチャーチ(rhythm-g)、ハーヴィー・メイソン(ds)、ラルフ・マクドナルド(perc)、スタンリー・バンクス (b)です。この作品は商業的にも大成功となり、ジャズ・ファン以外のポップスのファンにもジョージの名前が知られるようになりました。アルバムセールスとしてはトリプル・プラチナを獲得し、ビルボード誌でジャズ、R&B、ポップの3部門同時に第一位獲得の快挙を成し遂げ、グラミー賞では最優秀シングル賞、最優秀ポップ・インストゥルメタル・パフォーマンス賞、最優秀エンジニア作品賞の3部門獲得し、ベンソンの最大のヒット作品となりました。

 

1. BREEZIN'(ブリージン)

2. THIS MASQUERADE(マスカレード)

3. SIX TO FOUR(シックス・トゥ・フォー)

4. AFFIRMATION(私の主張)

5. SO THIS IS LOVE?(これが愛なの?)

6. LADY(愛するレディ)

 

1曲目「BREEZIN'」はセカンド・シングルでR&Bのシンガー・ソングライター、ギタリストのボビー・ウーマックの作品です。この曲の初出しは1970年のギタリスト、ガボール・サボのアルバム“HIGH CONTRAST”です。ガボールのレコーディングでもプロデューサーはトニー・リピューマが担当し、この時はウーマックがリズム・ギターを、そしてフィル・アップチャーチをベースに迎えました。そして今回のベンソンのレコーディングではフィルがリズム・ギターを担当しています。2曲目「THIS MASQUERADE」はレオン・ラッセルの曲でカーペンターズのカバーでも有名です。このアルバム唯一のボーカル曲で、アルバムからのファースト・シングルとしてリリースされ大ヒットしました。スキャットを交えたベンソンのボーカルとギターはベンソンの代表曲となりました。また後半のホルヘ・ダルトによるピアノ・ソロの美しさも特筆ものです。3曲目「SIX TO FOUR」はフィル・アップチャーチの曲で“BREEZIN'”唯一のアップテンポ・ナンバーです。アップチャーチ自身もこの曲を自分のオリジナルアルバムやライヴ・アルバムで演奏しています。4曲目「AFFIRMATION」はホセ・フェリシアーノの曲です。5曲目「SO THIS IS LOVE?」はジョージ・ベンソンのオリジナルです。ミニ・ムーグとフェンダー・ローズ・ソロはロニー・フォスターです。ラスト6曲目「LADY」はロニー・フォスター作曲のロマンティックな作品です。このアルバムの完成度の高さはベンソンらの演奏だけでなく、クラウス・オガーマンのアレンジによるオーケストレーションにもよると思います。その後ベンソンはアルバムでもボーカル比率を高めボーカリスト、ギタリストとして大活躍し次々とヒットを生み出しました。