HEAD HUNTERS : HERBIE HANCOCK
(1973年)
本作品はハービー・ハンコックが1973年に当時のコロンビア・レコードよりリリースした12作目のアルバムです。この作品は彼のエレクトリック期の代表作であり、ジャズ・ファンク、クロスオーヴァー(後のフュージョン)シーンに多大な影響を与えました。彼自身としても初のビルボード・ジャズ・チャートで第1位を獲得したアルバムで、ビルボード総合チャートでも第13位を獲得しました。私も初めて聴いた時には衝撃を受けました。ジャズ・ファンからは当然のように“こんなのジャズではない!”と言われましたが、確かにそれまでのジャズの枠から大きく飛び出し、ロック、ソウルのファンにも影響を与えました。参加メンバーは、ハービー・ハンコック(el-p、Clavinet、Synt)、ベニー・モウピン(Sax Bass Clarinet, Alto Flute)、ポール・ジャクソン(El-b、 Marimbula)、ハーヴィー・メイスン(ds)、ビル・サマーズ(perc)の5人です。またベニー・モウピン、ポール・ジャクソン、ビル・サマーズはグループ“ザ・ヘッド・ハンターズ”を結成し、ゲストとしてハーヴィー・メイスンも参加していました。サイケデリックで特徴的なジャケットデザインを手がけたのは数々の名作ポスターを製作したヴィクター・モスコソです。
1. Chameleon(カメレオン)
2. Watermelon Man(ウォーターメロンマン)
3. Sly(スライ)
4. Vein Melter(ヴェイン・メルター)
シンセのリフが特徴的な1曲目「Chameleon(カメレオン)」はハービー・ハンコックとベニー・モウピン、ポール・ジャクソンの共作です。2曲目「Watermelon Man(ウォーターメロンマン)」は60年代のハービーの代表作をアフリカン・テイストたっぷりにアレンジしたセルフ・カバーです。3曲目「Sly(スライ)」は“スライ&ザ・ファミリー・ストーン”に因んだタイトルの曲です。4曲目“Vein Melter(ヴェイン・メルター)”はゆったりしたテンポの曲です。アルバム全体がファンキーそのもので現代に至るまでの音楽シーンに多くの影響を与えました。常に新しい音楽にチャレンジするハービーは、その後アコースティック・ジャズに回帰し伝説の“V.S.O.P.クインテット”での活動や、80年代には“ライト・ミー・アップ”でディスコ・ミュージックへの挑戦、“フューチャー・ショック”ではヒップホップへの挑戦と進化し続けました。2010年には彼のプロジェクト・アルバム“イマジン・プロジェクト”で第53回グラミー賞を受賞しています。