CHAMELEON : MAYNARD FERGUSON
(1974年)
ハイノート・トランぺッター、メイナード・ファーガソンが“ロッキーのテーマ”で大ヒットを記録する3年ほど前1974年にリリースしたアルバムを紹介します。選曲も表題曲はハービー・ハンコックのファンク・ナンバーのカバーで、他に映画音楽、ポール・マッカトニー、スティーヴィー・ワンダー、そしてリターン・トゥ・フォーエヴァーといったジャズ、ロック、ソウルのミュージシャンのヒット曲をカバーしておりバラエティに富む選曲でビックバンド・ジャズを聴かせてくれます。メイナード・ファーガソンのフュージョン路線幕開けの作品です。バックは彼のバンドのメンバー達でリック・ペトロン(b)、アラン・ザヴォット(p)、ダン・ディンペリオ(ds)、スタン・マーク、デニス・ノディ、リン・ニコルソン、ボブ・サマーズ(tp、fh)、ブライアン・スミス(ts、fl、tambourine)、ジェリー・ジョンソン、ランディー・パーセル(tb)、アンディ・マッキントッシュ(as、ss、fl、cowbell)、ブルース・ジョンストン(bs、fl、vibraslap)です。
1. Chameleon (カメレオン)
2. Gospel John (ゴスペル・ジョン)
3. The Way We Were (追憶)
4. Jet (ジェット)
5. La Fiesta (ラ・フィエスタ)
6. I Can't Get Started (アイ・キャント・ゲット・スターテッド)
7. Livin' For The City (リヴィン・フォー・ザ・シティ)
8. Superbone Meets The Bad Man (スーパーボーン・ミーツ・ザ・バッド・マン)
1曲目「Chameleon」は、前回紹介したハービー・ハンコックの“ヘッド・ハンターズ”の冒頭の曲でアレンジはジェイ・チャタウェイです。ファーガソンのトランペット、ブライアン・スミスのテナー・サックスをフィーチュアしています。ハービーのファンクとはまた違ったビックバンド・ジャスに仕上がっています。2曲目「Gospel John」はタイトル通りゴスペル風の曲です。3曲目「The Way We Were」は73年公開の映画”追憶”のテーマ・ソングです。アレンジとトロンボーン・ソロはMFバンドのトロンボーン奏者ランディ・パーセルです。4曲目「Jet」はポール・マッカートニー作の73年のヒット曲でアレンジはジェイ・チャタウェイです。5曲目「La Fiesta」はチック・コリアの“リターン・トゥ・フォーエヴァー”に収録されていた曲です。アレンジはパーセルとジェリー・ジョンソンです。ファーガソンのトランペットとアラン・ザヴォッドのエレクトリック・ピアノがテーマを演奏し、ジョンソンがトロンボーン・ソロを吹いていいます。6曲目「I Can't Get Started」はスタンダード・ナンバーです。ここではファーガソンがスタンダード・ジャズらしい、味わいのあるヴォーカルを聴かせてくれます。これがまたとてもイケてます。7曲目「Livin' For The City」はスティーヴィー・ワンダーの曲でアレンジはジェイ・チャタウェイです。8曲目「Superbone Meets The Bad Man」のハード・バップ風の曲はジェイ・チャタウェイのオリジナルです。ここではブルース・ジョンストーンのバリトン・サックスと、ファーガソンのスーパーボーンのソロがフィーチュアされています。ファーガソンは次のアルバム“プライマル・スクリーム(邦題はクロスオーバー・ファーガソンでした)”でさらにフュージョン路線に進み、77年の“ロッキーのテーマ”の大ヒットに続きます。