天空の女神:アース・ウィンド&ファイアー | かえるの音楽堂

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70年~80年のCROSSOVER(FUSION)とJAZZを中心にAORか
らSOULまで、かえるのお勧めのGood Music Albumや音楽情報な
どを紹介いたします。

RAISE! : EARTH WIND & FIRE

(1981年)

今回はローランド・バウティスタが在籍していた頃の、EARTH WINDFIREのアルバムを紹介します。やはり彼らの絶頂期と言えば、アルバム「SPIRIT(魂)」「ALL’N ALL(太陽神)」続く「THE BEST OF EARTH WIND&FIRE」そして「I AM(黙示録)」を出した頃ではないかと思います。「I AM(黙示録)」ではデヴィッド・フォスターやTOTOのメンバーを導入し、ソウルを超えAORまで取り込んだ、まさにポップなクロスオーヴァーとも言えるサウンドになりました。しかし、このアルバムの次のアルバム「FACES(フェイセス)」を最後に、リズム・ギター担当で作品作りにも多く係わっていたアル・マッケイが脱退してしまいました。またアナログ・ディスク2枚組大作であった「FACES(フェイセス)」は、ディスコ・サウンドとか流行を追ったものでなく、彼らがやりたいことをやっている感じの曲つくりでした。それぞれの曲の出来は良いのですが、これまでのような大ヒット・シングルが生まれずこれまでのアルバムに比べ若干地味な感じになってしまいました。そして81年に発売されたのが今回、紹介するアルバム「RAISE!(天空の女神)」です。この作品は全米チャート最高5位、ダブル・プラチナ・アルバムを獲得し再び大ヒットしました。またメンバーでは、このアルバムからアル・マッケイに変わり、初期のメンバーでもあったローランド・バウティスタが復帰しました。またアルバム・ジャケットのイラストも再び長岡秀星の作によるものです。エジプトのファラオをモデルにしたものでEARTHの作品にぴったりはまったイラストです。プロデュースはモーリス・ホワイトです。フェニックス・ホーンズも健在で、ホーン・アレンジメントではジェリー・ヘイが参加しています。

 

1. LET’S GROOVE(レッツ・グルーブ)

2. LADY SUN(レディ・サン)

3. MY LOVE(マイ・ラブ)

4. EVOLUTION ORANGE(エボリューション・オレンジ)

5. KALIMBA TREE(カリンバ・トゥリー)

6. YOU ARE THE WINNER(偉大なる覇者)

7. I’VE HAD ENOUGH(果てしなき挑戦)

8. Wanna Be With You(アイ・ウォナ・ビー・ウィズ・ユー)

9. THE CHANGING TIMES(ザ・チェンジング・タイムズ)

 

アルバムからは1曲目の「LET’S GROOVE(レッツ・グルーブ)」が大ヒットしました。まさにディスコ全盛期に放った、ディスコ・スタンダード作です。冒頭のラリー・ダンのヴォコーダー・ヴォイスから全編乗り乗りのサウンドが展開されます。この曲はビルボード全米ポップス最高第3位、R&Bチャート第1位を獲得しました。この曲はモーリス・ホワイトとウェイン・ヴォーンの共作ですが、ウェイン・ヴォーンはエモーションズのワンダ・ハッチソンの旦那さんです。続く2曲目「LADY SUN(レディ・サン)」はビロード・テイラーの作です。フェニックス・ホーンズとジェリー・ヘイらが中心のブラス・ロックです。3曲目「MY LOVE(マイ・ラブ)」は再びモーリス・ホワイトとウェイン・ヴォーンの共作です。モーリスのヴォーカルをフューチャーしたラブ・ソングです。フェニックス・ホーンズのドン・ミリックのサックス・ソロもエモーショナルで効果的です。4曲目「EVOLUTION ORANGE(エボリューション・オレンジ)」はデヴィッド・フォスターとモーリス、そしてナン・オー・バーンの作です。ちょっとワイルドなフィリップ・ベイリーのヴォーカルをフューチャーしたブラス・ロック的な曲です。モーリスのカリンバをフューチャーした小品5曲目「KALIMBA TREE(カリンバ・トゥリー)」に続いて6曲目「YOU ARE THE WINNER(偉大なる覇者)」はビロイド・テイラー作です。ギターのカッティングが効いたブラック・ロックです。7曲目「I’VE HAD ENOUGH(果てしなき挑戦)」フィリップ・ベイリーとグレッグフィリンゲインズ、そしてブレンダ・ラッセルの共作です。ローランド・バウティスタのギター・ソロが聴けます。8曲目「Wanna Be With You(アイ・ウォナ・ビー・ウィズ・ユー)」もモーリス・ホワイトとウェイン・ヴォーンの共作です。ラリー・ダンのエレピからコーラスが始まるラブ・ソングです。この曲もビルボード最高R&B15位、ポップス51位を獲得しました。9曲目「THE CHANGING TIMES(ザ・チェンジング・タイムズ)」はビロイド・テイラー作でギターが活躍するロック調の曲です。このアルバムの後はこれまでのような大ヒットに恵まれず、またメンバーの脱退や新メンバーの加入、サウンド面での変化等があり、EARTH WINDFIREが一番輝いていた時代の最後のアルバムとも言える忘れることのできない作品です。