アップル・ジュース:トム・スコット | かえるの音楽堂

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APPLE JUICE : TOM SCOTT

(1981年)

 ロサンゼルス出身、ウェスト・コーストのジャズ、フュージョンを代表するサックス奏者トム・スコット、彼は70年代から80年代のフージョン・シーンを引っ張ってきたサックス・プレーヤーのひとりです。今回紹介するのは彼の1981年ニューヨークの名門ライブハウス”ボトム・ライン”でのコンサートの記録で、彼にとって初のライブ盤です。この当時”ボトム・ライン”ではスティービー・ワンダー、マイルス・デイヴィス、ガッド・ギャングなど多くのスター達がライブを行っていました。参加メンバーは、リチャード・ティー(keyb)、エリック・ゲイル(g)、スティーヴ・ガッド(ds)、ヒュー・マックラッケン(g)、マーカス・ミラー(b)、ラルフ・マクドナルド(perc)Dr.ジョン(vo)です。”スタッフ”のメンバーが3人参加していますが、そのサウンドはまさに”スタッフ”そのものです。マーカス・ミラーはまだ当時21歳の新進のベーシストでしたが若々しくも非凡な才能を発揮しています。本当に豪華メンバーで最高の演奏を聴かせてくれます。ニューヨークの熱いライブ・ハウスの雰囲気が十分に楽しめます。曲は全7曲で3日間の公演を録音・抜粋したものです。作曲は全曲トム・スコット自身かトムとの共作のオリジナル作品です。

 

1. Apple Juice(アップル・ジュース)

2. Gonna Do It Right(ゴナ・ドゥ・イット・ライト)

3. We Belong Together(ウィ・ビロング・トゥゲザー)

4. So White and So Funky(ソー・ホワイト・アンド・ソー・ファンキー)

5. Gettin' Up(ゲッティン・アップ)

6. In My Dream(イン・マイ・ドリーム)

7. Instant Relief(インスタント・レリーフ)

 

 1曲目「Apple Juice」エリック・ゲイルのカッティングとリチャードのエレピ、素晴らしいグルーブを醸し出しています。そこにマーカスのベースが絡んで最高のバッキングでトムがブロウします。2曲目「Gonna Do It Right」リチャードの演奏はハモンド・オルガンに替わります。スティーヴの刻むリズムとマーカスのベース、そしてリチャードのオルガンはお得意のフレーズ満載。素晴らしいメンバーを従えトムがブロウします。3曲目「We Belong Together」リチャードのエレピのトーン!もう最高!STUFFそのものですね。すごくゆったりしたリズムをバックにトムがソプラノを吹きます。スティーヴとラルフ・マクドナルドのコンビも素晴らしいです。リチャードのエレピ・ソロもフィーチャーされます。4曲目「So White and So Funkyニューオーリンズ出身の歌手でキーボード・プレーヤー、ドクター・ジョンがゲストで登場、渋い声を聴かせます。”STUFF”のメンバーの歌伴は定評があります。そんなメンバーをバックにファンキーに歌い上げます。そして何と言っても凄いのはドクター・ジョンと観客の” So Funky!!”の掛け合いです。観客が曲を盛り上げています。5曲目「Gettin' Up」ではリチャードのアコピが聴けます。リチャードらしいフレーズ、スティーヴとのコンビネーションと素晴らしいです。ここではトムはリリコンを吹きます。トムのリリコンも聴けばすぐに分かるほど節回しといい、その音色といいトムらしいです。6曲目「In My Dream」はバラード・ナンバーです。リチャードがここでも彼らしいリリカルなエレピを聴かせてくれます。エリックのギターも効果的です。トムはここでもリリコンを吹いています。そしてラスト7曲目「Instant Relief」はもう大盛り上がりでメンバーのソロも長めに演奏されます。まずはマーカスのベース・ソロです。指弾きからチョッパーまでこれを聴いても当時から只者でなかったことが分かります。続いてラルフとスティーヴの怒涛のコンビネーション!凄いです。最後はトムのソロと続きます。演奏時間938秒があっと言う間に過ぎてしまいます。ずっと聴いていたいくらいです。このアルバムはアメリカでは、総合チャートのBillboard 200123位、ジャズ・アルバム・チャートでは7位を獲得しました。トムは現在70歳を超えて現役ですがここ数年はリーダー作が出ていません。彼はサックス・プレーヤーだけでなく、作曲・編曲でも有名でジャズだけでなく、アメリカのTV映画”刑事スタスキー&ハッチ”の第24シーズンの音楽も担当しました。演奏でもジャズだけでなくポール・マッカトニーのアルバムでもサックスを吹いていました。そんな彼がフュージョンが最も元気よく輝いていたと時代に行った貴重なライヴ記録です。理屈抜きに最初から最後まで楽しめるアルバムです。

 

【おまけ】STUFFの歌伴と言えばこれもお勧めです。⇒” スティングレイ:ジョー・コッカー