ドント・ビー・スチューピド:菊池ひみこwithアーニー・ワッツ | かえるの音楽堂

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DON’T BE STUPIDHIMIKO KIKUCHI WITH ERNIE WATTS

(1980年)

 ちょっと懐かしいJフュージョン作品を紹介します。今回紹介するのは、ピアニストで作曲家、アレンジャーの菊池ひみこさんの作品です。彼女は7歳よりクラシックピアノを始め、その後、エレクトーンやパイプ・オルガンの演奏活動を開始しました。16歳の時にヤマハ・エレクトーン・コンクールで優勝したのをきっかけにプロとして活動を始めました。1975年頃よりジャズに傾倒し、1978年には三木敏吾率いる“インナー・ギャラクシー・オーケストラ”に参加しました。1979年には同バンドでスイスの“モントルー・ジャズ・フェスティバル”に出演しました。またスタジオミュージシャンとしての仕事も始めるとともに、自らのバンドも結成し、演奏活動を精力的に展開しました。この当時同じくこのバンドのメンバーであったギタリストの松本正嗣は彼女の旦那さんです。そして1980年にサックスのアーニー・ワッツを迎えてレコーディングしたのが、ファースト・アルバムである本作品「DON’T BE STUPID」です。“WITH ERNIE WATTS”とありますが、アーニー・ワッツとのコラボ作品ではなく、彼女のオリジナル作です。曲は全8曲のうち6曲が彼女の作品です。バンドのメンバーは松本正嗣(g)、杉本和弥(b)、松本博(keyb)、風間幹也(ds)、川瀬正人(perc)5人で、全8曲中アーニー・ワッツは5曲に参加しています。彼女はピアノの他、ミニムーグ、オーバーハイム、ヤマハCS-20M等のシンセサイザーや、フェンダーローズ・エレクトリック・ピアノをプレイしています。サックスのアーニー・ワッツはこの当時リー・リトナー&ジェントル・ソウツのメンバーとして、またスタジオ・ミュージシャンとして活躍しており、サンボーンのような聴いてすぐに分かるような音色ではありませんが、太くロングトーンで吹くサックスはアーニーらしいサウンドでした。

 

1. STORMY SPRING

2. WHAT’S BABY SINGIN’

3. FOR MY BUDDY

4. VAMPIRE

5. FLIGHT IN THE MOOONLIGHT

6. STIFF VAMP

7. TEAR DROPS

8. MANBO IS MAGIC

 

 1曲目「STORMY SPRING」イントロの効果音から一転、弾むような演奏になります。彼女のピアノ・ソロに続いてアーニー・ワッツのアルト・サックス・ソロが素晴らしいですね。2曲目「WHAT’S BABY SINGIN’」冒頭の赤ん坊の声は愛娘です。スキャットは彼女自身です。ここではローズとオーバーハイムを弾いています。アーニー・ワッツはソプラノを吹いています。3曲目「FOR MY BUDDY」イントロのピアノが何となくリチャード・ティーに聞こえました。ここではアコピを弾いています。アニー・ワッツはテナーを吹いています。ギター・ソロは旦那さんの松本正嗣です。続いてアーニーのソロ、そして再びギター・ソロと続きます。4曲目「VAMPIRE」は菊地さんさんの華麗なピアノとアナログ・シンセが格好いいです。5曲目「FLIGHT IN THE MOOONLIGHT」菊池の壮大なピアノによるイントロからスタートします。ホーン・セクションとストリングスを加えた曲です。アーニー・ワッツはテナーとアルトを吹いています。彼女の早弾きピアノのタッチも力強いですね。6曲目「STIFF VAMP」は松本正嗣作です。アーニー・ワッツはテナーを吹いています。7曲目「TEAR DROPS」は、メンバーの松本博作でここでは菊池ひみこと松本博を除くメンバー4人との演奏です。菊池はピアノの他、ピアニカとソリーナを弾いています。8曲目「MANBO IS MAGIC」松岡直也風ラテン・フュージョン作品です。菊池はアコピの他、ミニムーグやヤマハCS-20Mを弾いています。トランペット・ソロは数原晋です。彼女の弾くキーボードは力強く、時に繊細であり、また作品も親しみ易いメロディーで聴きやすい作品です。これまで多くの作品を製作していますが、2007年以降は新作が発表されていません。現在でも精力的活動していますので、またこういった作品を出してもらいたいですね