スパイラル・ステップス:深町純&ブレッカー・ブラザース | かえるの音楽堂

かえるの音楽堂

70年~80年のCROSSOVER(FUSION)とJAZZを中心にAORか
らSOULまで、かえるのお勧めのGood Music Albumや音楽情報な
どを紹介いたします。

SPAIRAL STEPS : JUN FUKAMACHI&THE BRECKER BRATHERS

(1976年)

深町純の6作目にあたる本作品は、彼が初の海外録音を行った作品であり、また海外のミュージシャンと共演したアルバムです。その後の爆発的ブームの先駆けとなったものです。今でこそ海外のミュージシャンと共演するのは当たり前のようですが、深町純こそそういった流れを作った先駆者と言えます。当時はまだ若手とは言えブレッカーズやその後共演するリチャード・ティーやエリック・ゲイルらSTUFFのメンバーなど、スタジオ・ミュージシャンの実力者達と全く引けをとらない深町のミュージシャンとしての実力、そして彼らを実に適材適所で使うアレンジ力や作曲力は本当に素晴らしいものでした。そんな深町の絶好調時代のスタートとなった本作品では当時まだ若手実力者であった日米のミュージシャン達が参加しています。ホーン・セクションには、ランディ・ブレッカー(tp)、マイケル・ブレッカー(ts)、バリー・ロジャース(tb)、ルー・マリーニ(ts)、ジェイク・H・コンセプション(as)、リズム・セクションには、アンソニー・ジャクソン、小原礼、岡沢章(el-b)、渡辺香津美、高中正義(el-g)、村上“ポンタ”秀一(ds)そして深町純はフェンダー・ローズ、ホーナー・クラヴィネット、ハモンド・オルガンや、アープ・オデッセイ、ミニ・ムーグ、ソリーナ・ストリングス・アンサンブルといったアナログ・シンセサイザーを弾いており、デジタルとはまた違う音の厚み、これがまたすごくいいですね。今では考えられませんがミニ・ムーグなんか単音しか出ないので多重録音で音を重ねています。深町のシンセの使い方や演奏は本当にいつ聴いても素晴らしいと思います。曲は全6曲で全て深町純の作曲、アレンジです。

 

1.IN THE HORIDAY GROOVE

2.TAFT 1082

3.SPAIRAL STEPS

4.SCOTO PHONOBINE TYPE-

5.SCOTO PHONOBINE TYPE-

6.SCOTO PHONOBINE TYPE-

 

 1曲目「IN THE HORIDAY GROOVE」は、ブレッカーズ!的アンサンブルからスタートします。続いてポンタとアンソニーの強力なビートをバックに深町がシンセでテーマを弾きます。シンセとホーンとの絡み、アンソニーのベース・ソロ、深町のシンセ・ソロも格好いいです。2曲目「TAFT 1082」深町のエレピ・ソロからスタートします。高中のギターのカッティングもいいノリです。ポンタのビートはSTUFFっぽい感じです。ポンタはスティーヴ・ガッドとよく比較されましたね。3曲目「SPAIRAL STEPS」はアルバム・タイトル曲です。螺旋階段をぐるぐる上るようなイントロからスタート、ランディーのトランペットソロに続きます。ブレッカーズっぽいファンク・ビートから深町のシンセ・ソロ、そしていきなり4ビートに変わる難曲です。4ビート部分ではピアノトリオ編成になり深町はエレピでソロを弾きます。それにしてもアンソニーのベースが強力ですごいです。4曲目「SCOTO PHONOBINE TYPE-Ⅰ」から組曲形式の曲です。TYPE-1ちょっと変わったイントロからマイケル・ブレッカーの登場です。マイケルのパワフルなソロからランディのエレクトリック・トランペット・ソロへと続きます。ランディのソロと同時に渡辺香津美のギター・ソロ同時進行します。こういった深町のアレンジも凄いですね。5曲目「SCOTO PHONOBINE TYPE-Ⅱ」は深町純のワンマン・プレイによるしっとりしたバラードです。深町のシンセ・ワールドが展開します。6曲目「SCOTO PHONOBINE TYPE-Ⅲ」は再びハードで目まぐるしい展開の複雑な曲です。マイケルの4ビート・ソロから渡辺香津美のロック・フィーリング溢れるギター・ソロ、そして深町の4ビート・ソロ、ホーンの掛け合い、香津美の4ビート・ソロ、そしてラストはシンセとギターのソロと息を付く暇もないくらいの怒濤の演奏が続きます。今聴いても全く古くさくない深町純の作曲、アレンジは素晴らしい限りです。日米のトップ・ミュージシャンががっぷり4つに組んでクオリティの高いアルバムを作りました。この後、深町純は次々と素晴らしい作品を制作し78年9月の伝説のライヴ“ニューヨーク・オールスターズ”の日本ツアーへの参加、ライヴ・レコーディングの制作と続きました。77年にはブレッカーズと組んでライヴ“トライアングル・セッション”も行いました。こちらも素晴らしい演奏でした。改めて深町純の才能に脱帽です。

 

過去の記事↓

EVENING STAR

SECOND PHASE

THE SEA OF DIRAC