イージー・リヴィング:ソニー・ロリンズ | かえるの音楽堂

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085-EASY LIVING













EASY LIVING : SONNY ROLLINS
(1977年)
 サックスの巨匠ソニー・ロリンズの代表作と言えば、「SAXOPHONE COLOSSUS(サキソフォン・コロッサス)」でしょう。このアルバムは、それこそ一家に一枚のジャズ・アルバムではないでしょうか。ソニー・ロリンズはフュージョン全盛期の75年になるとリー・リトナー、パトリース・ラッシェンらをバックにフュージョン路線とも言える作品「THE WAY I FEEL(ザ・ウェイ・アイ・フィール)」(2015/09/20紹介)を発表しましたが、当然古くからのファンや、ジャズ・ファンには評判が悪かったようです。しかしバックが誰であろうと、ソニー・ロリンズはソニー・ロリンズでしかないのです。エレクトリック・サウンドを取り入れていようが、ソニー・ロリンズのソロはあくまでおおらかに、豪快にブローしてロリンズの世界を表現していました。そして77年のアルバム「EASY LIVING(イージー・リヴィング)」では、バックにジョージ・デューク(keyb)、チャールス・イカルス・ジョンソン(g)、ポール・ジャクソン、バイロン・ミラー(el-b)、トニー・ウィリアムス(ds)、ビル・サマーズ(perc)といったメンバーを従え、スティーヴィー・ワンダーのヒット曲「ISN’T SHE LOVERY(イズント・シー・ラブリー)」を取り上げました。収録曲は他にスタンダード2曲とロリンズ・オリジナル3曲の計6曲です。スティーヴィーの「ISN’T SHE LOVERY(イズント・シー・ラブリー)」は、リー・リトナーをはじめとするジャズやフュージョン・シーンあるいはブラック・コンテンポラリーのミュージシャン達が多く取り上げており、今やスタンダード曲と言ってもよい作品です。

1. ISN’T SHE LOVERY(イズント・シー・ラヴリー)
2. DOWN THE LINE(ダウン・ザ・ライン)
3. MY ONE AND ONLY LOVE(マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ)
4. ARROZ CON POLLO(アロス・コン・ポロ)
5. EASY LIVING(イージー・リヴィング)
6. HEAR WHAT I’M SAYING(ヒア・ホワット・アイム・セイング)

 1曲目「ISN’T SHE LOVERY(イズント・シー・ラヴリー)」は多くのミュージシャンがカバーしていますが、何を吹いてもロリンズはロリンズです。完全にロリンズ節になっています。バックのチャールス・イカルス・ジョンソンのギター・ソロ、ビル・サマーズのパーカッション、トニー・ウィリアムスのドラム、ジョージ・デュークのエレピも素晴らしいバッキングです。ロリンズは時に豪快に、またメロディアスに次々にフレーズを吹いています。吹くことが楽しいって感じられる演奏です。2曲目「DOWN THE LINE(ダウン・ザ・ライン)」はロリンズの曲です。4ビートと8ビートの混じった曲です。ジョージ・デュークのエレガントなピアノと、トニー・ウィリアムスのドラムが良いですでね。躍動的な曲です。3曲目「MY ONE AND ONLY LOVE(マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ)」は、スタンダードのバラード曲です。この曲はジョン・コルトレーンとジョーニー・ハートマンのデュオによる名演がありますが、ソニー・ロリンズもリリカルにソプラノ・サックスを吹いています。ここでもジョージ・デュークのピアノがソロもバッキング素晴らしいですね。4曲目「ARROZ CON POLLO(アロス・コン・ポロ)」もロリンズの曲です。ラテン・ビートを生かしたアップテンポな曲です。トニー・ウィリアムスのドラムに煽られるようにソニーも吹きまくっています。5曲目「EASY LIVING(イージー・リヴィング)」もスタンダード曲ですね。テナーによるバラード演奏です。冒頭のサックス・ソロがロリンズらしくて素晴らしいです。ジョージ・デュークのピアノのバッキングも素敵ですね。ラスト6曲目「HEAR WHAT I’M SAYING(ヒア・ホワット・アイム・セイング)」もロリンズの曲です。トニー・ウィリアムスとポール・ジャクソンの生み出ビート、ジョージのピアノによるソロとバッキング、そしてロリンズのテナー、セッションのような感じの曲です。このアルバムはソニー・ロリンズの代表作ではないかもしれません。しかし50年代から60年代、そして70年代と常にそのスタイルを変化させてきたロリンズがフュージョンさえ取り込んで、自分のサウンドを表現したアルバムであると思います。ロリンズはノビノビと演奏しているように思えます。そして何といってもこのアルバムではジョージ・デュークのセンスと存在感が光っています。ちょっとお堅いジャズ評論家やジャズ・ファンには不評ですが、フュージョン・ファンから見ればこれもまたロリンズのベスト・アルバムのひとつと言いたいですね。