魂:アース・ウィンド&ファイアー | かえるの音楽堂

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SPIRIT : EARTH WIND & FIRE
(1976年)
 アース・ウィンド&ファイアーのリーダーで、ドラマーのモーリス・ホワイト氏が亡くなったニュースは、NHKのニュースでも大きく取り上げられているほどでした。それだけ日本でも愛され影響を与えてきたから、そして多くのファンがいるからでしょう。アース・ウィンド&ファイアー(以下EW&F)のアルバムはコロンビアに移籍以降の作品はすべて持っていますが、さあどれが一番かと言うと迷ってしまいます。ソウル・ファンだけだなくPOPファンにもブレークし日本でも大人気になった作品として“ALL’N ALL(太陽神)”かなと思います。またデヴィッド・フォフターら外部のスタッフを大幅に起用し永遠の名曲“AFTER THE LOVE HAS GONE”収録の“I AM(黙示録)”も忘れられません。そんな中でEW&Fがソウル・アーティストとして最高のパフォーマンスを感じさせる、そして彼らの音楽性が最も高いレベルで凝縮した作品が76年のアルバム“SPIRIT(魂)”です。このアルバムは彼らアルバムの中でも最もスピリチュアルなイメージの作品でもあります。このアルバムのプロデューサーは、モーリス・ホワイトとチャールズ・ステップニーですが、チャールズ・ステップニーが本作の制作中に心臓発作で急死しました。そのため作品の制作も途中で中断されました。そしてアルバムは彼に捧げる作品として完成しました。モーリスはアルバムに彼に対するコメントを添えています。「誰にでも仲間との悲しい別れはつきものであり、逃れられない運命である。我々はすばらしい仲間に恵まれたことを誇りに思う。天国に旅立った友にこのアルバムのすべての曲を捧げます。彼の魂が神の愛に包まれることを願って・・・・」(涙)そのままモーリスの言ってあげたいです。このアルバムはこれまでに発売した作品に続き4作連続でプラチナム・アルバムに輝きました。そしてこの作品以降大ブレイクし快進撃が続きました。オリジナル・アルバムには全9曲収録されています。参加メンバーは、モーリス・ホワイト、フィリップ・ベイリー、ヴァーダイン・ホワイト、ラリー・ダン、ジョニー・グラハム、アル・マッケイ、フレッド・ホワイト、ラルフ・ジョンソン、アンドリュー・ウールフォーク(EW&F)とドン・マイリック、ルーイ・サタフィールドらフェニックス・ホーンズ、ジェリー・ピータース(p)、ハーヴィー・メイソン(ds)他ブラス、ストリングスなどです。

1.「Getaway(ゲッタウェイ)」
2.「On Your Face(心模様)」
3.「Imagination」(イマジネイション)」
4.「Spirit」(精霊の詩)」
5.「Saturday Nite(サタデイ・ナイト)」
6.「Earth, Wind and Fire(アース・ウインド&ファイアー魂のトライアングル)」
7.「Departure(出発)」
8.「Biyo(異次元への飛翔)」
9.「Burnin' Bush(永遠の炎)」

 1曲目「Getaway(ゲッタウェイ)」はこのアルバムの中でもNo.1のヒット作で、ソウル・チャート1位、ポップス12位に輝きました。ひたすら前に進んでいくような切れ味のあるリズムの曲です。他のどのファンク・バンドとも異なる彼らにしかできないサウンドでした。2曲目「On Your Face(心模様)」はモーリス、フィリップ・ベイリー、チャールス・ステップニーの作品でミディアム・テンポの曲です。この曲はソウル26位でした。アル・マッケイのカッティング、バックのホーン・セクション、コーラスとアースらしい美しい曲です。3曲目「Imagination」(イマジネイション)」この曲もモーリス、フィリップ・ベイリー、チャールス・ステップニーの作品です。この曲もアースらしい美しい曲です。4曲目「Spirit」(精霊の詩)」はモーリスとラリー・ダンの作品です。この曲もフィリップのファルセットとバックのコーラスが際だつ美しい曲です。アレンジはトム・トム84 です。5曲目「Saturday Nite(サタデイ・ナイト)」はモーリス、アル・マッケイ、フィリップ・ベイリーの作品です。この曲はソウル4位、ポップ21位になりました。この曲も好きな曲です。6曲目「Earth, Wind and Fire(アース・ウインド&ファイアー魂のトライアングル)」はモーリスの作品です。リード・ヴォーカルはモーリスが取っています。アースと言うとフィリップ・ベイリーのファルセットが看板のように言われますが、モーリスとフィリップの2枚看板であるからこそアースの良さが際だちます。7曲目「Departure(出発)」はモーリスとラリー・ダンの作でインストゥルメンタルの短い曲です。続く8曲目「Biyo(異次元への飛翔)」はモーリスとアル・マッケイ作のインストゥルメンタルの曲です。9曲目「Burnin' Bush(永遠の炎)」はジェリー・ピータースの曲です。
この曲はもっともスピリチュアルなイメージの曲です。リード・ヴォーカルはモーリス・ホワイトです。アースの創設者でリーダーというだけでなく、リード・ヴォーカリストとしてEW&Fにとって欠かせない存在でした。彼らは創造性と大衆性を両立した最高のバンドでした。70年代にこれだけのサウンドを生み出したことはすごいことだと思います。こういったグループはもう出てこないのではないかと思います。