ベック:ジョー・ベック | かえるの音楽堂

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086-ベック










BECK : JOE BECK
(1975年)
 ジョー・ベックというギタリストは、比較的地味な存在でしたが、フュージョンとジャズで名脇役として活躍し名演を残しました。彼は60年代にデビュー、67年にはマイルス・デイヴィスのレコーディング・セッションに参加し、69年にVerveより初リーダー作を発表しました。70年代なるとCTI/KUDUレーベルを中心に、数々のセッションで活躍しました。そして75年にKUDUレーベルよりリリースされたリーダー作「BECK(ベック)」が大きな話題となり、フュージョン史上に名を残すことになりました。このアルバムでベックはジャズ、ブルースさらにはロックの要素を独自の解釈で取り入れて融合させた、まさにフュージョンと言えるサウンドを展開しています。そして主役のベック以上に目立っているのが、アルト・サックスで参加しているデビッド・サンボーンです。サンボーンの熱いブローは素晴らしいの一言で、このアルバムはベックとサンボーンの双頭アルバムと言ってもよいほどです。参加しているミュージシャンは他にドン・グロルニック(el-p(1)~(5)、ac-p(6),org(2)(4))、 ウィル・リー(b)、 クリス・パーカー(ds)、スティーブ・カーン(g)、レイ・マンティラ(perc)、ストリングス、ドン・セベスキー(ストリングス・アレンジ)といった人達です。

1. 「STAR FIRE AKA THE SADDEST THING(スターファイアー)」
2. 「CACTUS(カクタス)」
3. 「TEXAS ANN(テキサス・アン)」
4. 「RED EYE(レッド・アイ)」
5. 「CAFÉ BLACK ROSE(カフェ・ブラック・ローズ)」
6. 「BROTHERS AND OTHERS(ブラザーズ・アンド・アザーズ)」

 1曲目「STAR FIRE AKA THE SADDEST THING(スターファイアー)」はジョー・ベックの作品です。この曲はアイドリス・ムハマッドの“POWER OF SOUL(パワー・オブ・ソウル)”に収録されていた曲「THE SADDEST THING(サデストシング)」の変名アレンジ曲です。ベックとサンボーンのユニゾンによる、ゆったりしているけどグルーブ感のある演奏が素晴らしいです。サンボーンが次第に熱くなっていきます。ベックのソロも、バックのウィル・リーのグルーブ感も素晴らしいです。2曲目「CACTUS(カクタス)」はドン・グロルニックの作品です。ベックのブルージーで粘っこいギター・ソロとそれに絡むサンボーンのサックスが聴き所です。3曲目「TEXAS ANN(テキサス・アン)」はジョーベックの作品です。ドン・グロルニックのエレピのイントロからサンボーンのサックスが次第に熱を帯びていきます。そしてベックのブルージーなギターも粘っこく、ファンキー・フィーリングいっぱいです。ドン・グロルニックのエレピ・ソロ、うねるようなウィル・リーのベース、クリス・パーカーのドラム、再びサンボーンの熱いブローへと展開していきます。4曲目「RED EYE(レッド・アイ)」もジョー・ベックの作品です。ここでもウィル・リー、クリス・パーカーのどっしりとしたバック陣が素晴らしいサポートをしています。サンボーンは相変わらず熱く吹きまくっています。このアルバムってサンボーンのリーダー作?って思ってしまいますね。5曲目「CAFÉ BLACK ROSE(カフェ・ブラック・ローズ)」ここでもどっしりしたリズム陣をバックにサンボーンのサックスからスタートしベックのギターが続きます。そしてベックとサンボーンのユニゾンによるテーマの演奏。いや素晴らしい限りです。6曲目「BROTHERS AND OTHERS(ブラザーズ・アンド・アザーズ)」ドン・グロルニックのピアノからベックのギター、そしてサンボーンが吹きます。ブルージーなベックのギター・ソロとサンボーンのサックスが聴き所です。煽るようなクリス・パーカーのドラムとウィル・リーのベースもやってくれますね。ベック・ファンだけでなく、サンボーンのファンにも必聴の作品です。この後80年代後半以降ベックはフュージョンから離れ、ストレートなジャズを演奏するようになり名盤を残しました。