こんにちは。

 

仕事上のストレスによるメンタルヘルス不調を起こさないためには、会社としてそのストレスを低減させることも大切ですが、従業員自身がストレスに気づき、対処することも重要です。このような背景もあり、2028年4月から、ストレスチェック制度の実施がすべての企業で義務化されることになりました。以下では、ストレスチェック制度とは何かと、ストレスチェックの実施手順を解説します。

[1]ストレスチェック制度とは
 ストレスチェック制度とは、従業員がストレスの状況についての検査(ストレスチェック)を受けることで、従業員自身にストレスへの気づきやセルフケアを促すとともに、検査結果を、集団ごとに集計・分析をすることを通じて、職場のストレス要因の改善につなげ、メンタルヘルス不調の未然防止を図る仕組みです。
 2015年12月から、従業員数50人以上の企業(事業場)に対し、実施が義務化されていましたが、2028年4月からは従業員数50人未満の企業(事業場)にも実施が義務化されます。

[2]ストレスチェックの実施手順
 ストレスチェックの実施手順を並べると次のようになります。

  1. 実施方法など社内ルールの策定
  2. 調査票の配布、記入
  3. ストレス状況の評価・医師の面接指導の要否の判定
  4. 本人に結果を通知
  5. 本人から面接指導の申出
  6. 医師による面接指導の実施
  7. 就業上の措置の要否・内容について医師から意見聴取
  8. 就業上の措置の実施
  9. 職場環境の改善

 このように多くの手順があり、2.については検査用紙を紙で配付するほか、パソコンやスマートフォン等を用いたオンラインでの受検の検討も必要なります。
 また、5.および6.は、3.で高ストレス者として判定された従業員について行うものであり、5.で本人からの申出があったときには、6.に係る実施日時の設定等が発生します。なお、ストレスチェックを受検する従業員の範囲は、正社員のほか、一定の範囲のパートタイマーや契約社員です。ただし、ストレスチェックを受検するか否かは、従業員に委ねられており、企業は受検を推奨することは問題ないものの、受検を強制することはできません。

 ストレスチェックは1年に1回以上の実施することが義務となります。このため、2028年4月に実施が義務化される企業は、2029年3月31日までの1年間で実施すればよいことになりますが、実施までに多くの手順があります。従業員にストレスへの気づきを促すといった本来の目的を達成するためにも、できれば早めに取り掛かりたいものです。

■参考リンク
厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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文書作成日:2026/07/09

8月1日より義務化される産業医の辞任の報告と産業医の職務

2026年8月1日より、産業医が辞任した場合に報告が義務化されることから、社労士はその解説をすることにした。

 今日は、産業医に関することでご説明しておきたいことがあります。貴社では事業場の労働者数が50人以上のため、産業医を選任されていると思いますが、この産業医の選任に関して、2026年8月1日からは辞任、解任、退任(以下、「辞任等」という)があったときに、辞任等の報告が義務となります。

 そうなのですね。

 産業医を選任した際には、所轄労働基準監督署に報告する義務がありますが、辞任等があった際には、これまで報告する義務はありませんでした。この状態では労働基準監督署として実際の状況が把握できないことから、今回、辞任等があったときの報告が義務付けられました。

 ちなみにどのように報告をするのでしょうか。

 報告の方法は、原則、電子申請となっていますが、電子申請を行う環境が整っていない場合等は、書面による報告も認められています。近年、職場におけるメンタルヘルス不調者の増加等により、産業医が会社に関わることの重要性が高まっています。いい機会ですので、改めて産業医が職務を行う中で、会社がやらなければならない事項を確認しましょう。

 産業医の職務は分かっているようで、分かっていない気がしますので、ぜひ、教えてください。

 産業医は、職場における労働者の健康管理等を行う役割として、健康診断の実施とその結果に基づく措置、長時間労働者に対する面接指導・その結果に基づく措置等の職務を担っています。産業医が労働者の健康管理等を行うにあたって、会社は必要な権限を付与し、必要な情報を提供する必要があります。

 必要な情報とは何でしょうか?

 この必要な情報とは、以下の3つです。

  1. 健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックに基づく面接指導実施後の既に講じた措置または講じようとする措置の内容に関する情報(措置を講じない場合は、その旨・その理由)
  2. 時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり80時間を超えた労働者の氏名・当該労働者に係る超えた当該時間に関する情報(高度プロフェッショナル制度対象労働者については、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間(健康管理時間の超過時間))
  3. 労働者の業務に関する情報であって産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの

 日々の労務管理に関係することとしては、2.の時間外・休日労働時間に関する情報ということですね。

 そのとおりです。時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり80時間を超えた労働者がいなかった場合は、「該当者がいなかった」という情報を産業医に提供する必要があります。

 なるほど。ということは、毎月1回、時間外・休日労働時間に関する情報を産業医に提供するということですね。この情報提供は、書面で行う必要があるのでしょうか?

 書面が望ましいとされていますが、具体的な情報提供の方法は、会社と産業医で決めておくとよいですね。

 なるほど、わかりました。

>>次回に続く

 



 労働者数が50人以上の事業場は産業医を選任する義務がありますが、併せて、産業医の業務の内容等を従業員に対して周知する必要があります。具体的には、産業医の業務の具体的な内容、産業医に対する健康相談の申出の方法、産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの方法に関することになります。これらの内容を、例えばA4サイズ1枚で掲示できるようにまとめ、周知すること等が対応として考えられます。

■参考リンク
厚生労働省「産業医による労働者の健康管理等を徹底しましょう

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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法定労働時間(原則として1日8時間・1週40時間)を超えて従業員に労働させる場合は、「時間外労働・休日労働に関する協定」(以下、「36協定」という)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。その上で、協定した内容の遵守も求められます。その際、限度時間を超える時間外労働が見込まれることで、特別条項を設け適用する際には、以下の点を確認しなければなりません。

[1]36協定の特別条項を適用する際の注意点
 36協定に設けた特別条項を適用する際には、以下の3点について注意が必要です。

  1. 36協定で協定した特別条項を適用する場合の手続きを確実に行うこと
  2. 特別条項を適用する回数が36協定で協定した回数を超えないこと
  3. 1ヶ月の時間外労働と法定休日労働の時間数の合計(以下、「合計時間数」という)が、1ヶ月で100時間未満、2~6ヶ月の平均をとって1ヶ月当たり80時間以下であること

[2]よくある誤解
 [1]の注意点に関して、各々のよくある誤解を確認します。
 1.については、36協定で締結した特別条項を適用する場合の手続きを、例えば「過半数代表者に対する事前申し入れ」とした場合に、事前に申し入れた時点で、特別条項が適用されたことになると勘違いしていることがあります。これについては、実際に一般条項で定めた延長することができる時間数を超えて労働させた場合に、特別条項が適用されたことになります。そのため、事前に申し入れたものの、その後、時間外労働をせず、延長することができる時間数を超えなかったのであれば、特別条項は適用されなかったことになります。
 2.については、特別条項の回数は1年間で最大6回とされており、36協定で「6回」と定めているケースをよく見かけます。この回数については、事業所全体で特別条項が適用された回数ではなく、従業員ごとの回数です。そのため、従業員ごとに6回を超えないように管理することになります。
 3.については、36協定の有効期間である1年間において遵守することとの誤解があります。これは、36協定の有効期間に左右されることなく、前後の36協定の有効期間をまたいで適用されます。そのため、36協定の有効期間が2026年4月1日から2027年3月31日までで、例えば合計時間数を1ヶ月90時間と締結していたとすると、2027年3月の合計時間が90時間であった場合、2027年4月の合計時間は70時間以下とする必要があります。なお、これは36協定の時間数は遵守した上で、さらに遵守すべき内容になります。

 36協定に特別条項を設けている事業所においては、よく分からないまま運用されているケースもあるかと思います。36協定は従業員に法定労働時間を超えて労働させる際に、重要な内容であることから、正しく理解し、運用することが求められます。

■参考リンク
厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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これから本格的な夏を迎え、職場においても熱中症予防対策が求められます。先日、厚生労働省より、2025年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」が公表されたことから、今回はこの内容と、職場における熱中症防止のためのガイドライン(以下、「ガイドライン」という)について取り上げます。

[1]2025年の熱中症による死傷災害の発生状況
 2025年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、2025年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は1,803人で、前年より546人増え、統計開始以来最多となりました。過去10年間の推移は下図のようになります。その一方で、熱中症による死亡者数は19人で、前年より12人減少しています。
※図はクリックで拡大されます。

[2]職場における熱中症防止のためのガイドライン
 今年3月に新たに定められたガイドラインでは、熱中症予防対策のポイントとして以下の4点が挙げられています。

  1. 体制整備、必要な設備の整備を行うこと
  2. 熱中症リスクを適切に把握すること
  3. リスクに応じた対策を検討すること
  4. 教育研修を行うこと

 この中で、1については、体調不良時の報告体制、重篤化防止措置の手順を整備し、周知することが該当しますが、これは、2025年6月に施行された改正労働安全衛生規則において、企業に義務化されていることもあり、確実に実施する必要があります。

 

 厚生労働省では、特設サイトの中で熱中症予防対策に役立つ資料を公開しており、例えばそのひとつとして、「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」があります。このような資料も活用しながら、熱中症の予防に取り組みましょう。

■参考リンク
厚生労働省「令和7年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します
厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン
厚生労働省「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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来月になると夏休みとなり、高校生をアルバイトとして雇用する会社も増えてきます。そこで今回は、アルバイト等で高校生を雇用する際の注意点について解説しましょう。

[1]労働基準法における年齢区分
 労働基準法では、以下のように年齢による区分を設けています。
  児童:満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者
  年少者・未成年者:満18歳未満の者
 このうち「児童」については、原則として労働させてはならないとしています。そして、多くの高校生が該当する「年少者」についても、一定の規制が設けています。そのため、雇い入れにあたっては労働基準法における年少者(以下、「高校生」という)を雇用する際の遵守事項を理解しておく必要があります。

[2]雇い入れにあたっての具体的な注意点
 高校生をアルバイトとして雇用する際の注意点としては、以下の3点があります。

  1. 年齢確認をし、年齢を確認できる書面を備え付けること
  2. 労働時間・休日に関する規制を守ること
  3. 深夜業の制限があること

 具体的には、1について、高校生を雇い入れる際には、会社と本人との間で雇用契約を締結し、併せて親権者等の同意を得ておく必要があります。また、年齢を確認できる公的な書面(住民票記載事項証明書等)を事業場に備え付けることが義務となっています。
 2については、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて、高校生に勤務させることはできず、また、変形労働時間制を適用することも認められていません。なお、満15歳以上で満18歳に満たない者については、例外として以下の勤務を行うことが可能です。

  • 1週間の労働時間が40時間以内であり、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮すれば、同一週内の日について労働時間を10時間まで延長可能
  • 1日8時間、1週間48時間以内であれば、1ヶ月または1年単位の変形労働時間制を適用可能

 また、残業については満18歳以上の労働者の場合、36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることにより、法定労働時間を超えて時間外労働や休日労働をさせることができますが、高校生の場合、原則としてこれらが禁止されています。
  3については、原則として、高校生を深夜(午後10時から午前5時まで)に労働させることが禁止されています。これは、深夜の労働について高校生と合意した場合であっても働かせることはできません。ただし、交替制で勤務する満16歳以上の男性等、一部に例外が設けられています。

 

 アルバイトの採用や労務管理については、本社ではなく営業所や店舗等が主体となって行っているケースが見られます。特に高校生をアルバイトとして雇用する場合には、注意すべきことがあるため、改めて営業所や店舗等の責任者に対して、今回とり上げた内容を理解してもらうようにしましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「高校生等を使用する事業主の皆さんへ ~年少者にも労働基準法等が適用されます!~

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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従業員を雇入れた際に労働条件の明示を行う義務がありますが、従業員のうち、パートタイマーや契約社員を雇入れた際の労働条件の明示項目が10月1日より追加されます。以下では、その内容と合わせて確認しておきたい漏れがちな明示項目を確認します。

[1]改正の背景
 パートタイマーや契約社員など(以下、「パート等」という)、正社員よりも1週間の所定労働時間が短い労働者や期間の定めがある労働者にはパートタイム・有期雇用労働法(以下、「パート・有期法」という)が適用されています。このパート・有期法の第14条第2項で、会社はパート等から求めがあったとき、正社員との間の待遇の相違の内容と待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明しなければならないと定められています。
 今回、パート等にこの「説明を求めることができること」をより知らせるという目的から、労働条件の明示項目として追加されることとなりました。

[2]10月1日から追加となる項目
 改正の背景を踏まえ、パート等を雇入れた際、労働条件通知書等の項目として、新たに「待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨」の明示を追加する必要があります。
 厚生労働省が提供するモデル労働条件通知書では、次のような記載例が示されています。

次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる。
部署名
担当者氏名      (連絡先     )

 記載例の「通常の労働者」については、自社における呼称(「正社員」等)に置き換えて記載することも可能とされています。

[3]漏れがちな記載項目
 現行においても、パート等を雇入れた際の労働条件の明示項目については、通常の従業員を雇入れた際の労働条件の明示事項に、以下の4つの項目を追加する必要があります。

  1. 昇給の有無
  2. 退職手当の有無
  3. 賞与の有無
  4. パートタイム・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

 この中で、特に4のパートタイム・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口の記載が漏れているケースが多く見られます。これは、パート等の雇用管理の改善や苦情等に関する相談に応じる窓口です。

 正社員が定年退職後、例えば「嘱託社員」というような名称で有期契約として雇用されているケースがありますが、この嘱託社員もパート・有期法の適用の対象者です。そのため、嘱託社員に労働条件を明示する際には、上記の漏れがちな項目として挙げた4つの項目と10月1日から追加となる項目についても記載が必要です。ひな形をチェックして、不備があれば修正しておきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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文書作成日:2026/06/11

パートタイマーが業務災害で休業した際の待期期間の考え方

先日、パート従業員が仕事中にケガをした。今回は休まずに済んだが、休業が必要なケースもあることから、業務災害が発生し、従業員が休業したときの待期期間の考え方について社労士に確認することにした。

 先日、パート従業員が仕事中にケガをしました。幸いにも休業が必要となるような業務災害ではなく、パート従業員は翌日から通常通り勤務をしています

 それは良かったです。安心しました。

 業務中にケガをしないように安全対策をしていますが、それでも業務災害が発生し、休業が必要となったときの対応について、事前の知識として教えてください。今回は、週3日勤務のパート従業員がケガをしました。労災保険の休業補償給付は、休んだ日から数えて4日目から支給されると理解していますが、最初の3日間はどのように考えればよいのでしょうか?

 そもそも休業補償については労働基準法に規定されており、そこでは休業の1日目から会社が休業補償を行うことが義務付けられています。そのため、労災保険では支給されない3日間(待期期間)は会社で休業補償をする必要があります。

 なるほど。例えば、月・水・金曜日の週3日勤務のケースの場合、この3日間はどのように数えるのでしょうか。

 金曜日の所定労働時間中に業務災害が発生し、そのまま病院に行ったケースで考えましょう。この場合、業務災害発生日の金曜日を含めて、3日間が待期期間となります。

 3日間というのは、金・土・日曜日になりますか。それとも、労働日だけをカウントし、金曜日、翌週の月・水曜日になりますか?

 待期期間3日間は暦で数えるため、金・土・日曜日になります。

 土・日曜日はパート従業員含め、全社で休みですが、この休みの日に対しても、休業補償を行う必要があるということでね。

 はい。休業補償の額は、休業1日につき平均賃金の6割ですが、時間給や日給で支払っているものがある場合は平均賃金を計算する際に最低保障額が定められていますので、注意が必要です。具体的には、以下の2つの計算を行って、いずれか高い方が平均賃金となります。
(1)原則:
 平均賃金=災害発生日以前3ヶ月間に支払われた賃金の総額/災害発生日以前3ヶ月間の総日数
(2)最低保障額:
 平均賃金=以下の2つの合計額
<月で払ったもの>
 災害発生日以前3ヶ月間に支払われた賃金の総額/災害発生日以前3ヶ月間の総日数
<時間給や日給で払ったもの>
 災害発生日以前3ヶ月間に支払われた賃金の総額/災害発生日以前3ヶ月間の労働日数×60%

 (2)は、災害発生日以前3ヶ月間の「労働日数」を用いるということですね。

 その通りです。パート従業員の場合、月によって労働日数が変動し、極端に労働日数や賃金額が少ないことがあります。そうなると、(1)の方法では、金額が極端に低くなることがあるため、(2)のような最低保障額の仕組みが設けられています。

 なるほど、そういうことですね。

 補足として、3日間の数え方については、業務災害が発生した時刻によって異なります。まとめると以下のようになります。
(1)所定労働時間中に業務災害が発生し、そのまま病院へ行った場合
  業務災害発生日を含め3日間が待期期間となる
(2)所定労働時間に業務災害が発生したが、終業時刻まで1日勤務し、所定労働時間後に病院へ行った場合
  業務災害発生日の翌日から3日間が待期期間となる
(3)所定労働時間後の残業中に業務災害が発生し、病院へ行った場合
  業務災害発生日の翌日から3日間が待期期間となる

 いつ業務災害が発生し、いつ病院に行って医師から休むように指示が出たのか、状況を確認することが重要ですね。

 実際に、業務災害が発生したときは焦ってしまいますが、正確に情報を把握することが求められます。

>>次回に続く

 



 労働者死傷病報告は、労災保険の休業補償給付を受けたときに、提出しなければならないと誤解されているケースがありますが、労災保険の給付を受けたか否かに関わらず、以下の場合に提出が必要です。

  1. 労働者が業務災害により、負傷、窒息または急性中毒により死亡しまたは休業したとき
  2. 労働者が就業中に負傷、窒息または急性中毒により死亡しまたは休業したとき  
  3. 労働者が事業場内またはその附属建設物内で負傷、窒息または急性中毒により死亡しまたは休業したとき  
  4. 労働者が事業の附属寄宿舎内で負傷、窒息または急性中毒により死亡しまたは休業したとき

 労働者死傷病報告は労働安全衛生法において提出義務が課されており、これは同様な事故を減らすための対策を検討するという安全衛生管理の観点から設けられている仕組みとなります。

 

■参考リンク
厚生労働省「労働災害が発生したとき

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同一労働同一賃金ガイドライン(以下、「ガイドライン」という)が改正され、10月1日から適用となります。そのため、この改正ガイドラインの適用に向けて、自社の取扱いで問題があるような場合は10月1日までに対応が求められます。以下では、今回の改正の経緯、改正内容のポイントを確認します。

[1]ガイドラインが改正された経緯
 同一労働同一賃金の施行から5年が経過したことをふまえ、昨年2月から見直しに向けた議論が行われてきました。また、現在のガイドラインの策定後、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差に関する複数の最高裁判決が出されたこともあり、その内容を盛り込む形で、ガイドラインの内容の見直しが行われることとなりました。

[2]改正同一労働同一賃金ガイドラインのポイント
 今回改正された項目は以下の9つです。現行のガイドラインから記載が充実されたものと、項目として新規に追加されたものとがあります。

  • 賞与(記載の充実)
  • 退職手当(新規追加)
  • 無事故手当(新規追加)
  • 家族手当(新規追加)
  • 住宅手当(新規追加)
  • 福利厚生施設(記載の充実)
  • 病気休職(記載の充実)
  • 夏季冬季休暇(新規追加)
  • 褒賞(新規追加)

 これらの中から、新規に追加された退職手当、住宅手当、夏季冬季休暇について、ガイドラインに示されている内容をみてみましょう。

【退職手当】
 支給目的には労務の対価の後払い、功労報償等のさまざまな目的が含まれます。これらの目的が妥当するにもかかわらず、パートタイム・有期雇用労働者に対し、正社員との間の職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた内容を支給しない場合、不合理と認められる可能性があります。

【住宅手当】
 住宅手当が「転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの」である場合、正社員と同一の転居を伴う配置の変更があるパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の住宅手当を支給しなければならない。

【夏季冬季休暇】
 パートタイム・有期雇用労働者にも、正社員と同一の夏季冬季休暇を付与しなければならない。

[3]見直しに当たって留意すべき点
 過去の最高裁判決では、正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間に待遇の相違があったとしても、正社員人材確保論から不合理ではないと認められたものがありましたが、改正ガイドラインでは、正社員人材確保論のみをもって、待遇差が不合理ではないと当然に認められるものではないという考えが示されました。待遇差が不合理と認められるか否かは、その待遇の性質・目的にも照らして判断されるものであるとしています。

 改正ガイドラインの内容をふまえて、まずは自社の現在の状況を点検しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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文書作成日:2026/05/28

2026年度に注目したい両立支援等助成金

通常、助成金制度は年度単位で予算が立てられており、年度初めに多くの助成金の創設・改廃が行われます。今回は、比較的多くの企業で活用が進む両立支援等助成金について、主な変更点を確認します。

[ 1 ]

両立支援等助成金とは

 両立支援等助成金とは、仕事と育児・介護等の両立支援に取り組む事業主を支援するもので、6つのコースから構成されており、各コースの概要は以下のとおりです。

  1. 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
    育児休業を取得しやすい雇用環境整備等を行い、男性従業員が育児休業を取得した場合に受給できる助成金
  2. 介護離職防止支援コース
    「仕事と介護の両立支援プラン」を策定の上、プランに基づき労働者の円滑な介護休業の取得・復帰に取り組んだ場合や仕事と介護の両立に資する制度を導入し利用者が生じた場合、介護休業や短時間勤務を行う労働者の業務を代替する体制の整備を行った場合に受給できる助成金
  3. 育児休業等支援コース
    「育休復帰支援プラン」を策定の上、育児休業の円滑な取得・職場復帰の取組を行った場合に受給できる助成金
  4. 育休中等業務代替支援コース
    育児休業取得者や短時間勤務者の業務を代わりに行う従業員に手当を支給するか、代替要員を新規雇用(派遣での受け入れを含む)した場合に受給できる助成金
  5. 柔軟な働き方選択制度等支援コース
    育児を行う従業員の柔軟な働き方を可能とする制度を複数導入し、制度を利用した従業員に対する支援を行った場合等に受給できる助成金
  6. 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
    不妊治療、月経(PMS(月経前症候群)を含む)、更年期といった女性の健康課題に対応するために利用可能な両立支援制度を利用しやすい環境整備に取り組むとともに、不妊治療や女性の健康課題に関する従業員の相談に対応し、それぞれに関する制度を従業員に利用させた場合に受給できる助成金

 以下では、この中から、出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育休中等業務代替支援コース、3つのコースを取り上げ、主な変更点を確認します。
 

[ 2 ]

出生時両立支援コース

 このコースで対象となる取り組みは、「1.男性の育児休業取得」と「2.男性育児休業取得率の上昇等」の2つに分かれています。主な要件と支給額の概要は以下の通りです。

  1. 男性の育児休業取得
    主な要件:対象となる従業員が子どもの出生後、8週間以内に育児休業を開始し、一定日数以上の育児休業を取得
    支給額:1人目20万円(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合、30万円)
        2人目・3人目10万円
  2. 男性育児休業取得率の上昇等
    主な要件:申請年度の前年度を基準として育児休業の取得率が30%以上上昇し、50%以上となった場合
    支給額:60万円 ※1事業主につき1回限り

 「1.男性の育児休業取得」については、中小企業事業主(表1)が対象となりますが、「2.男性育児休業取得率の上昇等」については、2026年4月1日より業種にかかわらず常時雇用する労働者が300人以下の事業主(特定事業主)が対象になりました。常時雇用する労働者が300人以下であったものの、資本金が中小企業事業主の基準を上回っていたことから対象外となっていた事業主(表2)も対象となりました。

表1 中小企業事業主の範囲

   資本金の額または
出資の総額
  常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 または 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

 

表2 特定事業主の範囲

   資本金の額または
出資の総額
  常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む)  5,000万円以下 または 300人以下
サービス業 5,000万円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 300人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

 

[ 3 ]

介護離職防止支援コース

 介護離職防止支援コースは、「1.介護休業」、「2.介護両立支援制度」、「3.業務代替支援」、「4.介護休暇制度有給化支援」の4つに分かれています。主な要件と支給額の概要は以下の通りです。

  1. 介護休業
    主な要件:対象労働者が介護休業を取得し職場復帰
    支給額:40万円
  2. 介護両立支援制度
    ≪A≫
    主な要件:介護両立支援制度(※)を1つ導入し、対象従業員がその制度を利用
    支給額:20万円
    ≪B≫
    主な要件:介護両立支援制度(※)を2つ以上導入し、対象従業員がその制度を1つ以上利用
    支給額:25万円
    ※介護両立支援制度は、時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務制度、フレックスタイム制度、介護サービス費用補助制度のことをいいます           
  3. 業務代替支援
    [新規雇用]
    主な要件:介護休業取得者の業務代替要員を新規雇用または派遣で受入
    支給額:20万円
    [手当支給等]
    ≪A≫
    主な要件:介護休業取得者の業務代替者に手当を支給
    支給額:5万円
    ≪B≫
    主な要件:介護短時間勤務者の業務代替者に手当を支給
    支給額:3万円
  4. 介護休暇制度有給化支援
    主な要件:有給の介護休暇制度を導入し労働者が利用
    支給額:30万円

 この中で、4.介護休暇制度有給化支援が2026年4月1日から新設されたものです。なお、介護離職防止支援コースは、中小企業事業主のみが対象です。
 

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育休中等業務代替支援コース

 このコースには「1.育児休業中の手当支給」、「2.育児短時間勤務中の手当支給」および「3.育児休業中の代替要員の新規雇用」の3つがあります。主な要件と支給額の概要は以下の通りです。

  1. 育児休業中の手当支給
    主な要件:育児休業取得者の業務代替者に手当を支給
    支給額:A 業務体制整備費:最大20万円
        B 業務代替手当:手当支給額の3/4 (最大240万円)
  2. 育児短時間勤務中の手当支給
    主な要件:短時間勤務者の業務代替者に 手当を支給
    支給額:A 業務体制整備費:最大20万円
        B 業務代替手当:手当支給額の3/4 (最大108万円)
  3. 育児休業中の代替要員の新規雇用
    [新規雇用]
    主な要件:育児休業取得者の業務代替要員を新規雇用または派遣で受入
    支給額:最短(7日以上):9万円
        最長(1年以上):81万円

 2026年4月1日より、「1.育児休業中の手当支給」と「2.育児短時間勤務中の手当支給」については、支給対象となる事業主の労働者数要件が撤廃され、すべての企業が対象となりました。また、「3.育児休業中の代替要員の新規雇用」は、業種にかかわらず常時雇用する労働者数の範囲が拡大され、労働者が300人以下の事業主が対象になり、[2]の表2と同様です。
 このほか、「1.育児休業中の手当支給」の業務代替手当の支給について、助成金の算定対象となる手当支給期間の上限を2年間に延長する拡充が行われています。

 これらの内容以外にも、細かな要件や支給額の加算等が設けられています。厚生労働省のホームページには、182ページからなるパンフレットが公開されていますので、活用を検討する場合は内容を確認しておきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「両立支援等助成金のご案内

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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こんにちは。

 

改正労働施策総合推進法により、4月から従業員が治療を受けながら安心して働き続けられるよう支援する「治療と就業の両立支援」が企業の努力義務となりました。以下では、企業に求められている内容をとり上げます。

[1]治療と就業の両立支援が求められている背景
 高齢者の就労の増加等を背景に、何らかの疾病により通院しながら働く労働者の割合は年々上昇しています。このような中で、企業には、治療を受けながら安心して働き続けられるように支援するため、本人からの相談に応じ、適切に対応できる体制・環境を整備し、必要な就業上の調整や配慮を行う取組みが求められています。

[2]治療と就業の両立支援を行うための環境整備
 実際に、治療と就業の両立が必要な従業員が現れてから、制度等の検討を始めていては対応が遅くなるため、あらかじめ治療と就業の両立支援を行うための環境を整備しておくことが求められます。主なものとしては、相談窓口の明確化、社内の支援体制の整備と社内制度の整備が挙げられます。
 まず、相談窓口の明確化・社内の支援体制の整備については、従業員が安心して相談や支援の申出を行うことができるように、相談窓口を設置して従業員に知らせること、申出が行われた場合の情報の取扱い等を明確にしておくことが考えられます。
 次に、社内制度の整備については、短時間の治療を定期的に繰り返す、または就業時間に一定の制限が必要となることがあるため、以下のような制度を企業の実情に応じて導入することが望まれます。
[休暇制度の例]
 ・時間単位の年次有給休暇
 ・傷病休暇
 ・病気休暇
[勤務制度の例]
 ・時差出勤制度
 ・短時間勤務制度
 ・在宅勤務制度
 ・試し出勤制度

 厚生労働省のホームページには、治療と就業の両立支援について解説したリーフレット、企業と医療機関が情報のやりとりを行う際の参考として企業・医療機関連携マニュアルなどが掲載されています。治療と就業の両立支援について検討する際には、これらの情報も活用しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「治療と仕事の両立について

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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