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文書作成日:2020/08/13

 暑さが一層増すこれからの時期は、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染防止を図るため、国が示している「新しい生活様式」をとり入れながら、熱中症対策を行っていくことが求められる。そこで、その労務管理上の注意点を確認することとした。

 本格的な夏となりましたね。今年は、新型コロナの感染防止を行いながら、熱中症対策も行っていく必要があるため、手探りでやっているところがあります。そのため、今日はその労務管理上の注意点を確認したいです。

 なるほど。基本的な内容になりますが、まず「新しい生活様式」を確認しましょう。「新しい生活様式」とは、新型コロナの防止の3つの基本である、1.身体的距離の確保、2.マスクの着用、3.手洗い、を確実に実施するとともに、「3密(密集、密接、密閉)」を避ける等を取り入れた日常生活のことを言います。
 これらを個別に見ていくと、1の「身体的距離の確保」では、人との間隔はできるだけ2メートル(最低1メートル)空け、会話をする際は可能な限り真正面を避けることなどが挙げられています。

 当社では、6人が1つの島を作る形で机を配置していますが、できるだけ1つの島に3人とするように心がけ、互い違いに座るようにしています。また1つの島で4人以上が業務をせざるを得ないときは、机と机の間に透明のアクリル板を置くなどの対応をしています。

 スペースは限られていると思うのですが、工夫されているのですね。実施できる対策に限界があると思いますが、できることは手を尽くしたいものです。
 2の「マスクの着用」については、新型コロナの対策には不可欠ですが、マスクをしていると熱中症になる懸念があることから、厚生労働省と環境省が発行しているリーフレットでは、屋外で人と2メートル以上離れているときはマスクを外すことを周知しています。

 マスクを着用しながらも、人と十分な距離がとれている場合は、熱中症予防のため外して、2つの対策をしていくことが求められているのですね。

 そうですね。人と十分な距離がとれておらず、マスクを着用している場合は、激しい運動を避けたり、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給をしたりすることなどの対応が求められます。

 事務所内では従業員にマスクの着用をお願いしていますが、本格的な夏となり、熱中症の対策も強化していかなければならないため、状況に応じた適切な対応を周知することが必要になりますね。

 私もその方がよいと思います。3の「手洗い」については、いたるところで手洗いの仕方のポスターを見かけるようになりました。このポスターにならって手を洗うようにすることを再度、徹底したいですね。

 そうですね。3密(密集、密接、密閉)については、社内でルールを決め、例えば会議は最小限にとどめ、行う場合は換気をしながら、時間を短くしたり、人数を制限したりすることで対策をしています。

 最後に、この「新しい生活様式」の中に、働き方の新しいスタイルが紹介されています。ここでは、以下の5つが挙げられています。

  • テレワークやローテーション勤務
  • 時差勤務でゆったりと
  • オフィスはひろびろと
  • 会議はオンライン
  • 対面での打合せは換気とマスク

 テレワークは比較的容易に対応できる部署と、工場のように物理的に難しい部署とがあります。事務所では一部でテレワークの実践をしていますが、工場ではできるだけ3密にならないようにローテーション勤務を実施するなど、試行錯誤しながらやっています。会議はまだオンラインで実施したことはないですね。

 私は、定期的にお客様と面談をする機会がありますが、訪問での面談ではなくWEBでの面談に切り替えたところが多くあります。最初は事前の準備で戸惑ったこともありますが、活用してみると確認したい情報をパソコンの画面に共有することができ、それほど違和感なくできました。いろいろな手段をうまく活用して、感染防止にもつなげていきたいですね。

 なるほど。他社での取組みなど、参考になる情報が出てきましたらまた紹介してください。

>>次回に続く

 



 企業では、新型コロナの感染防止のため、さまざまな対策を行っていると思いますが、厚生労働省では、「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」を公開しています(参考リンク参照)。チェックリストをチェックすることで、他にできる対策などをピックアップすることができるようになります。このようなチェックリストも活用しながら、自社で実施できる対策を進めましょう。

■参考リンク
厚生労働省「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト(R2.6.25版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00145.html
厚生労働省「新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例を公表しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html
厚生労働省「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_coronanettyuu.html

 

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従業員を所定労働日に休業させ、その理由が会社の責に帰すべきものであったときには、会社は従業員に休業手当を支給しなければなりません。新型コロナウイルス感染症およびそのまん延防止措置の影響により多くの企業が休業をしていますが、休業手当を支給されなかった従業員が発生したことに伴い、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「新型コロナ支援金」という)の制度が設けられました。そこで、今回はこの新型コロナ支援金をとり上げます。

[1]新型コロナ支援金の概要と申請
 新型コロナ支援金は、2020年4月1日から9月30日までの間に会社の指示により休業したにも関わらず、その休業に対する休業手当が支給されなかった中小企業の従業員に、休業する前の賃金の8割(1日あたりの上限11,000円)が、休業した日数に応じて国から直接支給されるものです。
 初回の申請は「支給申請書」および「支給要件確認書」に、以下の3点を添付して指定先へ郵送します。

  1. 申請者本人であることが確認できる書類として運転免許証等のコピー
  2. 振込先口座を確認できる書類の写しとして通帳等のコピー
  3. 休業前および休業中の賃金額が確認できる書類の写しとして給与明細等のコピー
 申請は従業員が行う方法と、会社経由で行う方法がありますが、いずれも申請する従業員の休業に関する事項を会社が証明する必要があります。会社がこの証明を行わず従業員が申請したときは、後日、労働局から会社に対して報告が求められます。
 

[2]休業手当との関係
 新型コロナ支援金は、会社の指示により休業したにも関わらず、休業手当が受けられない従業員の生活の安定および保護を図ることを目的として創設されました。一方で労働基準法では、会社の責に帰すべき事由により休業する場合に、休業手当として平均賃金の6割以上の支払いを義務付けています。
 新型コロナ支援金の支給対象となる休業が会社の責に帰すべき事由であったときには、従業員に新型コロナ支援金が支払われたとしても、休業手当を支払う義務が免除されるものではないため、新型コロナ支援金は矛盾した制度という指摘があります。そのため、厚生労働省では、まずは会社が休業手当を支払うこと等で受給できる雇用調整助成金の活用を検討するよう周知しています。
 なお、従業員が新型コロナ支援金を受け取った後に休業手当を受け取ったときは、新型コロナ支援金を返還する仕組みとなっており、新型コロナ支援金と休業手当を二重で受け取ることはできません。

 複数事業所の休業について申請する場合、複数事業所分の情報をまとめて申請する必要があります。1つの事業所分の申請をした期間については、その申請以外すべて無効になります。新型コロナ支援金の詳細については厚生労働省のホームページをご覧ください。

■参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html


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労働災害による休業4日以上の死傷者数のうち、60歳以上の労働者の占める割合は増加傾向にあり、2018年は26.1%となっています。また今後、70歳までの就業機会の確保が努力義務となり、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境を作っていくことは重要な課題であり、国は企業や労働者に取組が求められる事項をまとめ、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」として公表しました。そこで今回は、エイジフレンドリーガイドラインの内容とそれを支援する補助金をとり上げます。

[1] エイジフレンドリーガイドライン
 エイジフレンドリーガイドラインには、企業に求められる事項として、以下の5つが挙げられています。

  1. 安全衛生管理体制の確立等
  2. 職場環境の改善
  3. 高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
  4. 高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
  5. 安全衛生教育
 このうち3.は、企業・高年齢労働者双方がその高年齢労働者の健康や体力の状況を客観的に把握し、企業はその体力にあった作業に従事させ、高年齢労働者自らの身体機能の維持向上に取り組めるように、主に高年齢労働者を対象とした体力チェックを継続的に行うことが望ましいとされています。具体的な体力チェックの方法として、以下のものが考えられます。
  • 従業員の気づきを促すため、加齢による心身の衰えのチェック項目等を導入すること
  • 厚生労働省が作成した「転倒等リスク評価セルフチェック票」等を活用すること
  • 事業場の働き方や作業ルールにあわせた体力チェックを実施すること
 そして4.は、健康や体力の状況を踏まえて必要に応じた措置を講じることが必要とされています。脳・心臓疾患が起こる確率は加齢にしたがって徐々に高まるため、基礎疾患の罹患状況を踏まえて、労働時間の短縮や深夜業の回数の制限、作業の転換等の措置を講じることが必要です。
 

[2]エイジフレンドリー補助金
 エイジフレンドリーガイドラインに関連して創設されたエイジフレンドリー補助金は高年齢労働者(60歳以上)を常時1名以上雇用している中小企業が対象となり、高年齢労働者が安心して安全に働けるように職場環境の改善にかかった費用の一部を補助するものです。補助対象は以下の対策に要した費用になります。

  • 身体機能の低下を補う設備・装置の導入
  • 働く高齢者の健康や体力の状況の把握等
  • 安全衛生教育
  • その他、働く高齢者のための職場環境の改善対策
 また、新型コロナウイルスの感染防止を図りつつ高齢者が安心して働くことができるよう、利用者や同僚との接触を減らす対策も補助対象となります。補助金額は、高年齢労働者のための職場環境改善に要した経費の2分の1で、上限額は100万円です。申請期間は2020年10月31日までとなっており、申請先はエイジフレンドリー補助金事務センターになります。

 

 補助金については、予算があるため、申請期間中であっても受付が締切となる可能性があります。活用を検討される場合は、早めに補助金の交付申請をしましょう。

■参考リンク
厚生労働省「「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10178.html
厚生労働省「令和2年度エイジフレンドリー補助金について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会 エイジフレンドリー補助金事務センター
https://www.jashcon-age.or.jp/


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 2018年4月より、障害者の法定雇用率が2.2%(民間企業の場合)となり、2021年4月までには2.3%に引き上げられることが決まっています。企業では障害者の雇用を進めていますが、その際には障害者に対する合理的配慮の提供が義務となっています。そこで今回は、この合理的配慮の提供と、先日、公表された障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に関する調査結果をとり上げます。

1. 合理的配慮の提供義務とは
 合理的配慮の提供とは、募集および採用時においては、障害者と障害者でない人の均等な機会を確保するための措置を講じることであり、採用後においては、障害者と障害者でない人の均等な待遇の確保または障害者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置を講じることをいいます。
 具体的にどのような措置をとるかは、企業と障害者とでよく話し合った上で決めることになりますが、その参考例としては以下のものが挙げられています。

  • 就業時間・休暇等の労働条件面での配慮が必要か
  • 障害の種類や程度に応じた職場環境の改善や安全管理がなされているか
  • 職務内容の配慮・工夫が必要か
  • 職場における指導方法やコミュニケーション方法の工夫ができないか
  • 相談員や専門家の配置または外部機関との連携方法はどうか
  • 業務遂行のために必要な教育訓練は実施されているか など

2.ハローワークへの相談内容
 先日、厚生労働省より、「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和元年度)」が公表されました。改正障害者雇用促進法が2016年4月に施行されて以降、障害者差別および合理的配慮の提供義務に関する相談は増加傾向にあり、2019年度にハローワークに寄せられた相談は合計254件でした。その内訳は障害者差別禁止が75件、合理的配慮が179件であり、合理的配慮に関する対応事例として、以下のものが紹介されています。

[相談内容]

上司から高圧的な指示がされ、パワハラと感じる。障害に対応した機材等の使用についての要望を聞いてもらえない。

[ハローワークの助言]

ハローワークによる事業所への聴取の結果、心理的虐待の事実等法違反は確認されなかったものの、お互いの意思疎通が不十分であることから、配慮に欠けていた発言が認められた。障害特性に応じた業務指示の伝え方について助言するとともに、本人との話し合いを行うよう助言。事業所は本人との話し合いを通じ、お互いの誤解を解消し、業務指示の伝え方等を改善。

 

[相談内容]

障害があることを人事課と上司以外に開示することを希望しないが、現在、障害特性に応じた業務内容の調整が行われず、職場の同僚への遠慮から通院のための休暇を取得しづらいなど、心身の負担が大きい。

[ハローワークの助言]

ハローワークによる事業所への聴取の結果、法違反は確認されなかった。ハローワークから、本人の求める合理的配慮の内容等について事業所に説明を行い、本人との話し合いを行うよう助言。事業所では、本人と面談を行い、本人の求める合理的配慮の内容を踏まえ、対人業務を免除するとともに、本人の希望する範囲での説明を職場内に行うなどの対応を改善。


 企業と障害者の間で何らかの紛争が発生したときには、企業と障害者の間で自主的な解決をすることが求められますが、解決したいときには、都道府県労働局長による助言・指導・勧告が行われたり、障害者雇用調停会議によると調停が行われたりします。厚生労働省のホームページには合理的配慮指針事例集があり、障害類型別に具体的な配慮の事例が紹介されています。今後、法定雇用率が引き上げられることに伴い、障害者を雇用する機会が増加することも考えられます。事例集を活用しながら対応を検討しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和元年度)」を公表しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11917.html
厚生労働省「雇用分野における障害者差別は禁止、合理的配慮の提供は義務です。」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000635063.pdf
厚生労働省「合理的配慮指針事例集」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000093954.pdf


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従業員が脳・心臓疾患や精神障害を発症した際、長時間労働や仕事のストレスによって過重な負荷がかかったことが原因だとして、労災請求が行われる場合があります。これに関連し、2019年度の労災請求状況に関する集計結果が先日、厚生労働省より発表されました。そこで今回は、精神障害の労災補償状況についてとり上げましょう。

[1]精神障害の労災補償状況
 2019年度の精神障害の労災請求件数は2,060件となり、前年の1,820件から240件増加し、統計調査を取り始めてから過去最高となりました(下図参照)。支給決定件数は509件で、認定率は32.1%となっています。※図はクリックで拡大されます

 精神障害の集計では、精神障害が発症した理由と考えられる具体的な出来事が分類されていますが、支給決定件数における上位項目は次のとおりとなっています(「特別な出来事」を除く)。

  1. (ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた 79件
  2. 仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった 68件
  3. 悲惨な事故や災害の体験、目撃をした 55件
  4. 2週間以上にわたって連続勤務を行った 42件
  5. セクシュアルハラスメントを受けた 42件

[2]心理的負荷評価表に追加されたパワーハラスメント
 2020年6月より、パワーハラスメント対策が大企業で義務化されましたが、これに併せて精神障害の労災認定基準に用いる「業務による心理的負荷評価表」が改定されました。
 具体的には、出来事の類型に「パワーハラスメント」が追加され、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃当のパワーハラスメントを受けた」が具体的出来事に追加されました。また、今回の1位「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の項目について、「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」と文言が修正されました。
 特に、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」の具体例として、心理的負荷の強度を「強」と判断するものとして、上司等による以下のような精神的攻撃が執拗に行われた場合が挙げられています。

  • 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃
  • 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃

 パワーハラスメントの防止対策として研修を行う際には、上記を参考にどのような言動がパワーハラスメントに該当するのかを具体的に伝え、注意喚起をしましょう。

■参考リンク
厚生労働省「令和元年度「過労死等の労災補償状況」を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11975.html187661.html
厚生労働省「精神障害の労災認定基準に「パワーハラスメント」を明示します」
https://www.mhlw.go.jp/content/000637468.pdf


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新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の拡大を背景に、家族の介護や子どもの世話のために退職せざるをえなくなったり、また、雇止めや解雇された労働者が多く発生しています。今回はこのような離職者が受けることのできる雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)に関する特例をとり上げます。

[1]給付制限が行われない措置
 失業手当は、離職理由により一定期間、給付を受けることのできない給付制限の期間が設けられています。ただし、特定受給資格者(倒産や解雇等が理由の離職者)や、特定理由離職者(一定の雇止め、転居や婚姻等による自己都合退職等が理由の離職者)は、この給付制限の期間が設けられていません。
 今回、新型コロナの影響として、2020年2月25日以降に、以下の理由により離職した人は特定理由離職者として扱うことにより、給付制限の期間が設けられないこととなっています。

  1. 同居の家族が新型コロナに感染したことなどにより看護または介護が必要となったことから自己都合離職した場合
  2. 本人の職場で感染者が発生したこと、または本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有すること、妊娠中であることもしくは高齢であることを理由に、感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合離職した場合
  3. 新型コロナの影響で子(小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などに通学、通園するものに限る)の養育が必要となったことから自己都合離職した場合

[2]給付日数の延長
 新型コロナにより、経済状況は急激に悪化し、求人倍率も大幅に減少しています。そのため、離職者の求職活動の長期化等が予想されることから、失業手当の受給者について、給付日数が延長されることになりました。
 対象となる離職者は、2020年6月12日以後に基本手当の所定給付日数を受け終わる人で、下表の通りとなっています。※画像はクリックで拡大されます。

 延長される日数は原則60日ですが、30歳以上45歳未満で所定給付日数270日の人および45歳以上60歳未満で所定給付日数330日の人は30日となります。所定の求職活動がないことで失業認定日に不認定処分を受けたことがある場合等、対象とならないこともあります。

 

 これらの他、新型コロナにより求職活動ができない場合やハローワークに出向いて失業の認定が受けられない場合の特例も設けられています。新型コロナの影響で離職する従業員に対して、特例が設けられていることを伝えるとよいでしょう。

■参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルスの影響により自己都合離職された方は、正当な理由のある自己都合離職として給付制限を適用しないこととしました。」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000632360.pdf
東京労働局「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例について」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_00583.html


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文書作成日:2020/07/09

 坂本工業では、年次有給休暇(以下、「年休」という)について時間単位で取得できるようにしたいと考えている。そこで、時間単位年休を導入する際のポイントを確認することとした。

 来年1月から、年休を時間単位で取得できるようにしたいと考えています。というのも、以前から、従業員の要望が多かったことに加え、2021年1月より子の看護休暇と介護休暇の時間単位取得が始まることから、年休も併せて時間単位で取得できるようにしてもよいのではと考えたからです。この時間単位年休を導入する際のポイントについて教えてください。

 なるほど。そのような理由で来年1月からの導入を検討されているのですね。御社同様に対応される企業も出てくるのではないかと思います。時間単位年休を導入することで、年休は取得しやすくなりますが、時間単位年休の導入について、初めに注意点をご説明しておきます。2019年4月より始まった年休の5日取得義務について、時間単位で取得したものはこの5日にカウントできません。

 カウントできないのですね。となると今後、1年に5日の年休が、時間単位取得分を除いて取得できているかを確認しなければなりませんね。

 そうですね。それでは、時間単位年休を導入する際のポイントを説明しましょう。導入する際には、労使協定を締結する必要がありますが、その労使協定では以下の4つの取扱いを決め、定めておきます。

  1. 時間単位年休の対象者の範囲
  2. 時間単位年休の日数
  3. 時間単位年休1日の時間数
  4. 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数

 様々なことを協定しなければならないのですね。

 そうですね。順番に解説しましょう。
 1の「時間単位年休の対象者の範囲」ですが、時間単位年休を取得できる従業員の範囲を定めます。時間単位年休は従業員全員に認める必要はなく、従業員の範囲を限定して導入することも認められています。ただし、事業の正常な運営との調整を図る観点から労使協定でその範囲を定めることになっており、例えば製造業のラインのように、一斉に作業を行うことが必要で、時間単位年休の取得がなじまないような場合に対象から除外することが認められます。

 事業の正常な運営が可能であるかの検討をして、対象者を決めることができるのですね。

 そのとおりです。2の「時間単位年休の日数」ですが、そもそも時間単位で取得できる年休の上限は法律で1年に5日が限度とされています。そのため、1年当たりの時間単位年休の日数を5日以内で決定します。現実的には、時間単位年休が導入されている会社のほとんどで5日と定められています。

 従業員にとっては5日に限らず、時間単位年休で取得できる日数を多くした方が、メリットがあると考えていたのですが、制限があるのか、なるほど。

 そうですね。そして、3の「時間単位年休1日の時間数」は所定労働時間数を基に決定します。1日の所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は、1日単位で1時間単位に切り上げることになっています。そのため、所定労働時間が7時間30分の場合、時間単位年休の1日あたりの時間数は8時間となりますね。

 なるほど、1日単位で考えるのですね。当社の所定労働時間は午前8時30分から午後5時30分までの7時間30分(休憩60分)となっているため、1日あたり8時間とすることになりますね。

 はい、そのように考えます。最後に4の「1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数」ですが、時間単位年休が取得できる最小取得単位時間は、1時間とされており、例えば30分単位のように、1時間未満の時間を設定することはできません。その一方で、2時間単位など1時間を超える時間を単位とすることが可能です。このように1時間以外の単位にするときには、その時間数を協定することになります。

 いまのところ、1時間単位での取得を検討していますが、従業員の要望として、例えば、午後4時で業務を終了し、1時間30分の時間単位年休を取得することが想定されますが、これはできないということですね。

 そうですね。1時間30分という時間を決めることはできません。1時間単位とするのであれば、終業時刻からさかのぼって、取得したい時間数を1時間単位で指定してもらう形になりますね。

 よくわかりました。実際に運用した場面を想像して制度を作り、労使協定を締結しようと思います。ちなみに、締結した労使協定を労働基準監督署へ届け出る必要があるのでしょうか?

 届け出の必要はありません。時間単位年休は休暇に関することですので、就業規則にも時間単位年休の定めが必要となり、就業規則は変更した場合に届出が必要になりますね。また、日単位と時間単位それぞれについて取得数と残数を分かりやすく管理する方法を検討しておくことも重要ですね。

 わかりました。管理方法も含めて検討してみます。
 

>>次回に続く

 



 今回は時間単位年休を導入する際の注意点をとり上げましたが、この労使協定を締結しないまま、時間単位年休の取得を認めていたり、限度日数の5日を超えて時間単位年休の取得を認めていたりするケースを稀に見かけます。このような取得については、厚生労働省が出しているQ&A「改正労働基準法に係る質疑応答」(平成21年10月5日)Q29に、法的な年休の取得として扱われず、法定の年休の残日数は変わらないと記載されています。そのため、労使協定が締結されているか、限度日数の5日を超えて認めていないを確認して、適切な取扱いをしましょう。

■参考リンク
厚生労働省「労働基準法が改正されました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roukikaitei/index.html

 

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従業員に子どもが生まれたときや従業員が育児休業から職場復帰する際、育児短時間勤務を選択するケースがあります。そこで、育児短時間勤務制度にまつわるよくある質問をとり上げます。

1.育児短時間勤務制度における勤務時間数
 育児・介護休業法では事業主が講ずべき措置の一つとして、「所定労働時間の短縮措置」が定められており、この短縮措置が育児短時間勤務制度です。育児短時間勤務制度では、3歳に満たない子どもを養育する従業員について、1日の所定労働時間を原則として6時間とする制度を導入することが会社に義務付けられています。
 この勤務時間数について、6時間とすることが求められているほか、会社の所定労働時間が7時間45分の場合、5時間45分とする育児短時間勤務制度とすることも認められています。

2.勤務時間の選択
 育児短時間勤務については、1.のとおり、法律で原則6時間とする育児短時間勤務制度を導入することが会社に義務付けられていますが、一方で、従業員から6時間ではなく7時間の育児短時間勤務を希望するケースがあります。
 6時間を選択できることが義務となっているため、その他の時間について対応する義務はありませんが、7時間等、6時間以外の時間数を選択できる制度を導入することにより、必要な人材が確保できるなどのメリットが考えられるときには、6時間を選択できることにしつつ、その他の時間を選択できる制度を導入することも考えられます。

3.残業を命じることの可否
 育児短時間勤務者に時間外労働(残業)をさせることについては、育児・介護休業法に定められている所定外労働の制限を押さえておく必要があります。この所定外労働の制限とは、3歳に満たない子を養育する従業員が請求した場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、所定労働時間を超えて労働させてはならないというものです。
 育児短時間勤務の申し出と併せて、所定外労働の制限の請求を行うことができるため、従業員からこの所定外労働の制限の請求があった場合は、短時間労働となっている所定労働時間を超えて残業を命じることはできません。また、この請求がなかったとしても、仕事と育児の両立を図るために短時間勤務をしていることから、本来は残業をさせない運用が望ましく、残業を命じる場合は従業員に確認するなどして残業を命じる流れにすべきでしょう。

 育児・介護休業法の改正は近年、頻繁に行われており、2021年1月からは子の看護休暇および介護休暇が時間単位で取得できるようになります。2021年1月までに育児・介護休業規程などの整備も必要になってきますので、忘れずに取りかかりましょう。

■参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html


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新型コロナウイルス感染症の影響は、日を追うごとに大きくなっています。特に緊急事態宣言による自粛は経済に大きな影を落とし、雇用を維持していくことに危機感が漂っています。そのため、政府は新型コロナウイルス感染症対策として第二次補正予算を組み、執行しています。そこで今回は、この第二次補正予算に組み込まれ、拡充された助成金の概要をとり上げておきましょう。

1.雇用調整助成金の拡充
 雇用調整助成金は、事業活動の縮小に伴い、従業員を一時的に休業させるとき等に支給される助成金であり、新型コロナウイルス感染症の対応において、これまで何度も制度の変更が行われてきました。そして今回、もっとも見直し要望が強かった1日あたりの上限額が8,330円から15,000円に引上げられました。
 併せて解雇等をせずに雇用の維持に努めた中小企業事業主に対する助成率が、10分の9から10分の10(100%)に引上げられました。その他、2020年4月1日から6月30日となっていた緊急対応期間が、9月30日まで延長され、この期間を1日でも含む判定基礎期間について上限額および助成率の引上げが行われます。

2. 小学校休業等対応助成金の拡充
 新型コロナウイルス感染症で小学校等が休業となることに伴い、子どもの世話をする必要のある従業員に対し、特別有給休暇を取得させた事業主には小学校休校等対応助成金が支給されます。この助成金も、1日あたりの上限額が8,330円から15,000円に引上げられました。対象は4月1日から9月30日までの間に取得させた休暇で、申請期間は12月28日までに延長されています。

3.妊婦に対する休暇支援助成金の創設
 新型コロナウイルス感染症により、妊娠中の女性が肺炎にかかったときには重症化するおそれがあります。そのため、母性健康管理措置として休業が必要とされた妊娠中の従業員に、特別有給休暇を取得させる事業主に対する助成金が創設されました。
 この助成金は、両立支援等助成金の一つのコースであり、対象労働者1人あたり合計5日以上20日未満の休暇を取得させるときは25万円が支給され、以降20日の休暇を取得させるごとに15万円が加算されます(上限額:100万円)。1事業所当たり20人までです。

4.介護する従業員の休暇支援助成金の創設
 従業員の家族が利用している介護サービスが、新型コロナウイルス感染症により停止されることがあります。そのため、家族の介護を行う従業員に対し、育児・介護休業法の介護休業とは別に、特別有給休暇を取得させる事業主に対する助成金が創設されました。
 この助成金も3.と同様、両立支援等助成金の一つのコースであり、対象労働者1人あたり合計5日以上10日未満の休暇を取得させるときは20万円が支給され、合計10日以上の休暇を取得させるときには35万円が支給額となります。こちらは中小企業の事業主が対象となり、1企業当たり5人までです。

 これらの助成金については厚生労働省よりリーフレットが公開されていますので、活用する際には、事前に確認しておきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

厚生労働省「小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金をご活用ください」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11686.html

厚生労働省「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)に「新型コロナウイルス感染症対応特例」を創設しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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こんにちは。

 

新型コロナウイルス感染症が拡大する中、健康診断の実施を延期した企業が数多くみられました。企業は、1年以内ごとに1回、従業員に対し定期健康診断を実施することが義務づけられていることから、今後、その実施が求められます。今回は厚生労働省から発出された健康診断の実施の取扱いについての通達、そして「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」をもとに、今後の健康診断の実施について確認しておきましょう。

1.健康診断の実施の延期は原則10月末まで
 新型コロナウイルス感染症の拡大により、健康診断実施機関においても三つの密を避ける必要があります。そのため、2020年6月末までに実施が求められる健康診断について、延期することは差し支えないとされ、2020年10月末までのできるだけ早期に実施することが求められるとしています。また、健康診断実施機関の予約が取れない等の事情から、やむをえず10月末までに実施が難しいときには、可能な限り早期に実施できるよう計画を立て、それに基づき実施することを求めています。

2.対象となる健康診断
 健康診断には、定期健康診断のほか、特殊健康診断があります。この特殊健康診断とは、有害な業務に従事する従業員や有害な業務に従事した後、配置転換した従業員に特別の項目について実施したり、一定の有害な業務に従事する従業員に歯科医師による健康診断を実施したりするものです。
 特殊健康診断についても三つの密を避けて十分な感染防止対策を講じる必要があるものであり、十分な感染防止対策を講じた健康診断実施機関での実施が困難な場合、2020年6月末までに実施が求められるものについては、2020年10月末までのできるだけ早期に実施することとして差し支えないとされています。

 この取扱いは、2020年6月末までに実施することが求められている健康診断に限定されていますので、2020年7月1日以降に実施すべきものは法令で定められたとおりに実施するとともに、延期が認められるものについても、健康診断実施機関と調整を行い、できるだけ早期に実施できるように調整しましょう。今後、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」が更新される可能性もありますので、最新情報をご確認ください。

■参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q6-2

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言の解除を踏まえた各種健診等における対応について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000633977.pdf


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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