こんにちは。

 

すでに大企業では、1ヶ月60時間を超える法定時間外労働に対する割増賃金率が50%以上とされていますが、いよいよ2023年4月1日より中小企業にもその適用が拡大されます。そこで、今回は割増賃金率の全体像と、今後トラブルの増加が懸念される未払い賃金の時効について確認しましょう。

[1]割増賃金率の確認
 割増賃金率は下表の3種類に分けることができます。

 現在、1ヶ月60時間を超えた法定時間外労働の割増賃金率(50%以上)は大企業のみの適用となっていますが、2023年4月1日より中小企業にも適用が拡大され、全ての企業が対象となります。この50%以上の割増が必要となる時間は、aの法定時間外労働のみであり、bの法定休日労働をした時間数は含みません。
 一方で、aの法定時間外労働が深夜に及んだときは、cの深夜労働に対する割増賃金の支払いも必要となります。したがって、割増賃金率はaの1ヶ月60時間超とcの深夜労働を合わせた75%以上で計算して支払うことになります。

[2]未払い賃金の時効
 2020年4月1日の改正民法および改正労働基準法の施行により、賃金請求権の消滅時効は2年から5年になりました。ただし、企業への影響を考慮し、当分の間、3年とする経過措置が設けられています。
 この時効(3年)は2020年4月1日以降に支払日のある給与から適用されます。例えば、2020年4月25日が給与の支払日の場合には、その3年後である2023年4月24日で消滅時効が完成します。2022年4月1日より改正民法の施行から3年目に入ることで、2022年4月以降に未払いの賃金等がある場合、これまで最大2年間の請求となっていたものが、最大3年分を遡って請求される事案の増加が予想されます。
 特に時間外労働に対する未払いについては、今後、[1]の割増賃金率の引き上げと相まって労働者の関心が高まることから、さらに適正な労働時間管理が求められるようになるでしょう。

 この2023年4月からの割増賃金率の引き上げに合わせて、就業規則の変更が必要となる場合があります。変更漏れがないように、対応しましょう。

■参考リンク
厚生労働省・中小企業庁「2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」
https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf
 


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所

こんにちは。

 

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の影響が長引いており、引き続き休業する企業もまだ多くあります。休業が続くことで労働時間が短くなり2022年5月1日以降に退職を選んだ従業員の雇用保険の取扱いが周知されたことから、その取扱いについて取り上げます。また雇用保険に関連して、不正受給と判断された場合の処分についてもあわせて確認します。

[1]5月1日以降からの取扱い
 5月1日以降に、新型コロナの影響により、事業所が休業し、概ね1ヶ月以上の期間、労働時間が週20時間を下回った、または下回ることが明らかになったことにより退職した場合、雇用保険の求職者給付の受給において、「特定理由離職者」と判断されることになりました。特定理由離職者と判断されることで、求職者給付において給付制限(退職後に一定期間、求職者給付を受けられない期間)が設けられないことになります。なお、この休業は、1日の一部の時間のみが休業となる部分休業の場合も含まれ、また休業手当が支給されたかは問われません。また、シフト制労働者に関しては、同様の取扱いがすでに2021年3月31日以降の退職から行われています。

[2]雇用保険基本手当等不正受給の際の処分
 本来、基本手当等を受けることができないにも関わらず、不正な手段により支給を受けたり、受けようとしたりした場合、不正受給処分を受けることになります。不正受給処分の具体的内容としては、以下のようなものがあります。

  1. 不正のあった日から、基本手当等の支給を受ける権利がなくなる。
  2. 不正な行為により支給を受けた金額は、全額返還しなければならない(返還命令)。
  3. さらに悪質な場合、不正行為により支給を受けた金額の最高2倍の金額の納付が命じられる(納付命令)。

 3については、いわゆる「3倍返し」として、2と併せて不正受給した金額の3倍の金額を納めることになります。この場合、財産の差し押えが行われることがあり、また詐欺罪などにより処罰されることもあります

 事業主が離職票に虚偽の記載を行う等、偽りその他不正の行為をした場合、不正に受給した人と連帯して、不正受給金の返還、納付命令を課されるほか、詐欺罪として刑罰に処せられる場合があります。退職理由を確認し、正しく記載しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例のお知らせ」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000931287.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所

こんにちは。

 

文書作成日:2022/5/12

 木戸部長が昨年1年間の工場の総労働時間を確認したところ、7・8月は残業時間がほぼなく、一方、2・3月は残業時間がとびぬけて多く、土曜日の休日出勤をしていた状況が確認された。割増賃金の負担も大きくなっていることから、残業時間の削減方法はないかを社労士に相談することとした。

 さっそくですが、工場の昨年の勤務実績をみたところ、7・8月は業務の閑散期でほぼ残業はなかったのですが、2・3月は残業時間がとびぬけて多く、さらにほぼ毎週のように土曜日出勤をしていました。会社にとって人件費(残業代)の負担が大きく、また、「休日出勤があるとプライベートの予定を立てづらい」と従業員から不満が出ています。今後もこの時期的な繁閑は続くと考えているため、対策を打ちたいと考えています。

 なるほど。1年間の中でも業務量に差があり、その結果、労働時間に波ができるということですね。そのような状況であれば、1年単位の変形労働時間制(以下、「1年変形」という)が活用できそうです。1年変形は、1年以内の期間を通じて週40時間を超えない範囲において、繁忙期に労働時間を増やし、閑散期には労働時間を減らすなど、効率的に働かせることができる制度になります。

 1年変形を導入することで、7・8月の労働時間を減らし、2・3月の労働時間を増やすことで、現状と同じような働き方であっても、2・3月の残業代が削減できるということですね。

 そのとおりです。例えば、7・8月の1日の所定労働時間を7時間としつつ、2・3月にあらかじめ土曜日の出勤日を作っておくという方法です。導入にあたり、実務上の注意点をお伝えしましょう。まず1点目が、1日の所定労働時間が10時間までという制限があります。また、1週間についても52時間という制限があります。

 そもそも1日の所定労働時間の制約があるのですね。現段階では、閑散期は1日7.5時間、繁忙期は1日8.5時間として、8月のお盆に連休を作り、2月の土曜日を2日ほど出勤日にできるとよいと考えています。

 そのような設定であれば、時間の問題はクリアでき、残業代も削減できそうですね。

 はい、閑散期について1日の所定労働時間が7.5時間で終わるのかという懸念はあるので、工場の責任者にも確認したいと考えています。

 実際に業務を管理されている方に確認することは重要ですね。注意点の2点目が、1年変形を導入する際には、過半数の労働組合や従業員の過半数を代表する従業員と労使協定を締結する必要があります。閑散期は所定労働時間が短くなることで早く帰ることができるかもしれませんが、繁忙期はこれまでと同じように働いても残業代が支給されない(総支給額が減少する)ということになるため、労使協定を締結する前に、1年変形の導入の趣旨や影響を十分説明する必要があるでしょう。

 確かに会社にとって残業代の削減は、従業員にとって収入の減少につながるので、導入する際には、きちんと説明したいと思います。

 収入の減少は、私も確かに気になるところなので、業績によりますが、効率的な働き方が実現できれば賞与での還元や昇給額の上乗せも考えたいと思っています。

 よろしくお願いします。3点目は、時間外・休日労働に関する協定(36協定)に関することです。36協定には、協定できる時間外労働の上限時間がありますが、1年変形で3ヶ月を超える期間を設定した場合の限度時間が、1ヶ月あたり45時間から42時間に、1年あたり360時間から320時間になります。

 「36協定違反にならないように」と残業時間については従業員に意識させているので、しっかりと伝えておかないといけませんね。ちなみに当社では特別条項を労使協定に加えているのですが、この上限も異なるのでしょうか。

 いいえ。特別条項における上限時間は1年変形を導入しない場合と同じです。ただ、1日の所定労働時間が長くなったり、特定の週や月の所定労働日数が増えたりする1年変形では、従業員の方の心身に負担がかかりやすいことになりますので、健康面への配慮は欠かせませんね。

 確かにそうですね。今回は工場での残業代の削減からこのような話題になりましたが、他の部門も含め、効率的な働き方につながるようなことはないか点検してみます。

 部署や職種によって、繁閑の波は異なりますので、おっしゃる通り一度、確認されといいでしょう。また、方針が決まりましたらお知らせください。

 引き続きよろしくお願いします。

>>次回に続く

 



 この1年変形には、特に業務の繁忙な期間に定めることができる特定期間というものがあり、連続して労働させることができる日数の限度について「1週間に1日の休日が確保できる日数」とされています。例えば日曜日を休日とした場合、翌週の土曜日を休日として設定し、連続12日勤務までとなります。ただし、過重労働の観点からは、毎週日曜日を休日とするなどの対応が望まれます。

■参考リンク
厚生労働省「1年単位の変形労働時間制」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/040324-6.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所

こんにちは。

 

先日、厚生労働省は「令和4年度地方労働行政運営方針」(以下、「運営方針」という)を策定し、その内容を公表しました。各都道府県労働局は、この運営方針を踏まえつつ、各局の管内事情に則した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的に運営していくことになります。労働局を中心に、この運営方針に沿ったセミナーが開催されたり、周知や調査の活動が実施されたりすることも多くあることから、この運営方針の中から、主な施策の項目を見ておきましょう。

[1]雇用維持・労働移動等に向けた支援やデジタル化への対応
〇雇用の維持・在籍型出向の取組への支援

  • 雇用調整助成金等による雇用維持の取組への支援
  • 産業雇用安定助成金等による在籍型出向の取組への支援

〇デジタル化の推進

  • デジタル分野における新たなスキルの習得による円滑な再就職支援
  • ハローワークの職業紹介業務のオンライン・デジタル化の推進

[2]多様な人材の活躍促進
〇女性活躍・男性の育児休業取得等の促進

  • 男性が育児休業を取得しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援
  • 女性活躍推進のための行動計画に基づく企業の取組支援
  • 不妊治療と仕事との両立支援

〇非正規雇用労働者等へのマッチングやステップアップ支援

  • ハローワークの就職支援ナビゲーターによる求職者の状況に応じたきめ細かな担当者制支援
  • 同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保等

〇高齢者の就労・社会参加の促進

  • 70歳までの就業機会確保等に向けた環境整備や高年齢労働者の処遇改善を行う企業への支援
  • ハローワークにおける生涯現役支援窓口などのマッチング支援

[3]誰もが働きやすい職場づくり
〇柔軟な働き方がしやすい環境整備

  • 良質なテレワークの導入・定着促進
  • フリーランスと発注者との契約のトラブル等に関する関係省庁と連携した相談支援
  • 副業・兼業を行う労働者の健康確保に取り組む企業等への支援等
  • ワーク・ライフ・バランスを促進する休暇制度・就業形態の導入支援による多様な働き方の普及・促進

〇安全で健康に働くことができる環境づくり

  • 職場における感染防止対策等の推進
  • 長時間労働の抑制
  • 労働条件の確保・改善対策
  • 総合的なハラスメント対策の推進

 様々な運営方針が示される中、「総合的なハラスメント対策の推進」については、4月より中小企業についてもパワーハラスメント防止措置が義務付けられたことが背景にあります。パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等の職場におけるハラスメント防止措置を講じていない事業主に対し厳正な指導を実施すること等により、法の履行確保を図っていく旨の方針が示されています。パワーハラスメント防止措置の対応が未だの場合は、早急に対応しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「「令和4年度地方労働行政運営方針」の策定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25074.html
厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所

こんにちは。

 

「5月病」といわれるように、5月の連休が明けた頃になると、眠れない、やる気が出ないなどの心身の不調を訴える従業員が出てくることがあります。その理由は個人によって様々かと思いますが、企業はこのような心身の不調、とりわけメンタルヘルスの対策を行うことが重要となります。そこで、メンタルヘルス対策の基礎となるセルフケアとラインケアをとり上げます。

[1]セルフケア
 セルフケアとは、従業員自らがストレスに気づき、適切に対処するための知識と方法を身につけ、自分自身でケアすることを言います。ストレスに気づくためには、従業員自身がストレス要因に対するストレス反応や心の健康について理解するとともに、自らの状態について正しく認識できるようにする必要があります。そのため、企業としてはメンタルヘルスに関する研修を実施したり、従業員が利用できる相談窓口を設置したりすることなどの取組みが求められます。
具体的には、厚生労働省のサイト「こころの耳」に用意されている5分研修シリーズのビデオを活用するということもよいでしょう。ここには、「新入社員に見られやすいメンタルヘルス不調の症状やその要因」、「生活習慣と睡眠からはじめるセルフケア」、「呼吸法(リラクセーション)」、「テレワーク下におけるセルフケア」の4つの動画が掲載されています。

[2]ラインケア
 ラインケアとは、管理職が日常的に接する部下の健康についてケアすることを言います。まずは日ごろから管理職が部下の健康状態に関心を持った上で、その異常への意識を高めることが重要です。その上で、部下と積極的にコミュニケーションをとることで相談しやすい関係を作っておくことが求められます。
そのため、企業としては、管理職に対してメンタルヘルス不調の早期発見に繋がる知識や対処方法、いつもと様子が違う部下への対応等について研修を行うことが求められます。これについても、厚生労働省のサイト「こころの耳」に、5分研修シリーズとして「日頃からの部下への声かけ」、「テレワーク下におけるラインによるケア」の2つの動画が掲載されています。

 新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、集合研修ができなかったり、研修を企画しても延期になったりして、なかなか思うような研修が実施できていない状況も少なくないのではないでしょうか。このような外部ツールも活用しながら、いまできる取組みを行いましょう。

■参考リンク
厚生労働省「こころの耳」
https://kokoro.mhlw.go.jp/
厚生労働省「5分研修シリーズ セルフケア」
https://kokoro.mhlw.go.jp/fivemin/#f-1
厚生労働省「5分研修シリーズ ラインによるケア」
https://kokoro.mhlw.go.jp/fivemin/#f-2

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所

こんにちは。

 

新年度になり、新しくアルバイトを始める学生も多いことから、厚生労働省では例年開催している「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを今年も実施しています。今回はこのキャンペーンの内容について確認をしましょう。

[1]主な取組内容
 今回のキャンペーンは4月1日から7月31日にかけて、都道府県労働局による大学等への出張相談や大学等でのリーフレットの配布等による周知・啓発等を実施することになっており、アルバイトを始める前に労働条件の確認を促すことなどが呼びかけられます。特に重点的に呼びかける項目として、以下の5点が挙げられています。

  1. 労働条件の明示
  2. シフト制労働者の適切な雇用管理
  3. 労働時間の適正な把握
  4. 商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
  5. 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止

[2]特に注意したいシフト制
 アルバイト学生については、学業との両立があることからシフト制で働くことが多くありますが、企業側も業務の状況によって、勤務を柔軟に調整することがあります。その結果、半ば一方的にシフトを変更するようなケースも見られ、予定していた勤務がなくなることで、思うように収入が得られなくなったり、急なシフト変更によりの学業との両立が難しくなったりすることで、トラブルに発展することがあります。
 このシフト制に関しては、2022年1月に厚生労働省より「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」が公表されています。改めてこの内容を確認し、特にシフトの作成・変更・設定などのルールを定めておきましょう。

 コロナ禍で、アルバイト学生の採用を控える時期もありましたが、徐々に採用を強化する動きがみられます。企業は、アルバイト学生が安心して働くことができるように労務管理をしていくことが求められています。

■参考リンク
厚生労働省「「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24965.html
厚生労働省「いわゆる「シフト制」について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所

こんにちは。

 

次世代育成支援対策推進法では、常時雇用する労働者数が101人以上の企業に、一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ることを義務付けています。この行動計画に定めた目標を達成するなどの一定の基準を満たした場合、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。この4月より、くるみん認定等の認定基準が改正されるなどの変更がありました。

[1]くるみん
 くるみんの認定基準として、男性の育児休業等の取得に関する基準が改正され、男性の育児休業等取得率が「7%以上」から「10%以上」になりました。また、男性の育児休業等・育児目的休暇取得率については「15%以上」から「20%以上」になりました。
 さらに、認定基準として、男女の育児休業等取得率等を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」(https://ryouritsu.mhlw.go.jp/)で公表することが追加されました。

[2]プラチナくるみん
 プラチナくるみんの特例認定基準として、男性の育児休業等の取得に関する基準が改正され、男性の育児休業等取得率が「13%以上」から「30%以上」になりました。また、男性の育児休業等・育児目的休暇取得率については「30%以上」から「50%以上」になりました。このほか、女性の継続就業に関する基準が改正され、出産した女性労働者及び出産予定だったが退職した女性労働者のうち、子の1歳時点在職者割合が「55%」から「70%」になりました。
 なお、上記[1]くるみん認定とプラチナくるみんの特例認定等に関して、経過措置が設けられています。

[3]新たな認定制度
 4月から新たな認定制度が2つスタートしており、1つ目が「トライくるみん」です。認定基準は2022年3月31日までのくるみんと同じです。
 2つ目が、新たに不妊治療と仕事との両立に関する認定制度で、くるみん、プラチナくるみん、トライくるみんの一類型として、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境整備に取り組む企業の認定制度「プラス」が創設されました。要件は以下の2点です。

  1. 受けようとするくるみんの種類に応じた認定基準を満たしていること
  2. 次の(1)~(4)をいずれも満たしていること
  3. (1)次のa及びbの制度を設けていること
    1. 不妊治療のための休暇制度(多様な目的で利用することができる休暇制度や利用目的を限定しない休暇制度を含み、年次有給休暇は含まない。)
    2. 不妊治療のために利用することができる、半日単位・時間単位の年次有給休暇、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワークのうちいずれかの制度
    (2)不妊治療と仕事との両立に関する方針を示し、講じている措置の内容とともに社内に周知していること
    (3)不妊治療と仕事との両立に関する研修その他の不妊治療と仕事との両立に関する労働者の理解を促進するための取組を実施していること
    (4)不妊治療を受ける労働者からの不妊治療と仕事との両立に関する相談に応じる担当者を選任し、社内に周知していること


  4.  

 4月より認定基準が改正されていることから、今後、認定を検討されている場合は内容を確認しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「令和4年4月1日からくるみん認定、プラチナくるみん認定の認定基準等が改正されます!新しい認定制度もスタートします!(令和3年11月作成(令和4年3月改訂))」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/jisedai.pdf
 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所

こんにちは。

 

文書作成日:2022/04/14

 求人をする際にハローワークを活用している企業は多い。近年はインターネットを利用することでその利便性が向上しているため、社労士はハローワークオンインターネットサービスの内容について説明することとした。

 先日より、中途採用の募集をしていますが、なかなか応募がなく困っています。まずはハローワークで求人しているのですが、民間の職業紹介事業者の活用もそろそろ考えようかと迷っています。

 コロナ禍で、失業率も若干上がっていますが、なかなか求人への応募がないという話はよく耳にしています。ところで、ハローワークでの求人は窓口に出向いて手続きをされているのですか?

 以前は出向いていたのですが、いまはインターネットを通じて行っています。過去の求人データが利用できたりするので、便利に使っています。

 なるほど。それであれば、先月追加された新たな機能を利用されるのもよいかもしれません。

 新たな機能ですか?

 ハローワークのインターネットサービスでは、以前から求職者がオンラインで直接応募できるようにするなどその充実が進んでいますが、今回、企業側が求職者に対して、自社に応募してもらうようにリクエストできるようになりました(直接リクエスト) 。

 求職者からの応募をただ待つのではなく、こちらから応募をしてもらうよう働きかけることができるのですね。

 はい。求職者については、求職者マイページを開設している場合に限られますが、メッセージと応募を検討して欲しい求人の情報を直接送付することができます。

 すでにハローワークに求人を出していますが、何か別途手続きが必要なのでしょうか?

 御社ではすでに求人マイページを開設されていますので、その求人の応募受付方法を「オンライン自主応募の受付」とすることが必要です。このように「オンライン自主応募の受付」とすることで、求人者マイページから求職者情報を検索・閲覧できるようになります。

 なるほど。まずは現在の求人について、どのように設定されているのか確認が必要ですね。

 そうですね。実際に直接リクエストをする際には、求職者を慎重に検討する必要があります。実は直接リクエストは、1件の求人につき10人までとなっています。また、同一求人について、同一求職者へのリクエストは1回のみです。

 なるほど、制限があるのですね。ただ、どのような基準で求職者を選べばよいのでしょうか。

 求人者マイページから検索・閲覧できる求職者情報で判断しますが、この求職者情報はハローワークに登録している求職者のうち、経歴や資格、希望条件などを求人者に公開することを希望している人の情報です。これを確認することになります。

 当社に関心を持っていないものの、当社が採用したい条件とマッチしているようであれば、直接リクエストをすることになりますね。

 はい。ただ、企業からの直接リクエストに対して、求職者から応募がない場合もあります。応募有効期間はリクエストを行った日の翌日から7日間です。なお、求人者からの直接リクエストを受けて求職者がハローワークを介さず求人へ直接応募した場合(オンライン自主応募)、ハローワークによる職業紹介に該当しないため、ハローワーク等の職業紹介を要件とする助成金(特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金、地域雇用開発助成金)の対象外とされるので注意が必要です。

 なるほど。助成金の対象にならないことを承知の上で、行う必要がありますね。

 このほか、公開されている求職者の情報は、求職者自身が公開内容に責任をもって作成したものになります。ハローワークが確認していない内容を含む場合もあることも注意が必要ですね。

 実際に面接となった際には、求職者の情報をしっかり確認することが重要ですね。一度、ハローワークインターネットサービスを見てみます。

>>次回に続く

 



 ハローワークの求人についてインターネットで手続きを行うことができますが、たとえば労働基準法等の規定に基づく届出についても、電子申請で行うことができます。
 労働基準法に定められた届出としては、時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)、就業規則(変更)届出、1年単位の変形労働時間制に関する協定届などの51種類、最低賃金法に定められた申請としては、最低賃金の減額特例許可の申請などの9種類があります。
 毎年3月の年度末や4月の年度初めには、労働基準監督署の受付窓口が混雑することから、今後、電子申請を検討してみてもよいでしょう。

■参考リンク
厚生労働省「2022年3月22日からハローワークインターネットサービスの機能がより便利になります!」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24029.html
厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「サイト運営者からのお知らせ(詳細)」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/news/operation_news_dtl.html
厚生労働省「労働基準法等の規定に基づく届出等の電子申請について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184033.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、雇用調整助成金に特例措置が設けられ、特例措置の延長が繰り返し行われてきましたが、今回、この特例措置が2022年6月まで延長されました。また、4月以降の休業について申請内容をより適正に確認する取組みが始まりました。

[1]延長された助成内容
 特例措置として設けられている内容のうち、6月30日までの助成率と1人1日あたりの上限額は下表のとおりです(2022年3月までの水準から変更なし)。

表 6月30日までの雇用調整助成金の内容

 制度の見直し等の都度、支給申請様式が変更されています。そのため、申請の際には、厚生労働省のホームページから最新の様式をダウンロードして利用しましょう。

[2]強化される申請内容の確認
 4月以降の休業にかかる申請から、申請内容の確認が強化されることになっており、以下の3点を中心に実施されています。

  1. 業況特例における業況の確認の実施
     毎回(判定基礎期間(1ヶ月単位)ごと)、業況の確認が行われ、要件を満たしていれば業況特例を、満たしていなければ原則的な措置(地域特例に該当するときは地域特例)が適用されます。
  2. 最新の賃金総額からの平均賃金額の算出
     初回に算定した平均賃金額を継続して活用していましたがこれを見直し、原則として労働保険の令和3年度の確定保険料の算定に用いる賃金総額により平均賃金額が算出されます。また、企業規模の変更を希望する場合、常時雇用する労働者の数、資本の額等により確認が行われます。
  3. 休業対象労働者と休業手当の支払い確認
     判定基礎期間の初日において雇用保険の適用が1年未満の事業主等は、休業対象労働者の氏名、年齢および住所が確認できる書類の写しおよび休業手当を含む給与の支払いが確認できる書類等の提出が求められます。

 不正受給への対応が厳格化され、厚生労働省は、不正受給を行った事業所名等の積極的な公表、予告なしの現地調査のほか、捜査機関との連携強化を行うとしています。また、不正受給は、刑法第246条の詐欺罪等に問われる可能性があります。助成金を活用するときは今後も適正な申請を行いましょう。

■参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所

こんにちは。

 

文書作成日:2022/04/05

上期・下期で変更となる2022年度の雇用保険料率

 雇用保険の保険料率は、毎年3月末の積立金と給付の状況に応じて見直しが行われていますが、今年度の雇用保険料率について、厚生労働省より公表がありました。今年度は年度の上期と下期で雇用保険料率が異なるという異例の取扱いとなりますので、労働保険の年度更新や給与からの雇用保険料の控除を誤らないよう注意が必要です。

[1]2022年度の雇用保険料率
 下表のとおり、2022年4月1日から9月30日まで(上期)と10月1日から2023年3月31日まで(下期)の2つの期間で雇用保険料率が変わります。※図はクリックすると拡大します。
 

表 2022年度の雇用保険料率

[2]雇用保険の加入要件
 新年度のタイミングで、従業員を新たに採用するケースも多いことから、雇用保険の被保険者の加入要件を確認しましょう。雇用保険の被保険者となるのは、以下の要件を満たす従業員です。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
     雇用保険の加入要件のもっとも基本的な判断基準が労働時間であり、1週間の所定労働時間が週20時間以上であることがまず挙げられます。
  2. 継続して31日以上雇用されることが見込まれること
     正社員のように期間の定めのない雇用契約はもちろん、期間の定めのある場合でも、その期間が31日以上である場合には被保険者となります。なお、雇用契約の期間が31日未満の場合でも、契約更新を行うことで31日以上雇用される見込みがある場合には、雇用契約のはじめから被保険者になります。

 なお、雇用保険は、事業所に雇用される従業員が、失業その他雇用の継続が困難になった場合の保障を主な目的とした制度であるため、事業主や事業主と同居の親族、役員など労働者の身分を持たない人は被保険者になりません。また、昼間学生アルバイトは、労働者であっても雇用保険の被保険者にはならないとされています。

 2022年1月より65歳以上の労働者を対象に、2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること、2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であることの要件を満たし、労働者本人がハローワークに申出を行うことで、雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度がスタートしています。

雇用保険の加入要件や手続きに関してご不明点等ございましたら、当事務所までお問合せください。

■参考リンク
厚生労働省「雇用保険料率について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html
厚生労働省「【重要】雇用保険マルチジョブホルダー制度について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000136389_00001.html
 


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

ホームページはこちら   古谷労務経営事務所