そこそこいい会社をとびっきりいい会社に

そこそこいい会社をとびっきりいい会社に

株式会社フリスコ/フリスコ社労士事務所
代表取締役 特定社会保険労務士
桑原和弘

東洋哲学実践家
職業:社長の相談相手

研修講師を務める中でときどき、研修を「自分のためにやっているもの」と受け取っているような態度が気になることがあります。自分にとって得になるかどうか、この研修に意味はあるのかどうか、そのようなことばかりに関心が向いてしまうようです。

まず、研修は、会社のためにあります。仕事の質を上げる、今より少しでもよい仕事ができるようになる、それらを通じて会社の価値を高め「選ばれる会社」になるために研修を実施します。

また、同僚のためでもあります。一人ひとりの仕事の質は周囲に大きな影響を与えます。段取りがよくなる、伝え方がよくなる、気づけることが増える。たとえ小さな変化であっても、職場全体を変えていく力になります。

さらに言えば、お客様のためでもあります。仕事の精度が上がれば顧客に届く商品やサービスの質が上がります。

会社は、時間もお金も使って研修を用意します。そこには、まだ質を高められる余白がある、という判断があります。言い換えれば、「もっとよくなれるはずだ」という期待です。

だから、研修を受ける側が「自分に直接得があるかどうか」だけで判断するのは少々勘違いというものです。

自分のためでもある。自分だけのためではない。

会社で働く以上、自分の仕事は自分ひとりのものではありません。その仕事は、同僚につながり、お客様につながり、会社全体につながっています。そう考えると、研修に向かう姿勢も少し変わるのではないでしょうか。

せっかく用意された研修です。意義や意味を与えてもらおうとするのではなく、自分が研修に意味をもたせるのです。



「いい会社にしたいんです」

 

社長さんが口を揃えておっしゃいます。

 

そりゃそうですよね。わざわざ悪い会社にしたい社長はいないでしょう。

 

でも、ここでひとつ、聞いてみたくなることがあります。

 

「誰にとって、いい会社なんでしょう?」

 

社員にとっていい会社。

お客様にとっていい会社。

取引先にとっていい会社。

もちろん、社長自身にとってもいい会社。

 

全部そろえば申し分ありません。

 

ただ、現実にはそう簡単にいかないこともあります。

 

社員の待遇をよくするにはお金がかかる。お客様の要望に何でも応えようとすれば、現場に無理が生じる。目先の利益を優先すれば、将来への投資が後回しになる。

 

どれかひとつを大切にすれば、それで済むという話ではありません。

 

だから経営は難しい。

 

そして、面白いのだと思います。

 

私は、いい会社というのは、誰かひとりが得をする会社ではなく、関わる人たちが、それぞれに「この会社でよかった」と思える会社なのではないかと考えています。

 

もちろん、いつでも全員が満足しているわけではありません。

 

意見が食い違うこともあるし、我慢しなければならないこともある。

 

大切なのは、そのときに何を優先し、何を大切にするのか。

 

それを社長だけでなく、社員も一緒に考えられることではないでしょうか。

 

「いい会社にしたい」

 

そう言うのは簡単です。

 

でも、「どんないい会社にしたいのか」と聞かれると、案外、答えるのは難しい。

 

私は、そんな問いを社長や社員の皆さんと一緒に考える時間が好きです。

「この前頼んだ件、あれどうなってる?」 先週頼んだ仕事の進み具合が気になって、つい確認の声掛けをする。

一度頼んだらサッと進めて終わらせてほしい。進んでないならそのことについて報告して欲しい。なのに、こちらから催促しないと音沙汰がなく、結局何度も進行状況を確かめる羽目になる。

経営者の貴重な時間が、進捗確認で削られていくのは本当にもったいないことです。

■ これは部下の不真面目さではありません

何度も確認しなければならないのは、部下のやる気や能力が足りないからではありません。頼まれた部下が「どこまで進んだら報告すべきか」「どの状態が完了なのか」を認識できていない可能性が高いと言えます。

ゴールまでの道筋が見えないからこそ、部下もどのタイミングで声をかけていいか分からず、手元で仕事を抱え込んでしまいます。

人を迷わず動かす一番の秘訣は、相手が迷いなく一歩を踏み出せる具体的な基準を示してあげることです。

■ 「あれどうなってる?」をなくす、頼み方の小さな工夫

部下が一度の指示で完遂し、途中でマメに報告してくるようになる頼み方は、とてもシンプルです。

仕事を振るその瞬間に、次の約束をひとつだけ組み込んでみてください。

「全体の3割できた段階で、下書きの画面を一度見せてね」

「手が空いたら報告して」と頼むと、部下は10割完成するまで抱え込んでしまいます。「未完成の3割の段階で見せることが正解」という基準をあらかじめ作ってあげることで部下も安心して早い段階で声をかけられますし、方向性のズレもその場ですぐに修正できます。

結果として、こちらから催促する回数はゼロになり、仕事は期日通りに着地します。

■ こんなお悩み、ご相談ください

・頼んだ仕事の進み具合が気になり、何度も自分から確認してしまう
・部下からの報告がいつも期限ギリギリ、あるいは事後報告になる
・任せた仕事の手戻りが多く、結局自分で手を入れている

日頃のちょっとしたコミュニケーションの違和感や、組織づくりのお悩みがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。「3割共有」の約束が進捗確認をなくす鍵です。